伊豆マウンテンドッグラン

Izu mountain dogrun

伊豆に行くにあたって、今や代官山、駒沢辺りと並ぶ犬の聖地のようになってしまっている所で、ふうこを遊ばせない手はないと探して見つけたのがここ伊豆マウンテンドッグラン
何となく名前と存在は知ってはいたのだが、前にも書いたように伊豆に足を伸ばす予定がないので、同地の犬施設について詳細に調べたことはなかった。山の斜面を利用した、いわゆる「ドッグラン」とは毛色の違う施設らしいとのことで、山を駆けめぐるならふうこの十八番、今回のドライブの最終目的地に決定となった。
男の飼い方というか、女性が多い他のチワワオーナーとお付き合いがあったりするわけではないので、することといえばひたすら走る。同居人もカフェで膝に載せながらご婦人方大人数で何時間もおしゃべり・・・というのには関心がなく、ふうこは子供の頃からとにかく走らされてきた。自宅近くの公園も比較的起伏のある所なので、ただ走るだけではなく、斜面の上り下りも散歩コースに入っており、遠出すれば先日の鎌倉ハイキングから飯盛山の山登りのようなケースまで、とにかく起伏のある所を意識的に歩いている。同じ距離なら平坦な場所よりも消費カロリー量は多いはずだし、長寿のためには足腰が丈夫なのがまず大事。かくして、ふうこは顔に似合わず筋骨隆々の筋肉チワワになってしまったのである。
もともとがかなりのハイオン体型(足が長いカモシカのような体型のチワワ いわゆる昔ながらの太い短足体型のは「ドワーフ」という)のうえに、心肺能力の高そうな深い胸腔、一時期留守番おやつの食べ過ぎでかなり太くなったが、強制ダイエットのおかげで見違えるほどスラリとした下半身。すでにショータイプとは程遠いが、野山を駆け回る犬本来の姿はかくあるべしという感じ(なぜか一緒に歩いている人間は全然痩せない)。急な斜面で見るなり帰ってしまう人もいるというマウンテンドッグラン、相手にとって不足はない。
さて、このマウンテンドッグランがあるのは熱川の山の上、三菱の別荘地のさらに奥とのこと。事前にサイトで地図をプリントして行ったが、たどり着けない人続出らしく、一抹の不安が・・・国道135号を下ってきて、熱川プリンスホテルを左に見た所、ファミリーマートの手前を右折、坂を登って行くと135号の旧道と交差、そのまま直進で山を登って行く。かなりの急坂を1kmほど登ると、左に曲がる道がある。ここが一番わかりにくいが、要所要所に建っているペンションなどの案内看板の一番下に、小さいながら「ドッグラン」の表記があるので、見落とさなければ必ずたどり着ける。立派なマンション、別荘地の現地事務所を右に見て、もう一度右折すると、切り通しのような道を今度は下り始める。ここからは別荘もなく、現地事務所先の右折から800m程で左側に住宅のような建物が見えるはずである。ファミリーマートの角から5分ほど。
建物の斜め前が駐車場になっており、その隅に管理人なのかオーナーなのか(オーナーらしい)おじさんが座っている。駐車場はどこかのサイトで150台と書いてあったが、どう見ても10台がせいぜいなんですけど? 話好きなおじさんとひとしきり世間話をした後、小型犬は1,200円、人間1名につき300円の入場料を払う。1回で制限時間は3時間とのことだが、それだけあれば十分である。

敷地はおよそ横×奥行き50mほどだが、他のドッグランと違うのはそれが立体的になっていることだ。高低差はおよそ30mほどもあろうか、元はミカン畑だったのを、整備してドッグランにしたのだという。2重になっているゲートを入るとまず水飲み場、持参していなければ水筒も貸してくれるが、ドッグランなのだから飲ませたければ下まで降りてくればよかろう。さあここからが犬にとってはお楽しみ、両側に向かって登山道が伸びており、段々畑のような(というか実際段々畑だったのだろう)トラバースを行ったり来たりして上に登って行く。中段には横幅3mほどだがきれいな芝生の部分もあり、随所に設けられたベンチで人間様は持参の弁当を食べてもいいそうだ。

