職安通りの中心で商売を考える

Korean Nori-maki

まさに今旬の業界で働いている同居人、昨年後半辺りから帰りも遅くなり、ほとんど平日に2人(+1匹)で夕食をとることがなくなった。
本日もこちらとしては当然遅いものと思っており、夕方に何時頃帰るのかメールが来たので2000頃には帰ると返事をしたのだが、すぐに「電話をくれ」とのメールが。なんだなんだ、トラブル発生か!? と外に出て公衆電話に入ったら(相変わらず携帯持ってないので)、「焼肉食べたいので早く帰ってきて欲しい」とのこと。なんじゃそりゃ?
というわけで、帰宅してふうこの大歓迎もそこそこに、いつもの焼肉屋に行ったのだが、店内はまたまた満員で追い返される。前回のラストオーダー時刻過ぎに続いて2回目だ。なんか最近ついてない・・・まあそれはまだしも、とにかくこの街、ここ以外に実質的に飲食店はないため、またタクシーで職安通りに出る羽目になった。
近所の焼肉屋の盛況振りと裏腹に職安通りはどこも閑散としており、まあそれが木曜日としては正常な姿なのだろうが、先日入った明治通り交差点そばの店は、また同じ店に入るのは芸がないだろう、ということで一番賑やかなドンキ周辺の店に入った。
ところが、入ったことはないが前から知っているし、今日はここでいいだろうと決めてはみたものの、料理はまあまあだが、お客はなんと我々2人だけ。しかも最初から出るまで結局誰も来なかった。あまりのいたたまれなさと、まあそこそこ食ったこともあり、ここはお勘定にして、先程見て「こんな店ができたんだ・・・」とびっくりした「明洞のり巻」という店に入ってみた。
韓国ではキムパブとして代表的な軽食でもあるのり巻き、明洞ではカフェ風の、白で統一したインテリアのお洒落な店内で食べられるような専門店を結構見た。こちらもそんなスタイルの、職安通りでは今まで見なかったファーストフードっぽい店構えで、写真のプルコギのり巻きは750円。他にもプルコギ丼とか石焼きビビンパなどいろいろなメニューがあり、しかも酒を飲んで長っ尻になっているグループも結構いる。いつできたんだろう、知らなかった。しかし、木のインテリアがちょっと民芸品店風・・・と思ったら、この場所は先日まで韓国伝統雑貨の店、仁寺洞(インサドン)だった所ではないか。
そういえば、仁寺洞は職安通りの韓国文化発信地としてすっかり有名になってしまったコリアプラザが移転した跡に入居した。各店舗が成功した順にどんどん大きな敷地に移っていって、玉突きで新しい店が開店してくる。どれだけ商売人がいるのやら・・・
以前、韓国東海岸の都市、束草を旅したとき案内をしていただいた、現地で結婚されて住んでいるkuniさんに教えてもらったのだが、韓国人にはリーマン志向というのはなく、誰もがチャンスと、ちょっとまとまった金があればすぐに商売を始めるのだという。その結果、大金持ちになる人もいれば、何もかも失ってしまう人もいる、しかし大金持ちも明日は我が身、あっという間に転落することもあれば、一文無しがあれよあれよという間に大金を手にすることもある、そうして人は乾燥機の中の洗濯物のように激しくグルグル回っているのだそうだ。
いい悪いは別にして、人の国まで来てそのギラギラパワーで商売されたら、給料もらって財形だの退職金の皮算用だの言っている日本人がかなうわけがない。違法なことをやっているわけでもないから取り締まるわけにもいかない。ブームに乗っただけだ、と言えばそれまでだが、コリプラが掴んだ成功の道の後に続けと、空いたスペースに玉突きで入居してくる店を見るにつけ、そのパワーに好意的な驚きを感じる自分と、空恐ろしさを感じる自分がいる。
日本人で、ソウルで店でも出して当ててやるか、と考える人がどれだけいるかな。ここは日本だ!そんなに日本が嫌いなら出て行け!と自宅のパソコンの前で叫ぶのは簡単だけど・・・