アメリカ上陸・ノーフォークへ

A-4E Skyhawk Bu No.151186

終わってしまった。
あっけなく、読み終わってしまった。サウスダコタの上空、予想外の出来事。もうすっかり夜は明けきり、後は下界でも見ていれば気は紛れるのだが、こんなに夢中になったのは久しぶりだ・・・着陸の1時間半前には最後の食事が出る。これが片づく頃には飛行機は徐々に高度を下げ、世界最大規模の空港、シカゴ・オヘアへと降りてゆく。
若干雲が多くなってきたものの、晴れの天候の中、シカゴ近郊の住宅街を眺めつつ予定より30分以上も早く、1111着陸。さすがイリノイ、気温は11度とのことでTシャツ短パンでは外に出るとかなり肌寒い。まあここではほとんど建物の中なので、特に問題はないが・・・順調に降りることができ、入国審査に進む。こちらも昨年よりもだいぶ行列の人数が少なく、あっという間に順番が回ってきた。パスポートを提出すると、係官はそれを読み取り機のようなものにかざす。キーボードをトントンと叩いてモニタを見つめる・・・なにやら時間がかかりすぎのような。
決して身上に一片のやましいところがあるわけでなく、堂々としていれば良いのだが、あんな本を読んだ後である。疑心暗鬼のセンサーが必要以上に過敏になっている。もちろん、半分以上は冗談で、ニコニコ(ニヤニヤ?)しながら眺めているのだが、こんな世の中なので・・・モニタには、「要注意人物 機中でシモヤマ・ケースについての資料を読んでいた また、たびたび在日のわが軍基地周囲をうろつき、動向を記録している姿が目撃されている ノースコリアへの入国記録あり またデンマークへたびたび渡航の記録あり 前回入国の際には不審行動で職務質問を受けた記録あり*1 今回の入国目的は基地内潜入・・・」なんて、モニタに出てるのかな・・・文面だけ見たら、こりゃ自分でも納得の怪しさ満点だわ。入国審査官がシモヤマ・ケースを知ってたらびっくりモノだが・・・その時はもうこの国には白旗上げて降参しますよ、ウルトラクイズみたいに、ここで機内にUターン!と、パスポートがポンと返された。両手の親指の指紋を読み取り機に押しつけて、カメラに向かってスマイル!(それもどうかと思うが) 来年位には全部の指の指紋を取るようになるらしい。あ〜こうやってアンチユートピアは作られて行くのです。アメリカなんて、ホンマ戦闘機見に行く位しか用事ないけど、それだけにまた一段と皮肉な話だ。
笑ったのが、税関申告書とI-64の入国申請用紙を出して、行ってよし!となった時、I-64の裏面を見て係官が全部のチェックを自分で入れてしまったこと。両用紙とも、名前や日付、パスポート番号などの欄はいつも旅行会社がプリントしたものを作ってくれるので、つい裏面の記入までは忘れていたのだ。ご存じとは思うが、I-64の裏面フォームは、「犯罪を犯すために入国するつもりですか?」など、お約束の笑える質問項目ばかりなのだ。「1933年から1945年まで、いかなる形であれナチスによる迫害に加担していたことがありますか」いや、生まれていませんから加担しようがないです・・・これらの質問項目を係官は全部「いいえ」の欄にピーッとチェックをつけた。これでアメリカ国家による人畜無害な人間とのお墨付きを得たことになる。これって、書いちゃっていいのかなあ(笑)

シカゴ・オヘアは、ユナイテッドでの乗り継ぎは若干大変。国際線到着の第5ターミナルとユナイテッド国内線の第1・2ターミナルは遠く離れており、各ターミナルは無人運転新交通システムで結ばれている。乗り継ぎで再び搭乗ロビーに入る荷物検査も計算に入れると、1時間半ほどではかなりギリギリなのだが、昨年は1150着・1325発でほとんど綱渡りだった。鉄道と違って1324に搭乗口に行ったら間に合わないのだ。しかも、荷物検査の行列が絶望的に長く、かなり焦った。旅行会社曰く「ユナイテッドはこういう乗り継ぎを推奨プランで出してくるんだよね〜。これで乗れる前提になってるっていうことだけど、かなりタイトだから気をつけて」とのこと。荷物検査を待っている間は本当に気が気でなかった。今年は予定より30分早着な上に、乗り継ぎ便の発時刻が1350とこちらも30分近く遅いので、2時間半以上もある。もう勝手知ったる空港だし、気分的には余裕。ここの特徴として、乗り継ぎの際には一度預けた手荷物を引き取って、すぐ隣にあるカウンターに預け直さなければいけないのがかったるいのだが、それもカートで持ち運ぶので重くもなく、一度外に出て新交通システムに乗る。

