ハッピードッグクルーズ「遊」

Happy dog cruise”You”

カールスクローナの入港を羊蹄丸の横でお迎えし、その後第三台場横の駐車場で撮影を終えた我々であったが、当然ここまで来てふうこを散歩させない手はないので、いそいそとリードを装着して、撮影機材は一切合切車に置いて歩き出した。
第三台場でみっちりと走った後、砂浜の方に移動してクールダウン。 いつもは砂浜のほぼ中央にあるトイレの所で引き返すのだが、今日は同居人もいないことだし、遊覧船の船着き場の辺りまで行ってみるか・・・そういえば、観光船の「遊」が改装して、犬も乗れる「ハッピードッグクルーズ・遊」に生まれ変わったらしい。

http://www.suijobus.co.jp/event_cru/happy_dog/index.html

ネットでは見ているけど、パンフレットかなんかないかな・・・となぜかこちらに来ると途端に歩みが遅くなるふうこを、だましだまし連れて船着き場の券売所の近くまで来たら、前から兄ちゃんがやって来て、「すいません、ちょっとよろしいですか」ハイなんすか。「今度、ワンちゃんと一緒に乗れる遊覧船ができまして・・・」うん、知ってるよ、それ見に来たんだから。「それでですね、本日お試しチケットをお配りしていまして、無料でお乗りいただけるんですけど、いかがですか?」ハァ!? それはちょっと・・・何にも支度してないし、大体結構時間かかるんでしょ?「ええまあ、1時間くらい・・・」え〜、今日はちょっと結構だわ。
といいつつ、なんでオレは今日時間がないなんて思いこんでるんだろう、と考え直してみた。後は晴海に寄って帰るだけである。夜になるわけじゃなし、確か乗船料金は犬も取られて結構高いはず。なら・・・いいか。「それでは1200出航ですので、あちらでお待ち下さい」金曜の昼間、周囲には数人しかおらず、いる人も話を聞いたら台湾人のようだ。いい年したオッサンがチワワ抱いて小汚い格好で遊覧船を待つ・・・昔、おばあちゃんがよく語ってくれた、私がまだ2〜3才の時、近所に豆腐を買いに行ったのに、私が都電に乗りたいと駄々をこねて、汚い割烹着のままで飯田橋まで往復させられてえらい恥ずかしかった、という話を思い出した。
さて近づいてきた「遊」は屋上のデッキに20人ほどが乗っており、平日にしてはそこそこのように見える。乗ってみたところ、川島なおみとシナモンの関連グッズ販売コーナーなどが設けられていて、飛び出し防止のアクリル製の扉なども取り付けられている。スタッフの数が異常に多く、しかも皆がやたらとフレンドリー。正直ちょっとうっとうしい位である。しかも、事情がよく飲み込めないのだが、客だと思っていた普通の服装の人が突然「いらっしゃいませ」とか言うので面食らう。オープンデッキに乗っている連中は客じゃないのか?
まるで招待客だけ乗せたプレオープンのような趣の「遊」は、お台場側のアンカレイジを回り込むようにしてレインボーブリッジの下をくぐり、沖に出て行く。カール君とさわゆきは後方に遠ざかって行くので、カメラをもってこなかったのは迂闊だったのかラッキーだったのか・・・大体、車を出るときは財布さえ置いて行こうかと思ったのだ。お台場でこんな丸裸の客いるか!?
せっかくだからデッキに出てみたが、なるほどタダで乗れるとはラッキーと思いつつ、寒くてしょうがない。それなりに乗っていた他の客もあらかた下に降りてしまったようだ。マネージャーのような人が、スタッフが写真を撮ってご自宅にお送りしますから・・・というので、ふうこを床に置いたら、抱っこしないんですか?という。えっ?犬だけでしょう?と言うと、飼い主様も一緒にお撮りしますので・・・いやいや!それはいいですよ〜!と断るも、せっかくだからご一緒にどうぞどうぞ、ということで、仕方なく一緒に撮されてしまったが、船内で犬の結婚式(!)もできるらしいので、改まって背広を着たちょっとホストっぽいカメラマンの兄ちゃん、EOS10Dでどんな写真撮るかと思ったら、モニタを見せてもらった所、微妙な構図・・・ワンちゃんだけの写真も撮ってありますよ、ホラと見せてくれた写真がまた微妙・・・
歩けば15程の距離を45分かけて、船の科学館に到着。そうしたら、身内と思っていた客が全員降りてしまった! 船内に客は私1人。寒いので船内に入ったら、「ご乗船ありがとうございました」いやいや、私車をあっちに停めているんでまた戻りますよ。後で考えてみたら片道500円、犬1頭につき600円取られるので、これで1,600円分の大サービスである。しかし、デッキでふうこのことを「カワイイ〜」とワラワラと寄ってきたスタッフの女の子に、船着き場の所でタダ券配ってたんで乗ったと言ったら皆そのことを知らなかった。なんかこの船、謎だらけ・・・???食い物でもあるのかと思って下の客室に降りたら、スパイシーチキンのようなものとジュースがあるだけで、酒もないし(いや、もちろん本日は飲むつもりはありませんよ)飲み食いにはほとんど役に立たない。
帰りはもう景色は堪能したので、下の船室で1人+1匹ポツンと座り、まるで異次元のような空間を45分かけて海浜公園の船着き場に戻ってきた。降りてまたふうこを歩かせて砂浜を戻ると、出航して行く船のオープンデッキから、さっきのスタッフの女の子が大きく両手を振っているのが見えた。ま、これだけでも乗った甲斐があったかな・・・こちらもふうこを高く掲げて、犬ともども手を振った。
私が乗ったあれは、幻だったのだろうか。