みんな頑張れ!アルペン賛歌

GOLD medalist Kjetil Andre Aamodt

日本人は本当に球技が好きだ。
いつものマイナー愛好癖が出たわけではないけれど、私は球技が苦手、どちらかというと嫌いな方である。というか、スポーツ全般が苦手なんだけれど、一つだけ、アルペンスキーは一時期結構夢中になって見ていたことがある。
今冬の雪による死者140人近く、こんなに世界有数の多雪国でありながら、日本には伝統的にウインタースポーツが根付かない。やはりいにしえの日本の中心は近畿、日本人のスタンダードはヤマトなのだ。北国出身の同僚が「藤原さんがもうちょっとがんばってくれれば・・・」と嘆くことしきり。平泉に都があったら、もうちょっと重心が早くから北に寄って、そうしたら日本もアルペン大国に・・・と妄想も膨らむ。
雪の降る山はそこらじゅうにあるくせに、狭い国内、長いダウンヒルコースは取れず、高速系が弱いのは仕方ないが、技術系ではもっと世界レベルの選手が出てきてもおかしくないのではと思うのだが、日本アルペン界で最大の目標である長野でも有効な強化策を打ち出せなかった。岡部哲也の後を継いで長らくエースの重責を担った木村公宣の引退後、佐々木は今期いい線行っているようだが、オリンピックで数字が出なければ人々は納得しない。大体途棄が多すぎるんだよ・・・
だから、4位に入った皆川には正直驚いたし、素直に拍手を贈りたい。銅との差は100分の3秒。もちろん結果が全てだし、上位有力選手の失敗に助けられたところもあるが、今までアルペンの日本選手というと、見ていてゴールまで滑り切れる気がしなかったのに、割と危なげがなかった。今回は割と話題も少なく、日本での盛り上がりにも欠けたし、選手強化を怠ったわけでもなかろうが、淡々と始まって淡々と終わりそうだったので、いや実際そうだけれども、猪谷千春以来日本アルペン50年ぶりの入賞に、バンクーバーへの一縷の光明を見るのである。
また、今回SGで金メダルを獲ったチューティル・アンドレオーモットアルベールビルで華々しくデビューし、大形新人オールラウンダーと騒がれた彼も、あれからなんと14年! すでに大ベテランとなってしまったが、今回の金は年齢を考えると奇跡に近い。生で見たことのある数少ない金メダリストだし、私達の世代を代表する随一のアルペン選手だけに、今回の金には惜しみない拍手を贈り、今後もう残り少ないであろう現役生活の無事を祈るものである。