伊豆を見て死ね 第弐章

307CC taking off to the sky

酒が回って、館内のラウンジやら各施設を楽しむ余裕もなくベッドに倒れこんだ私、起きたら0830だった。同居人はさっさと起きて、ふうことホテルの施設である森のドッグランに散歩に行ってきたらしい。本当は車を出して海岸まで行ってみたかったらしいが、私もふうこも起きそうにないので・・・とのこと。ふうこも昨日十国峠や大室山で元気に走り回ったので、相当疲れていたのだろう。本日もボリュームたっぷりの朝食を頂いて、結局ドッグスパも体験する間もなくチェックアウト、さて本日は国道414号を北上し、西伊豆の山の上の方に行ってみることにする。

まず、有名な河津ループ橋を通過。ここに来たのももう16年ぶり位になる。当時はもちろんバイク(GSX-R750J)。今日は昨日に増して、雲一つない超晴天、気温も高く、朝からすでに屋根を開けての走行である。

まあ、こちらもお約束だが、トンネルマニアとしてはここまで来たら素通りはできない旧道天城トンネル。月曜にしては結構観光客で賑わっており、11月中はなにやら提灯行列?のようなイベントも連日開催中とのこと。そのあおりを食って、期間中は北側からの一方通行となっており、また新道を南からもう一度通るのもばかばかしいのでここで引き帰そうと思ったのだが、不可とのことでしかたなく一周する羽目に。ここに来たのはさらに昔、18年ぶり位になる(CBR400RR)。取り付きの道路はさすがに舗装されているかなと思ったのだが、当時と変わらぬダート、実は昨日も晴れているにもかかわらず結構大室山の辺りで雨に降られたりして、車は泥だらけなのだが、ここでさらに丹念に上塗り・・・写真でもわかる位にうっすらと茶色にコーティングされてしまっている。オープンカーなのになあ・・・
ふうこ連れの我々としては、なまじっかの公園などよりもハイキングがしたい、というわけで、天城峠周辺の山道でも良かったのだが、私は以前、これは10年ほど前になるが、西天城高原に行って(CBR900RR)その雄大な風景に驚嘆した記憶があるので、今回もぜひ行ってみようということで、湯ケ島から左にハンドルを切ったのであった。10年前の記憶にある細い山道を上がること20分ほど、こんな山深い林道のような道を抜けて、あんなだだっ広い山の上に出たんだっけ?と半信半疑になりつつも登って行くと・・・!

この絶景を見よ。西天城高原牧場は育成牛の放牧場で、今のシーズンはすでに里に下ろしてしまっているので牛の姿は見られないが、峠を向こう側に降りれば、駿河湾を一望する大絶景! レストハウス「牧場の家」で一服した後、以前はこのまま反対側の下、宇久須に降りていってしまったのだが、尾根沿いにずっと展望のいい道が続いているらしいことを知って、これを北上することにした。まず、上がってきたところ、仁科峠から歩いて5分ほどの展望台へ。これから向かう県道西天城高原線が続いている稜線の先に、またまた富士山が・・・

アップにすると、富士宮口の登山道か、ギザギザの道まではっきり見える。

そして、その西側には、なんと南アルプスが・・・!

もっと西へ目をやれば、眼下には駿河湾、沼津から富士、蒲原、由比、興津、清水、三保の突起もはっきり見える。陸地はさらに続いて、御前崎まで・・・とても450ピクセルの写真では伝えきれないのがもどかしい。
この展望台、画面右下に見える仁科峠から歩いてすぐなのだが、普通の人はここまで登ってこない。

確かに、以前は私たちもそうだった。ふうこが来てからこんなに山登りでもなんでも面倒くさがらずにできるようになったのだ(その割に痩せないんですけど)。西伊豆高原牧場まで来たら、ぜひ仁科峠の碑がある所からたった5分のこの展望台を訪れていただきたい。いやマジ絶景。
この稜線を走る天空の道路は、船原峠を過ぎると西伊豆スカイラインとなるが(そんな名が付けられているが無料 以前は有料だったんだっけ?)、北端の戸田峠まで言葉を失う絶景の連続、正直段々景色疲れしてきて・・・富士山も有り難みがなくなってきたような・・・しかし、戸田峠からちょっと修善寺に下っていった所にある、だるま山高原レストハウス展望台から見ると、今度は沼津の街とセットで一望できる、富士山なら最強スポットと呼ばれる超絶絶景に出くわす。

今度は右に視線を移せば、富士宮に向かって行く溝のような地形、三島から函南、その奥には箱根、なんと駒ヶ岳?ロープウェイの山頂駅も見える。稜線に沿っていけば、十国峠のケーブルカーも。

今回のツアー、だめ押しの富士山アップ第3発目、旧富士山レーダー(現在は機能していない)らしきものが左端に見える。もうやめてくれ〜!

