1995年厚木オープンハウスの展示機回顧

NAF Atsugi openhouse in 1995

厚木でオープンハウスが開催されなくなって久しい。
先週土曜日・8日に催されたさくら祭は海自開催のチビヤンを除いての久々の基地開放で、夏の盆踊りと違いエプロンに展示機を並べて各部隊のダブルナッツ(CAG―空母航空団司令)機を間近に見ることができたという。
先日も書いたが、年を取ったせいかギラギラした欲望が抜けて、もうあまり一般人が写り込んでしまう航空祭で写真を撮る気がなくなってきた。ディテールを撮るのも大事な記録、それよりも与えられたチャンスであらゆる物を記録するのが真のマニアだというのはわかっているが・・・ということは、私は多分真のマニアではないのだろう。
初めて厚木のオープンハウスに足を運んだ頃は、ちょうど70年代末のフライトが充実していた時期の反動か、まったくフライトがなく、考えてみれば今回のさくら祭のようなものだった。当時、海軍機は地元との約束でデモフライトは行わないことになっている、と聞いており、今は懐かし、航フ誌のタメさんのフラフィーに素晴らしいデモフライトの様子が綴られたのを読んで、なんで急にダメになったの?と納得がいかなかったが、飛ばないものは仕方がない。品揃えはあれども、日がな一日静かなエプロンをブラブラして、今にして思えば結構手持ち無沙汰だったろうが、まだまだ子供ゆえファントムやコルセアの周囲を一日中ウロウロしても飽きなかった。
その後、1984年だったかな、海軍基地(正確には海軍航空施設)のくせに18TFWのイーグルがものすごいフライトを見せ観客の度肝を抜き、それが2年位続いて、さすがに我慢がならなくなったか、90年代に入って地元CVW-5がキレ始めた。
1991年はフライトはなかったが、B-52やTR-1(もうU-2Sになってたっけ?)の飛来があり、1992年はついに某大手外車ディーラーのスポンサーがついて、デモカーにキャンギャルが乗って行進するようなイベントになってしまった。これにはさすがにヒコーキファンは若干引き気味だったが・・・。いくら何でもと思ったか、スポンサーつきは1年で終わってしまったが、デモフライトは翌年以降年を追う毎に大規模になり、まるで何かに駆り立てられるように世紀末の破滅へと突っ走っていくのである。
で、個人的には一番各CAG機の塗装が美しかったと思うインディ時代最後、1995年のオープンハウス展示機を紹介しよう。

VF-154CAG機のF-14A・NF100/Bu.No.161621(TARPS)。右翼下にAIM-9Lのキャプティブ弾、AIM-7Fのイナート弾・ATM-7F、胴体下にAIM-54Cのイナート弾・ATM-54Cを吊している。同隊は下のVF-21とは長らく第2空母航空団でシスタースコードロンとしてコンビを組んだ仲だが、ベトナム戦中の1972年後半の航海から第1飛行隊と第2飛行隊の関係が逆転し、VF-154がモデックス100番代をつけるようになり、この関係はVF-21の解散まで変わらなかった。従って、VF-154の塗装は第1飛行隊のスコードロンカラーである赤が入っている。

VF-21CAG機のF-14A・NF200/Bu.No.161616。両翼下にAIM-9Lのキャプティブ弾、右翼下にAIM-54Cのイナート弾・ATM-54C、左翼下にAIM-7Fのイナート弾・ATM-7Fを吊している。こちらは第2飛行隊のスコードロンカラーである黄を基調にした塗装。なお、同年末にVF-21は解散、F-14はVF-154の1個飛行隊となってしまう。

VFA-192CAG機のF/A-18C・NF300/Bu.No.163777。両翼端にAIM-9Lのキャプティブ弾を装備する以外兵装はなし。この年は同隊創設50周年で、ドーサルスパインにはドラゴン50周年と文字が入っている。この塗装、第3飛行隊のスコードロンカラーである青をモデックスやテイルコードに効果的に使用し、なかなかシックに決まっている。

VFA-195CAG機のF/A-18C・NF400/Bu.No.163758。白頭鷲の頭を機首全面に描いた有名な"Chippy Ho!"の初代だが、私あまりあの塗装が趣味でないので、尾翼のみしか撮っていない(それもどうかと思うが)。

VA-115CAG機のA-6E・NF500/Bu.No.155704。左翼下にGBU-12レーザー誘導爆弾(模擬弾)、AGM-88のイナート弾・ATM-88、右翼下にAGM-84のイナート弾・ATM-84、AGM-65F(恐らく)のイナート弾・ATM-65Fを吊している。「アラブス」を名乗っていた頃の伝統を復活させたバンブー書体のテイルコードが懐かしくてグー。なお、この機体、ちょうど1年後の翌年6月3日、リムパックで「ゆうぎり」のファランクスにより撃墜されるというまさに第二の日米開戦の引き金を引いた機体である(そのことに触れるのはやめろって!) 

VAQ-136CAG機のEA-6B・NF620/Bu.No.161883。戦闘機/攻撃機で5個飛行隊を擁していた頃、電子戦機であるプラウラー部隊のVAQ-136はモデックス620番代をつけていた。現在はA-6の退役に伴い500番代に移行したのはご存知の通り。

VS-21CAG機のS-3B・NF700/Bu.No.160156。翼下にAGM-84のイナート弾・ATM-84を吊している。S-3初の実戦部隊であり、派手な塗装で目を惹いた初期のマーキングをアレンジしつつも比較的そのまま残している、エッシイの1/48がVS-21のデカールだったよなあ、高荷義之氏の箱絵で、格好良かったよなあ・・・
この年は外来も9RWのU-2S、VMFA-115のF/A-18A、VMFA(AW)-121のF/A-18D、VMA-542のAV-8B、HMH-465のCH-53Eなど特に海兵勢が大挙して押し寄せ、もちろんF-15F-16といったおなじみの顔ぶれもおり、天気が悪かったものの大変盛況だったと記憶している。何よりCVW-5のCAG各機の塗装が美しく、今回さくら祭記念として紹介させて頂いた次第。
また、折に触れこういったストック写真を公開していきたいと思います。