女はいつも飢えた狼になるわけではない

on Ferryboat of”Yagiri”

土曜はまたまた同居人の新しいチワ友ご夫婦と出かけることに。半年前に転勤で大阪から引っ越された方々で、下町好きとのことでここは東京の"ザ・下町"、柴又にご案内することにした。
案内といっても、私らも詳しいわけじゃなし、ざっと参道を歩いて矢切の渡しに乗っただけだが、期せずして七五三に当たってしまいどこもここもえらい混雑である。2月に訪れて本館の日記にも記した「かなん亭」も大混雑、1組しかない外テーブルに座ることなどかなわず、店の前の縁石に座って焼き鳥を食べるわびしさ。それでも天候もまずまずで、ご夫婦には楽しんで頂けたようだし、あちらのチワワ君も人懐っこく、ふうこもと楽しそうに河原で戯れていた。
さて本題。夕食は同居人が近所の大ターミナル駅に新しくできたという和食バイキングに行きたいというので、ふうこを家に置いて地下鉄で再びでかけた。ちょっとした買い物の後、店に行くと先客が7人ほど並んでおり、リストに名前を書いて外の椅子に座った。20分ほど待たされ、店内に案内されたのだが・・・
80種類以上の和・洋・中各料理が食べ放題というのが売り文句のこのお店、いつも行く駒沢公園近くの「餉餉」が和食のみでデザートがあまりないので、犬は連れていけないが当たりだったらいいな〜、と期待していたのだが、なんか席に着くまでざっと見たところでも料理があんまりない。ビールを頼んでひとしきり飲んでから、皿を持って料理を取りに行ったが、先程から全然補充されていないのだが・・・料理の札には角煮とかハンバーグとか書いているんだけど、肉っ気はほとんどなし。ピザは1かけらだけ、焼きそばは山盛りなのだが冷え切っていた。
しめじのおひたしやビーフンのサラダなど盛ってとりあえず食べ始めたが、その後も補充する気配全くなし。もう食べるものがないんですけど。これ、どうなってるの!?と辺りを見渡すに、すでに店内はちらほらと空席も目立ち始め、他の客はおしゃべりに夢中のようでほとんど料理を取りに行く人はなし。
ここでハタと考え込んでしまった。バイキングなんて、ノウハウもなにも要らず、料理補充していれば勝手に回っていく簡単なもんだと思っていたのだが、熱々の料理が補充されるためには飢えた狼が必要なのだ。皆が夢中にお喋りしているから、いつまで経っても料理が減らない。しかし、冷え切った焼きそばやピザが並ぶテーブルに誰が料理を取りに行こうと思うだろうか。彼女らは熱々の肉料理が出てくるのを待ってお喋りしているのかもしれないのだ。完全に悪循環のサイクルに陥っている・・・
ホールスタッフもなんか手持ちぶさたに見えるのだが、バイキングでは基本の食べ終わった皿の下げも行わず、新しい(といってもさっき食べた)料理を取りに行くたびに自分で皿を片づけにいかなければならない。たま〜に来る、あまり食指を動かされない皿を盛ってくる厨房スタッフとなんか楽しそうにお喋りしているし、厨房はオープンキッチンなのになんかチンタラやってるし、同居人はスタッフが「これから入る客にはもう料理の補充はないけどそれでいいかどうか聞いてから入れろ」と言っているのを聞いてしまったらしい。入店して1時間を過ぎ、まだ角煮来てないんですけど・・・
最後になってハンバーグが来て、はち切れそうな腹をだましだまし何個か食ったが、これなんか実家のおかんが作るのと変わらんようなきもする。デザートのケーキがあるのは嬉しいが、それを食べ終わった所でエビチリが運ばれてきた。これはさすがに食えずゲームオーバー。
ネットでの評判も良かったらしく同居人は相当期待していたようだが、確かに各品の作りは手が込んでいて決してまずいわけではないが、これでは評価のしようが・・・「飢えた狼」がいつも群がっている、活気のある「餉餉」に思いを馳せた。食べ残しのどっさりと出る、地球に優しくないバイキングレストランの経営を自分ができるとはとても思わないが、もし自分が店を任されたら、皿の中身が3分の1を切ったらどしどし下げさせるだろう。食いきれない位の料理を並べて、客の皿をどんどん取り替えて、大声出して・・・目玉料理はちょっとサイクルを変えてじらすのもいい。有楽町リプトンの名物、トライフルなんかちょっとそれを狙っているフシがあるし・・・ダラダラ客を入れてダラダラ料理作って、なんか濡れたマッチで火を付けるような徒労感に、はち切れそうな腹とは裏腹にため息ばかりの夕食であった。まだ開店したばかりなので、暖かく見守るべきなのだろうが・・・一番の目玉は、寺島しのぶに激似のホールスタッフのお姉さんか。
Photoは矢切の渡し最終便船上のふうこ。
http://homepage.mac.com/izunton/