北帰行 前編

Clock house of Sapporo

所用があって、札幌まで行くことに。
観光ではないので、朝一番の便で行く気など毛頭なく、午前中は家でごろごろ。やっと重い腰を上げたのは昼過ぎだった。
東京は快晴だが、この週末は今シーズン一番の冷え込みと、大荒れの天気という予報が出ている。果たしてたどり着けるのだろうか・・・JRのホームのLED表示には、奥羽・北陸方面の寝台列車は全面運休と出ている。羽田までは京急が便利なのだが、最近乗っていないし、こう天気がいいとモノレールの方が気持ちよかろうと思って、浜松町へ。土曜の昼下がりでは車内もガラガラだ。当然のことながらかぶりつきを占拠、初乗車となる空港第2ビルまでの旅の助走を楽しむ。空港の敷地を回る高架の車窓からは、対岸の木更津辺りとアクアラインの換気塔がよく見える。
本日の搭乗便は定刻1440発のAIR DO19便。チェックインをして往復の券を受け取るが、すでに出発便の表示には軒並み「天候調査中」の文字が。搭乗ゲートまで行ってみると、1400時点での千歳のウェザーを見て判断とのアナウンスがあり、すでに定時出発は難しい雰囲気。出発しても旭川にオルタネートの可能性があります、とも。まあそれはそれでいいが・・・
いかにもAIR DOらしく沖留めのため、バスで駐機スポットに移動、今日の機体はANAからリース中のJA8258であった。結局1515離陸。こちら側は天候も良く、ねずみ園も葛西臨海公園の沖の洲もよく見える。那須の上空辺りから、地面に白い物が目立つようになった。山形と思われる辺りからは地表面ではすでに日が落ちたこともあり、よく見えなくなってきた。さらにそのうち、下は一面の雲に。何も見えないので、ちょっとうとうとしてきた。
しばらくすると、すでに窓の外は真っ暗で、雪がものすごい勢いで真横に飛んで行く。よくエンジン、あれだけの雪を吸い込んで回ってるな、と驚くほどの吹雪だ。もうすぐ降りるらしいが、アナウンスでは各機とも順番待ちで、当機も空港の南50kmの地点でホールド中。順番待ちでは4番目を与えられており、降りられることは降りられるが若干時間も延びる可能性もあるとのこと。またちょっと意識がなくなってきたが、ある時「ドガン!」という音が。なんだ、もう降りたのか。しかし、いつまでたっても地上の景色が見えてこない。あれ?脚を出した音なのかな?・・・と、アナウンスが。「ただいまの音は落雷によるものと思われますが、飛行の安全に影響はございません」えっ?おいおいおい、そう聞いて思えばすごい音だったぞ。大丈夫かいな・・・そうこうするうちに、ボトムを切って地上の灯りが見えてきた。ほどなく着陸。
降りてみれば雪も小降りで、さすが北方の最前線、除雪も完璧に行われており、働いている人には申し訳ないがオレンジの灯りに映える白銀の世界が美しい。ターミナルに足を踏み入れると、搭乗口の一帯は難民のような人々でごった返していた。どの便も飛ぶには飛ぶが、それが何時になるのかわからないらしい。しかし、これも明日は我が身。明日になれば、確実に私はこの群の中にいるのだ。出るルートがイレギュラーなのか、一度仕切られた廊下を出て搭乗客の間を縫って出口に降りてきた。これじゃ到着と出発の乗客が混ざっちゃうじゃないか・・・いいのか?
結局、到着も出発時と同じ時間差の遅れで、上空待機もそれほどなかったようだ。そのままJRホームに向かい、1719 発のエアポート173号に乗車、この列車は札幌から「スーパーホワイトアロー」23号になるため、使用車両は785系でちょっと得した気分である。トンネルを出た所で隣にいきなりキハ281系が併走して驚く。南千歳同発はあるけど、複々線じゃないんだから同方向同着はないだろ〜?と思ったら、この「スーパー北斗」もご多分に漏れず遅れているらしい。ここはとりあえず特急に先を譲り、S北斗は先に出ていった。しかし道中は快調で、2分ほどの遅れで札幌に到着した。
駅から時計台隣のホテルへは徒歩8分、地下鉄大通駅からは3分とのことで、どちらから歩いても中途半端な距離。1駅地下鉄に乗っても、ほどんど正三角形の三辺で、あまり近くにはならない。天気が良ければ歩くのだが、それも厳しい・・・ということで、ばかばかしいが1駅地下鉄に乗った。しかし、南北線はいつ乗っても混んでいる。こちらは荷物も多く、まるで朝ラッシュ並の車内に乗り込むのは大ヒンシュクもの。こんな事なら歩けば良かったわ!
チェックイン後、早速夕食のためすすきのに繰り出すが、1人で来ていると居酒屋に入るのもなんだし、食事にも困る。牛丼で済ます気もさらさらなく、雪まみれになりながら路地を回るが、そうなると意外にないもんで、なんとか見つけた回転寿司屋はガラガラでちょっと入るのに躊躇・・・いい加減真っ白になって来た頃、1人で入っても不自然ではない(回らない)寿司・刺身料理屋を発見、久しぶりの握りをたらふく頂いた。景気づけに普段は飲まないポン酒もグビッとやって、お勘定!
この時期には珍しい大雪とはいえ、札幌市内は融雪も行き届いており、歩くには不自由もなく、車も普通に流れている。しかし、帰り道すがら写真を撮るべくぶらついた大通り公園はそれなりに積もっており、しかもその雪質がさすが北海道、靴で掘っても下の方までパウダースノーで全然固まっていない。ビルの上に表示されている気温はマイナス5度・・・そこそこイルミネーションの写真を撮って退散、寝るには早いのでホテルの前にあるネットカフェで各サイトのチェックや掲示板のレスなどをしてホテルに帰り、なんだかんだで0200就寝。