さらに白熱!2006年百里航空祭パート3

JASDF F-15J Eagle

AIRROCKのデモの後は、F-15Jによるスクランブル発進デモ。これは広く知られているように、防空識別圏に侵入し領空を侵犯するおそれのある国籍不明機に対処するための緊急発進だが、本当はアラートハンガーでの待機となるところ、それでは観客に見えないので、エプロンの展示機で行われるもの。パイロット・整備員が一列になって観客(私)の真ん前に立ち、しばしの沈黙・・・

かかった。ホットスクランブル、全員がダッシュで機体に駆け寄り、整備員は各アクセスパネルやインターコムのレシーバに取り付き、パイロットはラダーを駆け上りコクピットへ。私、このデモは初めて見たのだが、エンジン始動の早さに驚いた。パイロットが座る前、キャノピーに手をかけた瞬間(上の写真の瞬間)にJFS(Jet Fuel Starter)が回り始めるのである。JFSの起動スイッチは機外にもあるのかな?

このデモを行ったのは、航過飛行から本日2回目のフライトとなる305飛行隊の42-8950、72-8962の2機。起動から約3分、チェックリストの手順を慌ただしく終え、整備員がチョークを外すとタキシング開始、離陸後962はハイレートクライム、950は思いっきり背中を見せて右バンクで上昇。

ギアダウン、エアブレーキ開、フックダウン、内翼のフラップダウンのいわゆるダーティ・コンフィギュレーションでのウイングウォーク(機体を大きく左右に揺らす)を行う950。

夏の空を自由に、パワフルに駆け回るF-15J。1号機就役以来すでに四半世紀を迎える空自のイーグルだが、まだまだ超一流の機動を見せる。この後、962号機がランウェイに逆進入しタッチアンドゴーなど無法の限りを尽くして降りてきた。

降りてきた2機はそのままミサイル搭載デモを実施。整備員が持ち上げているのは国産のAAM-3・90式空対空誘導弾、専用のキャリアーに載せられジャッキで上げて取り付けるのはAIM-7Fスパロー。AAM-3は有名なサイドワインダー・AIM-9短距離空対空ミサイルの後継として国産で開発されたもので、先細りになっていない先端のシーカー、切れ込みが入っているダブルデルタ形状のカナード(先翼)の形状で識別できる。いずれもロケットモーター・炸薬ともに入っていない(シーカーは生きており、ロックオンできるため空戦訓練に用いられる)キャプティブ弾である。

1130離陸したのは三沢・第3航空団第3飛行隊所属のF-2A(43-8525)。第3飛行隊創設50周年記念塗装機で、背中に入っている黄色のラインは同隊の部隊マークである兜をデザインしたもの・・・ということだが、どう見れば兜になるのかな?F-2はもともと空戦を想定した機体ではないうえ、サイズが小さいのと若干観客から離れて飛んだので、写りは小さいし印象は地味だし、正直イーグルの後に見ると・・・という感じ。頑張っているのはわかるが・・・

それでも、この位の見せ場はあり。

着陸しタキシングして行くF-2。記念塗装のデザインでシャークティース(鮫の顔)を描いているが、これほどシャークティースが似合わない戦闘機も珍しい・・・原形となったF-16でも、シャークティースを描いた例は皆無ではないが極めて少なかった。確かに、この造形だとそのまんま口には見えるのだが、微妙なところではある(なんかF-2に関しては誉め言葉を一言も言ってないな〜)。

午前の部の最後となるデモフライトは百里救難隊のU-125(62-3004)とUH-60J(68-4564)による遭難者救助のデモ。U-125が地上の遭難者を発見、救助物資を上空から投下する。

UH-60Jは上空でホバリング、レスキュー隊員がリベリング降下し遭難者を抱えて回収、観客の目の前でグリングリン回る機動を見せる。

エプロン展示機の南端近くに駐機していたアメリカ空軍、三沢の35FW/14FSのF-16C(92-0887)。スペアの90-0802と2機で来ていた。5月の岩国と同じく、今回もこのF-16によるデモフライトが午後に予定されており、パイロットが何やら空自のスタッフと打ち合わせ中。しかしこのデモチーム、"PACAF(Pacific Air Force―極東地域を統括する太平洋空軍)デモチーム"と銘打っているだけあり、デモフライト専従体制で各地の航空祭を巡業しているのだが、嘉手納のイーグルはどうしちまったかね〜(相変わらずF-16/F-2系に冷たい私)。

1300過ぎ、午後の部トップでF-16が上がる。岩国の時と同じく、パワフルと言えばもちろんいうことなしのフライトを実施。縦に横にとグルグル回る。

もちろん逆さまにもなる。機体は違うが(それでもシリアルは1番違い デモツアー用の機体は特に専用で指定はされていないようである)、本当に岩国とまったく同じ構図だナ〜。というわけで、パート3に続きます。