渡るの!?ドーバー

our Range Rover

当日記ではたびたび次期マイカーについての戯れ言を書いている。
当初カテゴリにも「車」が独立してあったが、あまり書くことがなかったのと、鉄を独立カテゴリにしたくなかったので、乗り物全般にまとめてしまった。このカテゴリをひもとけば、開設当初に期待満々でマイクロバスを2007年には・・・と記してある。その後、レンジの調子に合わせて計画は出たり引っ込んだり、候補車種はでかくなったり小さくなったり、高くなったり安くなったり・・・まあ次期戦闘機を選ぶわけではないから気楽なもんだが、しかし今回ばかりは楽しみとばかりは言えないところがあって、複雑な心境なのである。
私が最初に乗った車はGTO、学生の時に買って2年ちょっとで4万3,000km乗った。その後、またバイクに戻り6年、結婚を機にやはり車がなければ不便だろうと探したのが、今のレンジである。
前のオーナーがJリーガーというこの車、99年6月に購入したときは2万3,000kmになろうとするところ、現在は9万2,000kmである。長い間あこがれの存在だっただけに、中古とはいえ手に入れた時の喜びもひとしおであったが、以来6年半、車検は3回を数え、まだまだ飽きることがない。北海道に3度の帰省、岩手の山奥や中津川林道でガンガンダートを攻め、富山、高山、長野、名古屋、大阪、仙台、山形・・・富士山麓三浦半島に行くことなど数えきれず。途中でふうこが家族に加わって、2人+1匹で、どこに行くにもレンジがあった。
バイクを一度も車検通したことのない、飽きっぽい性格の私としては考えられないことである。ご多分に漏れず壊れまくるという評判を裏切って、前半はトラブルらしいトラブルもほとんどなく、とにかく使いやすいしステイタス性はピカイチだし、人生半ばでこんな理想の車手に入れてしまったら、あと乗る車ないじゃん!と危惧していたら、その通りになった。
後半になると、それなりにお金のかかるトラブルがポツポツ出だして、リセールバリューとかを考える「日本的」な車の乗り方でいくとそろそろ潮時だったのだが、手放す理由が見あたらない、というか、手放したくない。乗るごとに思い出は増えて、車とともに年輪を重ねるというような、いい感じの人生になってきた。故障さえも愛おしい・・・とまでは言わないが、実は私に負けず劣らず、車などには基本的に興味はない同居人がこれまた気に入ってしまっているのである。折に触れて「そろそろ何とかしなきゃね」「そうさな〜」という話がでるものの、では実際次の車を物色する、・・・こう言ってしまっては変な話だが、勇気がない。
出会いがあれば必ず別れがある。あと10数年すれば確実にふうこを看取らねばならないし、どちらが先かはわからないが同居人とだって最後は死別だ。で、車・・・ここから先は茨の道だよ、2回目の飲み込まれフェイズだ、しかも1度目より長く、厳しい闘いになる、その覚悟は本当にできているの?と、天の声は聞こえれど、こいつと別れるということが考えられなくなってしまった、たかが車のはずなのに。
自分がエンスーであるという自覚はない。ガレージでいじったりする趣味はないし、故障を楽しむゆとりもない。この先に立ちはだかる大きな困難を思えば、さっさと売っ払ってしまえば、その踏ん切りが簡単につけば楽なのだが・・・。同居人は手放す時、最後のさよならで泣くだろうと言う。確かにその時は、一抹の寂しさや感慨を味わうのはわかっている。しかし、今までの私だったら、泣くとは何をアホなことをと一笑に付すところだが、どうも笑ってもいられなくなってきた。