ちょっと引くと、これはまた太宰先生ではないが芝居の書き割りかはたまた銭湯か、一幅の絵・・・などというありがちな表現が思わず喉から出かかる完成されたアングル。よく見れば、手前の海岸、沼津といえばあのLCACのビーチング訓練を行う今沢海岸の辺りではないか。ならば、ここから見ていればまるで神の視点から輸送艦からの発艦やビーチング、揚収の様子を見ることができるわけだ。

仁科峠から戸田峠まで、いずれ劣らぬ絶景ばかりだが、私的にはここが最強絶景ポイント。戸田峠と船原峠のちょうど中間くらい、伽藍山の麓を回り込んだ辺りか。南から来るとまるで道が駿河湾に向かってダイブするように下っている所がある。ここはもう、本当にその素晴らしさは言葉では説明できませんので、各自現地に行ってどれほどのもんか確認してください。

もう、あたいも絶景疲れさ〜

この後、修善寺に降りて三島を経由、そのままいつものパターンで熱函道路かと思いきや軽井沢経由で再び十国峠に上がり(真鶴道路、石橋の渋滞が怖いため)、ここでまた沼津の今度は見事な夜景に遭遇。これも、こんな時間に十国峠に来たことがなかったので、思いがけぬプレゼントに寒いのも忘れて写真を撮りまくったが、すでに感度を400まで上げても1秒近い露光時間、三脚を持ってくれば良かった・・・
この後、新道を使わず元箱根に降りて、月曜の夕方、早い時間にもかかわらず人気のなくなった湖畔で夕食を食べ、それでも宮ノ下と湯本の駅前は大渋滞だというので旧道の七曲がりを降りて小田原に出、ここからはまた先週と同じ西湘―134号経由で鎌倉に出て、朝比奈を通って横横―幸浦線―湾岸経由で2100前帰宅。
春に本当に久しぶりに伊豆に出かけて、その素晴らしさに驚嘆し食わず嫌いを大いに反省したのだが、その後も箱根までは来ても結局南進する機会はなかった。やはり、東京からだと入口はともかく、南伊豆・西伊豆はちょっと遠目で、泊まりがけでもないとゆっくりは回れない。しかし、今回仁科峠―戸田峠を縦走して(ああ、そういえばバイク雑誌のツーリング記事に富士絶景のルートでよく紹介されているっけ)、伊豆山稜線歩道はふうこの散歩にはうってつけの場所だということもわかり、土曜日などはなるべく早起きして深夜着覚悟で足繁く通おうかな、と心に誓った。
私も、人並みよりは出かける機会が多い方なので、人に自信を持って勧められるリゾートならいくつも知っているつもりだ。近場なら清里、蓼科、朝霧高原・・・だが、この伊豆カルチャーショック?はあまりにも強烈だった。なんでこの年になるまで知らなかった? ああ我が青春に悔いあり! 草千里や開陽台はまあともかくとしても、山の景色が美しい所なら上高地とか谷川岳とかあるが、それに海が加わるとなるとこれはなかなかない。しかも、山が日本一の秀峰、富士とくれば役者が違う。アルピニスト的な視点から見れば大いに異議があるかも知れないが、横の広がり、雄大さにおいてはこの伊豆一帯に敵う絶景はそうはないのではないか。もちろん、御坂峠から河口湖越しに見る逆光の富士、朝霧高原、旧上九の辺りから見上げる富士も好きだが、山梨には決定的な弱点が・・・海がない。
犬連れにとっては有り難い施設やアミューズメントが林立する東伊豆、俗化されていない雄大な景色の西伊豆、どちらも魚は美味く温泉も豊富、具体的な地名は挙げないが、これは関東の他地方はそうとう頑張らなければあかんね。もっとも私が今になって騒ぎ出しただけで、伊豆も昨今は地盤沈下が激しいらしいが(地震もあるしなあ、ここ)・・・
走行距離は1日目は233km、平均速度は43km/h、2日目は295km、平均速度は41km/hだった。燃費はまだ給油をしていないので不明だが、現状では虹の橋辺りで警告が点灯したので、リッター10km越えは確実のようである。