激混み浦賀水道で貨物船沈没

a view from Jouga-shima

●濃霧で視界150mの東京湾、衝突で6千t貨物船沈没●
13日午前5時20分ごろ、千葉県館山市の洲崎灯台の沖合約9キロの東京湾口で、青森港所属の貨物船「津軽丸」(498トン、乗組員5人)と、フィリピン船籍の貨物船「イースタン チャレンジャー」(6,182トン、乗組員25人)が衝突した。
イ号は、船首を大破して浸水。第3管区海上保安本部の巡視船など計6隻が現場に駆けつけ、フィリピン人乗組員全員を救助した。イ号は正午過ぎ、沈没した。双方の船にけが人はなかった。
イ号は、鋼材や中古自動車を積載していた。事故当時、東京湾では濃霧が発生、現場の視界は約150メートルしかなかった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060413-00000103-yom-soci
世界一過密な海の難所として知られる浦賀水道で衝突事故。船尾を垂直にしてあっという間に沈んで行く衝撃的な映像が本日夜各局のニュースで流された。
といっても、衝突地点は緊急情報発令中の東京湾海上交通センターサイトによると、洲崎灯台から5度4マイルとのこと。浦賀水道航路南端の位置通報点、USラインからは遠く南で、一番の難所である第3海堡前後からは遠い。逆に、この辺りが海上交通センターのレーダーカバレージの限界で、監視が追いつかなかったのではないかな。もともと要注意船としてマークされていたらしいし、あまりこういう事をうのもなんだが船籍が船籍だから、AIS(Universal Ship-borne Automatic Identification System―自動船舶識別システム)も搭載していなかったのだろう。

この写真、3年前の観艦式(予行)で撮影したものだが、沈没地点はまさにこの辺りでは*1。まだ東側は房総半島で抑えられているから、航路が広がるといってもこの護衛艦群のように西に行くしかない。無軌道に動き回ると却って危ないが・・・しかし、500トンの船が艦首が凹んだだけで、6,000トンの船がどてっ腹に大穴開いて沈没とは、まさに衝角戦。21世紀の今日に東京湾で古代の海戦が再現されたわけである。津軽丸は事故後長浦の横須賀海上保安部に回航されたようで、テレビには後ろに「はつゆき」型の護衛艦が映っていた。
ちなみに、冒頭のPhotoは先日のトリビア出演城ヶ島猫部隊の日記で紹介した城ヶ島の東端、安房崎を上から見たところ。恐らくこのPhotoの右の端が沈没地点で、天気が良かったらここから手に取るように見えたと思われる。まあ、なんにせよ死者が一人も出ず、航行の支障になるような浅深度の海域に沈んだのではないのが不幸中の幸いでした。
なお、浦賀水道航路の航行や保安については、東京湾海上交通センター(東京マーチス)サイト、またうちの本隊の見学記
http://homepage.mac.com/izunton/BlueforceFiles/martis.html
もご覧下さい。

*1:4月19日追記 全然違ってました。洲崎灯台から5度の方位からわかる通り、ほとんど房総半島の沿岸