レンジ最後のご奉公で城ヶ島へ

Forever! our RANGE ROVER

レンジ最終日となってしまった。
本当は新車が来るなんて大イベント、週末たっぷり乗り回せるように土曜の朝イチにディーラーに飛び込んで行きそうなものだが、ここはレンジのお別れドライブをぜひ、ということで、納車は日曜になっている。これをズルズルやるときりがないので、保険の車の入替えも5日にして、本日できれいさっぱり忘れようということで。
この週末はまた今季一番の寒さということで、都内をブラブラ乗って流すだけでも良かったのだが、天気はいいのでせっかくならやはり何度も行った思い出の地、城ヶ島へ行こうと、1000出発。カタネでパンを買うのも三京を走るのも、本当に今日で最後、あと何年かは高い視点で景色を見られるのはおあずけである。三ツ沢から幸浦線に入るいつものルートだが、今日は城ヶ島お別れドライブがメインなので珍しく横須賀・観音崎にも寄らず、衣笠から初めて三浦縦貫道路なるものに乗った。しかし、城ヶ島ドライブの醍醐味というのは三浦海岸から海沿いの集落を縫って走る剱崎経由の道にあるのであって、この縦貫道路に乗ってしまうといきなり裏の横須賀教育隊のある林の辺りに出てしまい、三崎口の駅前を通って引橋のY字路で三浦海岸からの(内陸の)道と合流、何の変哲もない田舎道を経て城ヶ島に着いてしまう。非常に美しくないうえに、縦貫道路は片側1車線で大して長くもないのに350円も取り、料金所はETCもついていない。誰が乗るか、こんな道! 案の定、通行する車はほとんどない。大体、半島の裏に抜けるってだけで、城ヶ島には大して近道にもなってないんだよなあ・・・
城ヶ島では運良くどん詰まりの広場に車を停めることができ、人も犬もしっかり着込んで散歩に出発。予報では昼間でも5度位までしか上がらないと言っていたのに、思いの外暖かい。いつもの便所の横の崖を上がる道を通って、反対側の安房崎まで往復する。天気も良く、風がないため日差しが暖かく、結構散歩日和である。前日までは車を一歩も降りられないかと思っていたのだが、ここまで足を伸ばして大正解。いつ来ても波の洗う岩場をタイミングを見計らって小走りで渡らないと行けない安房崎の灯台も、凪いでいるのと潮が引いているせいで根元に腰掛けて一服できるほどの穏やかさ。ここでこんなにくつろいだのは初めてのことである。これで軍艦でも来たら最高なのだが・・・それはなかった。
先日のトリビア特番で、「猫はどの位までの大きさの魚をくわえることができるか」というトリビアの種をやっていたのだが、実はこの実験の収録をしたのがこの安房崎の断崖の上にある公園のトイレ裏。テレビに登場した猫にも見覚えのある奴がいる。何十匹もいるのだが、このトリビア実験でよほど魚が食い放題だったのか、それとも普段の食事もいいのか皆まるまる太っている。ロケ地巡礼ということもあり、わざわざ公衆便所裏に回り、悪臭漂う浄化槽のマンホールの上でふうこと猫たちのカラミ写真を撮る。他の人達が不思議そうに見て通っていくが、猫が何匹もいるのを見て納得するようである。でないと変●者にしか見えないので・・・。ここの猫は皆血がつながっているのか、左右の目の色が違うのが特徴。特にひときわ目立つ、真っ白な個体(番組でも大活躍していた)が今日もまるで陶器の置物のような風体で佇んでいた。
本当は剱崎辺りのどこかで、景色の良い所を見つくろってレンジの写真を撮ろうと思っていたのだが、順路が逆だったうえに散歩している間にベタ曇りになってしまったので、結局一枚も撮れずじまいだった。まあ、今さらジタバタしても始まらないし、同居人曰くそれでいい、思い出の中で生き続ければそれでいい、と言うので、それで納得することにする。いつもの通り土産物屋でゲソ焼きを買い食いして、ふうこも満足したようなので帰路についた。三崎口駅手前の野菜直売所で、特産の超大型三浦大根と、今日の夕食用の白菜を買う。これからは出先であまり大きな土産も買えまい。シートを畳めば自転車まで載ったレンジの実用性を捨てるのも惜しいのだが、ライフスタイルを固定してしまうと人生の幅も狭くなる。ここ数年は荷物の載らない不便を堪え忍んで、オープンエアの快感に身をゆだねることにしよう。親も年だし、どうせ次はミニバンにしかならないのだろうから。
帰りはいつものように横須賀に出て、ヴェルニーにも寄らず金沢―シーパラ前経由で横浜に出て、三ツ沢から三京に乗る。実は来る時に、料金所でおつりを同居人に渡し損ねて100円をシート下に落としてしまった。パワーシートやヒーターの配線などが絡みつくここに落とすと回収は不可能。最後の最後で買い取り店にお土産をつけてしまったわけである。買い取り査定100円プラスしてくれないかなあ〜。なんてことを考えながら玉川まで来た。307CCにはETCが取り付けてある。恐らくこれが、生涯最後の有人ブース通過、おじさんの手を愛おしむように握って通行料を支払った(ウソ)。
最後のドライブを終え、無事入庫。明かりを消してシャッターを閉める。次にこのシャッターが開く時、レンジはもう戻らない旅に出るのだ。