きょうの猫村さん

Neko-mura-san&last Tomcat with Felix

同居人が買ってきた漫画「きょうの猫村さん」。
なんともいえない落書きのような猫の絵が表紙の、脱力不条理漫画のようである。私はまったく守備範囲外なので、全然知らなかったのだが、すでに大人気らしい。だから、今更日記で書くのも恥ずかしいのだが・・・
泣けた。これは反則!
吉田戦車以来、ヘタウマ絵の不条理漫画というのは世にあまた出現したわけだが、これはその中でもエポックメイキングとは言わないまでも、その歴史に確実に1項加えられるべきものである。
大体、不条理ではないのである。飼い主とそりが合わなくて家を飛び出した(本物の猫)猫村さんが、アメリカに行ってしまった(離婚して母親に引き取られた)坊ちゃんに合うために英語を勉強すべく、家政婦として働き始める、というストーリー。猫が家政婦という以外はひねった設定もなく、派遣先でのグレた娘との交流や、入ってはいけないと念を押された謎の部屋など、まあ市原悦子さんのパロというような、他愛のない話なのだが、絵がねえ・・・
今まで見たヘタウマキャラのなかで、最強の可愛さなのである。作者、これはズルいよ〜。ドラえもんの第1話を彷彿とさせる姿形、「NECO」のエプロンといいたて結びといい、すべてが落書きのようで計算し尽くされている。で、泣かせるのは猫村さんのひたむきさ、真っ直ぐさ。派遣先に誠心誠意尽くす仕事ぶりや、食事もとらず部屋にこもるヤン娘になんとかして食べてもらおうと、特製の「ネコムライス」を愛情を込めて一生懸命作ったのに、「愛情・・・そんなもの・・・いらね〜!」とお盆ごと叩き落とされて、「ネコムライスがぐちゃぐちゃだわ・・・」(しかしその後粗末にはできないとその場でおにぎりにして自分で食べてしまうというアナーキーさ)のシーンなど、涙なくしては読めない。
他にも、先祖「猫村」の一族の悲しい歴史を回想するシーンに描かれた、皆で楽しそうに農作業に勤しむ猫たちの姿や、派遣紹介所に住み込みで暮らしている家政婦達に混じって、食後の片づけものをしたりお茶を入れたりしながら、2時間サスペンスの話で皆と盛り上がる猫村さんなど、どのシーンを取ってもその可愛らしさに癒される。
この漫画、ケーブルテレビのインターネットサービスサイト http://www.jp.home.com/ で毎日1コマ連載されているものを単行本化したそうで、このサービス利用者でないと連載は閲覧できない。単行本のページ数から計算すると第2巻の発行はまだまだ先のようで、それまでどうしたらいいのか・・・と思ったら、カーサ・ブルータスで外伝の連載が始まったらしい。さすが、おいしいコンテンツをめざとく押さえたマガジンハウスの目の確かさが伺える話だが、この漫画、連載を始めた時はここまで売れるとは露にも思わず、無心で描き始めただろうに、あまり早くに大出版社の商業ベースに乗せられちゃうと消費されつくして枯れるのも早いのではと心配するのだが、会員制コンテンツで普段猫村さんを見ることができない一般読者としては、どこかで触れ合える場が欲しいというのもあるし、なかなかジレンマである。某掲示板に書いてあったように、2〜3分の帯アニメになればいいのにな〜
VF-31のフェリックスに始まり、↓のモモンガキャラと、最近ファンシー動物キャラづいている私。こりゃ、ふうこもうかうかしていられませんねぇ〜。でも、この画風、なんかちょっと小島功の「ヒゲとボイン」を思い出すのは私だけだろうか・・・

きょうの猫村さん 1

きょうの猫村さん 1