隣の第2ターミナルまでは3分ほど、広大な空港の敷地内を2両編成の車両はクネクネ進む。第2を出れば終端駅の第1はすぐ隣。ここで降りてターミナル内に入るが、昨年はこの新交通システム駅とターミナルを結ぶ橋の途中に自動チェックイン機があり、もう一度乗り継ぎ便のチケットをここで出さなければいけなかったのだが(それもクレジットカードを差し込んで手続きというハイテクさだったが)、今年は成田の時点でチケットが2枚出てきた。刻々と手順が改良されて、着実に便利になっていくのだが、手順がコロコロ変わるのも紛らわしい・・・そのまま荷物検査の行列に並ぶが、こちらも昨年の3分の1位の長さしかなく、すぐに順番が回ってきた。裸足にサンダルだし、さっさとパス!のはずだったのだが、腕時計を外すのを忘れてしまい「ビ〜」となって、外して「いいでしょ」とお願いしても許してくれず、身体検査ブース送りに・・・あ〜失敗・・・
こちらでは入念にバー式の金属探知器を当てられて、手旗信号よろしく両手を上げたり下げたり、そのうちどうも短パンの金具が反応しているらしいということになって、Tシャツをたくし上げて短パンの裏地を見せる羽目に・・・このおっさんも、男のパンツ覗くのが仕事とはご苦労様よのう・・・
しかし、全体としては今回のオヘアはかなり順調に事が進んで、1時間以上も余裕ができてしまった。搭乗口はC25番、着いてみたらまだ前の便が出発する前だった。座る場所もなく、小腹が減ったのでビッグマックを買って隣のゲートの座席に座り、CNNを見ながら食べる。
乗り継ぎ便、1350発のユナイテッドエクスプレス/シャトルアメリカ678便は昨年と同じエンブラエル170だった。レジスターはN650RW。外国に来れば、ボーイングエアバスの中・大型機にはいよいよお目にかかる機会が少なくなる。70人乗りの機内には日本人は私1人しかいない。さすが海軍の町行きの便だけあって、隣に座ったビジネスマン風の男はアーレイ・バーク級をバックにした海軍士官が写っている表紙の分厚いハードカバーの本を読んでいる。

It's Your Ship

It's Your Ship

オヘア名物の離陸待ち大渋滞で15分ほどホールドした後1017に離陸、飛行時間は予定では2時間13分だが、こちらも若干短く2時間を切って1116着陸した。道中比較的雲が低く垂れ込めていて、なかなか下の様子がうかがえなかったが、ノーフォークに向けて降り始めるとまず大西洋が見え、海の方から進入して軍港の真上を通った。

軍港に隣接する、大西洋艦隊のE-2Cホームベース、大西洋早期警戒航空団/COMAEWWINGLANTの所在する航空基地・NASノーフォークがまず見え、その後3kmにも及ぶ南北に伸びる岸壁に14本が並ぶ桟橋が姿を現した。この写真ではよく分からないだろうが、一番右奥、空母桟橋のピア14にはかすかに空母が1隻接岸しているのが見える。これが世界最大の軍港の姿である。ここで左旋回してダウンタウンの上空を通り、着陸。
1年ぶりのノーフォーク。昨年R1150GSが展示されていたゲート近くのBMW展示スペースには今回はK1200LTになっていた。田舎空港であるから、どこも閑散としている。長い廊下をペタペタ歩いて、ひっそりした到着ロビーで荷物を受け取り、レンタカーのカウンターへ。これも旅行会社がすべてやってくれるのであとは予約のプリントアウトを出すだけだが、会社は昨年と同じAVISで、クルマはシボレーのマリブだった。昨年はグランダムだったが、これ、本当に「コンパクトクラス」なのかなあ・・・1人で乗るにはもったいない大きさ。
もう勝手知ったる街だし、最近左ハンドルには本当違和感がなくなったので(笑)、いい調子でインターステーツ64に乗り、すぐ次のランプで降りる。ホテルも昨年と同じノースハンプトン通りのベスト・ウエスタン・インで、空港からは10分足らずで着く。まずチェックインを先に終えて、すぐにオシアナの状況を偵察に赴く。ホテルから基地までは20マイル、30分ほど。"TOMCAT SUNSET "自体はすでに本日から始まっているのだが、すでに車の乗り入れ時間は終了している。なにができるわけではないのだが、一応ゲートまでくれば何か情報がつかめるかな、と思ったので・・・平日だけあって、フライトの数がものすごく、ひっきり間なしにホーネットが飛び去って行き、あらゆる方向から降りてくる。
特に何も得られるものはなさそうなので、ゲート手前にある巨大なスーパー、NEX(NAVY EXCHANGE)に入って店内を見て回る。ここは海軍のIDがないと何も買い物はできないのだが、小さなフードコートでの食事はIDなしでも可能で、街へ出てもどうせまたろくなレストランがないのでここで夕食にする。ここは結構「濃い」海軍グッズの土産物などもあり(あれはIDなしでも売ってくれるのかな?だって、海軍の関係者はあんな物誰も買わんだろ・・・)、パッチやグッズ買い付けの軍資金が足りなくなった時はキャッシングができるATMもあるので、エアショーの時はぜひ立ち寄りをお勧めする(基地の外なので立ち入り制限などは一切ない)。

特にめぼしい情報も得られなかったので、次はノーフォークダウンタウンに向け車を走らせ、昨年すべてなくしてしまった写真を撮り直すべく、海洋博物館ノーティカスの横に保存されている戦艦ウィスコンシンWisconsin BB-64に行き、夜景を撮る。明日は昼間全部フネの方にかかりきりで、全部撮り直し作業をしなければならない。昨年は台風のおかげで晴れたり真っ暗な雲に覆われたり天気が今ひとつだったので、せっかく撮り直すのなら晴天だといいのだが・・・特に長旅で疲れを覚えているわけでもないが、明日以降2日連続で精力的に動かなければならないし、特にすることもないのでホテルに帰り、2300頃就寝。
・・・怖くて1人で寝られないんじゃなかったっけ? いえいえ、「シモヤマ・ケース」はもう読み終わったので、車のトランクに入れっ放しにしてあるのです。おかげで快適睡眠(笑)

*1:これ、マジで恥ずかしいのであまり突っ込まないでネ