ニュージーランド海軍「テ・マナ」見学

Blueforce2005-06-05

本日0500、名古屋より弾丸ツアー帰還いたしました。
先月のオーストラリア海軍のキャンベラの時は家を出る10分前に面倒くさくなってアボートしたのだが、今回はまだきちんと見たことのないANZAC型なのと、同行者がいるのでバックレるわけにもいかない。
2100家出で、西湘バイパスや真鶴道路は通ったもののあとは本当にオール下道で、0500には名古屋ガーデン埠頭に着いていた。車中で仮眠後、1000より行動開始、保存されている砕氷船(一般には「南極観測船」の方が通りがいいが、正確な分類は砕氷船)「ふじ」を撮ったり港内遊覧船で海上からの姿を撮ったり(ところが補給艦がメザシで海側に付いているのでテ・マナ単体の姿は撮れず)して、午後からの一般公開に臨んだ。
万博期間中で告知が行き届いているためか、世界一周中のスペインの復元帆船「ビクトリア」到着イベントと重なったりしたためか、人出は異常に多く、行列は艦全長をほぼ1往復しているので200m強といった長さ。結局入場まで1時間弱かかってしまったが、これだけ待たされたのが幸いするのだから世の中わからない。やっとの思いで乗艦し、艦内上甲板レベルから階段を上がって通されたのはなんとCIC!さすがにここは撮影禁止だったが、1,000人は超えようかと思われる人数を荷物検査をせずCICを順路に入れてしまうNZ海軍の太っ腹に驚きつつ、次はブリッジに。
見学客はひきもきらないのだが、ちょうど私が上がったときはブリッジには3〜4人しかおらず、終了直前に撮れればめっけもんと思っていた人が入らないブリッジの写真を撮れそうかな・・・と待っていたところ、空が見る見るうちに暗くなり、大粒の雨が。しかもこの雨、あっという間にバケツをひっくり返したような大雨になり、しかも艦が揺れるほどの風も吹いてきた。ブリッジには下から上がってくる者、慌てて引き返してきた者であっという間に満員となってしまい、当初右半分、艦長席の方をロープで仕切って立入禁止にしていたのだが、これを解いて全室に日本人が立錐の余地もない状態となってしまった。乗組員が「ガッ!」とドアを開けて入ってきて慌てて閉めると、頭から水をかぶった状態というか、水中から上がってきたのとなんら変わりないほどの濡れようである。後で聞いたらどうも大粒の「ひょう」も降ったらしい。
立つスペースもなくなってきたので、艦長席に座って下に見える大行列を高みの見物していたが(こんなこと書いて殺されないかな・・・)、最初のうちはそれでも7割ほどがそのまま並んでいたものの、傘を差しても何の役にも立たない横殴りの雨に、ほどんどが逃げてしまい、岸壁には数人が残るだけとなった。てゆーか、それでも残る数人は一体何を考えているのか!? 傘を持っていたのは用意がいいけど(そんな予報ではなかったのでこちらは当然持っていない)、カメラや携帯は多分壊れてしまったのでは?財布だって札全部貼り付いちゃったろうし、あの格好で電車やバスに乗れない。岸壁周囲のちょっとしたテント張りや屋根のあるスペースには、おしくらまんじゅうのように人が詰まっている(屋根の形そのまんまに!)後で聞いたら、旗甲板のテント下で押し合うようにして雨を忍んでいた数十人は「子供がいる家族だけブリッジに入って良い」と指示されて入ってきたらしい。まるでタイタニック日本沈没のようだ。安穏と暮らしている日常で、大惨事の時は壮健な成人男子は避難するのは最後という現実を時ならず思い知らされたのである。
しかし、ずぶ濡れになった方々には本当に申し訳ないが、私の撮影においてはまるで筋書き通りのように事は進んでくれて、その後行列が雲散霧消したのとCICなどに詰まっていた客がさっさと進んで行った結果ブリッジは奇跡の無人状態!まさに軍艦ジャックだ!心行くまでディテールを撮影した結果、これも嬉しいヘリ甲板に展示のシースプライトも人が入らない状態で撮って、終了時刻ギリギリの1550頃に退艦した。その後名古屋駅に移動し夕食&懇親会の後、予定を大幅に遅れて現地を出発、しかし帰りもオール下道を鬼のように飛ばした結果、行きよりさらに1時間短縮という驚異のタイムで早朝東京に帰ってきた。もう驚異過ぎて具体的な時刻を記すのはご勘弁いただきたい。
詳細は本館でやるとして、今回大して期待もせずに行った結果の感想としては、ANZAC型の艦内外のきれいさ、洗練ぶりが大変印象に残ったことと(艦令5年の新しい艦なので当たり前だが)、CICまで見せ、なおかつ大雨のために大幅に遅れてなお並ぶ見物客のため、予定時刻を過ぎても追い返さずに公開を行ったNZ海軍の親切な対応への好印象である。大砲ぶっ放すだけが軍艦の能ではない。はるか遠くの国の見知らぬ港で小さな親切が何人かの心を動かしたのだとすれば、これこそが・・・軍艦がこの世に生を受け行使を望まれた、最大の打撃力というものである。
Photoは年寄りには懐かしいシープラ。