さらに上まで登ると、こちらは木の根がゴツゴツした土が比較的むき出しの地面だが、眼下には海が広がり沖には大島が望める。

ドン詰まりまで行くと、ちょっとした林間コースの趣で、かくれんぼのようなこともできたりする。しかも、他の犬が苦手な子用の隔離スペース(別料金)などもあり、敷地は頂上付近で未だ拡大を続けているようだ。訪れたときは、芝生が養生中のスペースもあり、犬はOKだが人間は立入禁止だった(ほんの一部分だが)。
ベンチやテーブルもよく整備されており、随所にウ○チ袋が備え付け、水場は清潔、中段にある小屋の中には犬のおもちゃとして木片が備え付けられており、自由に使うことができる(ふうこには大きすぎて無理)。びっくりしたのは木の柱に取り付けられている細長い矢のような鉄棒で、先端が5cmほどの正方形の板になっている。何かと思ったら、よその犬のでもいいからウ○チを見つけたらこれで回収の目印にするので差しておいてほしい、とのこと。その他、急斜面で注意喚起の看板など、随所に不思議な言い回しで書かれており、その工夫や配慮に感心する。
山登りと言っても、そこはドッグラン、頂上まで登ってもたかが知れているし、ふうこにとっては日常の運動だが、ハイヒールで来たりすると辛い・・・急坂の道にはゴムのギザギザマットが敷かれてはいるが、お洒落な靴だとかえってそれで足元を取られる。なるほどこれは今日日の犬飼いではガッカリして帰ってしまう人もいるわけである。しかし、訪れた日はお客も少なく、ほぼ貸切のような状態で楽しめたが、後から入ってきたゴールデンの数頭は、実に嬉しそうに斜面を登り降りして駆け回っていた。愛玩犬になっても犬は犬、たまには自由に野山を走りたいのだ。特に中・大型犬では都会のドッグラン、駒沢のような所でどれだけストレスが解消できるのか、と。
チワワだってそうさ。ブランド服着せてドッグカフェで犬そっちのけのお喋り、それも結構。でも運動はいやだとか、オシャレさんだから泥臭い遊びはしたくないとか、そういうことは言っちゃいけねえな。仮にも犬飼ってんだから。急な斜面をよじ登って、迷路のようなルートの先で待つ飼い主の所にどうやって追いつくか、頭を使って考える・・・そういう時のふうこは、いや他の犬も、野生を思い出した生き生きした表情をしているように見える。何度下と頂上を往復したか、たまに中段の芝生で寝っ転がったりして、気がついたら2時間も遊んでいた。普通平地のドッグランで2時間もつぶせます?こんなドッグランが、もうちょっと東京に近い所にもあると助かるのだが・・・ま、オレがいくら偉そうなこと言っても、運動に興味なきゃ行かないだろうけど、運動好きな犬(それもミニピンやイタグレなどの平地走行系より起伏を歩いて登り降りするのが好きな子向け)、犬と走り回るのが好きな飼い主には超お勧めです。
もう一つ、感心したのは、オーナーのおじさんが最初に名前を聞いてきたので答えたが、まあご挨拶のようなものだと思っていたのが、帰るまでその名前で呼んでくれること。ふうこだけかと思っていたのだが、よその犬も全部覚えていたようだ。元はミカン農家で客商売じゃないだろうに、こんな所がさすがのプロ意識。こういう所で商売って違ってくるんだよね〜。見習わなくちゃ。とにかくおじさんは暇を見て見回りやゴミ掃除で敷地内を行ったり来たりしていて、好きでやっているのがよくわかる。

営業時間は1000〜日没まで、朝の0800〜0950は貸切タイムで、要予約とのこと。