ナッチャンWorld再び横浜に現る

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昨年2月28日から3月7日まで、横浜大桟橋に奇跡の寄港を果たしたナッチャンWorldが、今年も横浜に来ることになった。

昨年の寄港も、和歌山県由良への定期検査の途上、横浜開港150周年記念協賛行事の一環として招聘されて立ち寄ったものにつき、あくまでも「ついで」なのだが、新聞やテレビで報道されて一般公開はそれなりに賑わったし、同時にクイーン・メリー2が初寄港したり、横浜港内の有料体験航海を実施したりして、まさに奇跡ともいえる感動のひとときを味わった。


当分遣隊ではWorldの就航直後、2008年5月に青森まで出向き、Reraと両船の撮影を行って以来、ナッチャン姉妹の魅力に取り憑かれ、以来撮影をライフワークとしている(おおげさw)のである。


よもや横浜で、観音崎で、ナッチャンを見られるとは……こんなことはただ1度、最初で最後の機会だと灯台の上からしっかり目に(そしてCMOSにも)焼き付けたのである。

しかし、「また来年も来てね〜」なんて冗談を言ったら、ウソから出たまこと、本当にまたナッチャン横浜に来るという。しかも、小耳に挟んだところによると、久里浜にも寄港するらしい……これはちょっと事情があってw、かなり早い段階で情報を入手したのだが、いったい何の用事があって久里浜に入るのか、まさか東京湾フェリーが…!?とあらぬ妄想をかき立てられるなか、昨年は横浜港内で実施だった体験航海を今年は久里浜から外海に向けて実施すると、大々的なPRが始まった。

ナッチャンにすれば微速に毛が生えたような速力で横浜航路を出て入って小1時間のクルーズよりも、その驚異的な高速性能をアピールできる外洋に出た方がいいに決まっている。しかし、知らぬ港に入るとなれば、係船料その他費用もかさんでくるし、当日の要員手配、宿泊費から交通費から立て看板に至るまで、横浜1カ所で済ますより明らかに負担が大きくなる。いったいそこまでする理由は何なのか……しかし、そんな心配をよそに、立派なポスター、チラシ、事前PRなど、2回目だから要領も掴めてきたのか、それにしても開港150年のお祝いの時より明らかに高いテンションで2月17日、ナッチャン姉妹を代表しWorldが2回目の来横を果たしたのであった。

もちろん、当初は17日の入港もお迎えに行って同伴出勤するつもりだったのだが、天気があまり良くなく、スカイウォークで撮れるのならアングルも変わっていていいが、営業開始前の時刻に入港ということで、素直に諦め、土曜の一般公開、そして日曜の体験航海「まるっとクルーズ」に賭けたのであった。


1年ぶりに大桟橋にやってきたナッチャンWorld。なぜいつもReraではなくてWorldなのかは謎だが、まあ定検のサイクルとイベントの日程が2回ともたまたま合ったということなのだろう。


1年前と違い、今回は赤レンガに面した面に泊め、対岸の横浜海上防災基地に泊まっているしきしまと夢の並びが実現したのは素晴らしい。しかし付け根側のDバースに泊めたので、しきしまとの位置関係はいいのだが、桟橋の上から狙おうとすると前がちのアングルではかなりの広角を使わないとギリギリ……でも、昨年はドン曇りで死ぬほど寒く、絵的にもパッとしなかったので、この快晴はありがたい。


最近整備された、開港当時の横浜港の姿を整備復刻した象の鼻公園は、C・Dバースに停泊する船舶を正面がちに狙える絶好の撮影スポットとなった。ナッチャンをバックに分遣隊長もポーズ。


昨年はベイブリッジのバックが定番のアングルだったが、今年は赤レンガとランドマークタワーを絡めることができた。


色味も揃って、素晴らしい対比を見せるしきしまに、意図してはいなかったがマリンルージュもさりげなく写り込んでいて、あ〜なんて贅沢な取り合わせなんでしょう!! サザンの歌にナッチャンが出てくる日も近い!? てゆーかあまりに違和感なく横浜に溶け込んでいませんかあなた?


さて乗船となるが、事前PRが行き過ぎてしまい、昼過ぎに行ったところなんと80分待ちとのアナウンスが!! ただ、見たところ結構流れているようだし、結局舷梯が1本しかないための交互通行が原因なので、それほど待たないだろう、と迷わず並ぶ。案の定30分足らずで乗船することができた。乗ってから下を見るとこんな感じ。


ナッチャンの船内は最下層、トラックも積載可能な天井の高い車両甲板と、固定式のスロープで上がって行く高さの低い乗用車用甲板、その上にエコノミー・ビジネス船室、最上層にエグゼクティブと4層構造となっており、オーストラリア風に下からTier1〜4、それぞれT1・T4などと呼称する。T1では今回青森物産即売会をやっていた。生の魚介類から缶詰やパックの珍味、民芸品、りんご、各種野菜、長芋、ニンニク(どっさり木箱に入っていたが帰ることには空っぽになっていた)、ヒバ石鹸まで名産品がなんでも揃う……2回目でせっかく来るなら商売も、とやり方がこなれてきた。まあ、青森のPRに来るんだからこっちの方が盛り上がる。今回の来航名目は本年12月に予定されている東北新幹線新青森開業のPRで、吊り下げられている青いペナントはこれを表している。


こちらは何もイベントがなかった昨年の撮影。中央に見えるのがT2への固定スロープである。フェリーでは搭載数を稼ぐためにここを可動式のランプとし、上に載せ終わったらスロープにも載せて跳ね上げてツライチの床として、下層の該当個所にも車を並べるという構造になっているものが多いが、ナッチャンはそこまでの必要がないのか、総アルミ製で重く大がかりな巻き上げ設備などを設置する余裕がないのか、固定式である。また、船の前方に向かって降りているので、上層に上がるときは一度Uターンしてから登ることになる。


こちらがT2レベル。これで見ると何か妙に天井が低いように見えるが、もちろんミニバンが入れる程度には高い(2m30cm程度か)。


こちらはおつまみコーナー。


ここ、本当にナッチャンの船内か!? 魚も大トロからカレイまで、青森産なら何でも揃う。しかし、今回の寄港は前述の通り和歌山までの途上に立ち寄ったもので、売れ残ったらどう処分するのだろうか…デッキには商品を搭載してきたらしい室蘭ナンバーのトレーラーが1台置かれていたが、ここに戻すにしても、専用のランプがない岸壁の港―すなわち青森と函館―でないとトレーラー自体を降ろすことができないし、鮮魚は横浜のスーパーに卸す段取りができているのだろうか(ま、もっとも鮮魚は最初から横浜で調達したのだろうが…)


こちらでは当時熱い戦いの真っ最中であったチーム青森のブースが。カーリングのストーンとブラシを展示して、「カ−リングウォーター」なる怪しげな液体?を売っていた。いやいや怪しいわけではなく、売り上げの一部がチーム青森の強化資金に充てられるミネラルウォーターだそうです。ちなみに、ストーンもさすがに現物はなかったが販売を承っており、世界選手権で認められた、スコットランドのアルサクレッグ島で産出された石を加工した「ケイボンスビル」をお勧めします、とのこと。長野オリンピックモデルAタイプ165万円・Bタイプ130万円(いずれも1セット16個)、レンタルも10万円〜30万円であるそうです。1個10万もするんやの〜。ちなみに重量は19kgで、持ち上げるのにはそれなりの腕力を必要とする。


当船は3クラス制で、この写真のエコノミー、ビジネス、そして後述するエグゼクティブと、予算に応じて選択肢があるが、エコノミーでもシートピッチは充分に広く、快適である。だいたいこのフネ、遊べるフリースペースが多くて2時間半の航海でどれだけ自分の席に座ってる時間があるんだかwwww


そう言ってるそばから、エコノミーの最前部はすべてフリーのソファとなる。テーブルの端に乗っている黒い玉のようなものは掴まるためのグリップ。


エントランス部中央にはエコノミーからエグゼクティブに上がる階段がある。その後方(写真で奥側)にはエコノミーでは両側にショップ、エグゼクティブでは中央部にキッチンつきのカウンターが設置される。


エコノミーのフリースペース(昨年の公開時)。昨年もそこそこ見学客で混雑していた記憶があるが、こうやって見ると全然入ってないな〜。今年は人でごった返していてこんな抜けてる写真撮れなかった。


昨年はナッチャングッズ位しか売ってなかったエコノミーのショップでも、りんごの段ボールまで積み上げて青森名産品のオンパレード。もちろん、ノートやハンカチ、レターセットといったグッズ類、次はいつ買えるかわからないのでしこたま仕入れてきました。


エコノミーのフリースペース壁面には、現在の津軽海峡フェリーフリートの写真と解説が。私の大好きな漢のフネw、「えさん」ももちろん展示されているが、昔の緑白の姿は格好良かったけど塗装変更したらなんかしまらないなあ……


エコノミーのフロア、エントランスから壁を隔てたところにはキッズルームがある。この掲示をはじめ、ちょっとした注意書きにもオージーセンスを垣間見るデザインが散見され、これもまたナッチャンの魅力のひとつとなっている。こちらも今年は大勢の子供達で大変なことになっており、そういうトコで昨今いいオッサンが一眼振り回すとアグネスが飛んできそうなのでw……


誰もいない昨年の公開時の写真を。オ〜なんでも記録で撮っとくもんやのォ〜


エントランス部の壁面に飾られている当船のネームプレート。ハルナンバー065は2年前の日記で解説した通り、またプレートの形はインキャット社が所在するタスマニア島を模している。造船所のあるホバート市は「5」の文字の右斜め下辺りになる。


上層は豪華なエグゼクティブ船室。こちらは片舷あたり6席が設けられている4人用スペース。各スペースには個別に液晶TV、フレキシブルアームの読書灯、クッションが備え付けられており、これで2時間半の航路は完全にオーバースペックなのでは*1……ちなみに、1番船のReraはこちらに比べると、普通の座席が並んでいるだけであまり驚きはない(らしい)。


エグゼクティブ船室の前部、片舷あたり11席が設けられている2人用スペース。こちらも素晴らしい…


エグゼクティブ船室の後部には、窓に向かって斜めに片舷あたり4席のマッサージチェアがある。各座で色が異なっており、なんとも重量感あふれる仕様。


コクピットは、ウォータージェット推進の高速船だけにもちろん舵輪はなく、肘掛けの小さいツマミによるステアリング操作となる。フルノ製の電子海図モニタの前にあるのがスロットル。コクピット自体は後方に事務机やキッチンもあり、絨毯敷きで居心地のいいオフィスのよう。


T2の後部露天デッキには、なんとこちらも青森からのお土産、雪が積もっていた。


最近たまにやりつけない正調乗り物写真を離れて、若干芸風の違う作例を模索するようになってます。

というわけで、カタギの人間を連れてフットワークも悪く、夜景の写真などは難しいので本日はこれにて撤退。そして、いよいよ明日は久里浜でのまるっとクルーズとなるわけである。

*1:ただ、定員が完全に横になるには若干狭いようで、夜行便としての需要に応えるには設備が中途半端だとの批判もある