南侵第4トンネルと犬のQOLに関する一考察

No.4 penetration tunnnel of DPRK

本日の報ステで、スクープとして南侵トンネルの内部映像を流していたが、別に今に始まったわけでなし、スクープというわけでも・・・
ただ、通常坑内の撮影は不可なので、映像をテレビで見る機会というのは貴重かも知れない。発見されているもので第1〜第4まで4本が存在する南侵トンネルだが、今回映った鉄原の第2、板門店近傍の第3はソウルからも行きやすく、行ったことのある人も多かろう*1。せっかくなら一番行きにくく、かつもっとも軍事境界線に近い(多分)亥安の第4トンネルを取材してもらいたかったものである。

今ではすっかり訪れる日本人も少なくなったらしいが、冬ソナの舞台として一時は大変な賑わいを見せた江原道の道庁所在地である春川からさらに約60km、ソウルからは交通の便も悪く日帰りは難しい亥安乙支展望台。あまたある日本の韓国旅行記サイトでも訪問記録はめったにない。美しい自然に魅せられて韓国と言えば江原道ばかり行っている、しかもトンネルマニアの私がここを見逃すはずはなく、2003年の夏に訪問してきた。なにせ万事につきマイナー愛好家なのもだから、逆に第2や第3は行ったことはないのだが、テレビで見たところ坑道内部は大体同じような感じだ。そして、一番気になった最先端、軍事境界線直下の最前線の映像は今回の番組でも結局放送されず。強化コンクリートで塞いだというのだが、本当のところどうなっているのだろう。

番組を見ていて、発破の音で気がつかれて韓国側に発見されたという説明があったが、確かにその通りではあるのだが、第4トンネルにはそれだけではない、悲しい逸話がある。坑道の奥に先陣を切って捜索に赴いたのは、軍用犬のハント号(シェパード・4歳)。しかし、彼は生きて地上に戻ることはなかった。共和国側の仕掛けた地雷を踏んでしまい、爆死、殉職してしまったのだ。時に1990年3月4日1205。
先日、「ポチたま」のまさお君が死去したとのニュースを聞き、毎週見ていたわけではないが、この間まで元気な姿を見せていただけに若干ショックではあり、犬の寿命やら人生(犬生)のクオリティなどに思いを馳せていたところで、しばし考えにふけってしまった。使役犬として使われるのは通常大型犬、ただでさえ大型犬の寿命は小型犬に比べ短いのに、働く犬にかかる精神的ストレスは並大抵なものではない。家畜動物の宿命と言ってはそれまでだが、絶えず忍び寄る飢えの恐怖から逃れるために、人間に近づいてきたご先祖様の判断は正しかったのかな? 使役犬は人に奉仕するのが生き甲斐、 働いている時の方が活き活きしているとはいうけれど・・・
ふうこは地雷を踏む心配は(多分)なし、寝たい時に寝たい所で寝て毎日散歩は欠かさず、飯食いっぱぐれる心配はないし、ストレスも貯まらんだろう。さぞや長生きしそうなものだが・・・もっとも彼女には彼女なりの気を遣ったり愛玩犬なりのストレスがあるのかもしれない。それぞれの犬種が、目の見えない人を導き、羊の群を追い込み、人の心を癒して、働いているのだ。なかには食材という形で貢献「させられている」犬たちもいるが・・・我々は彼・彼女らの献身を忘れてはならない。
"TOMCAT SUNSET"、チープ・トリックのコンサート会場で、若い女性の警備兵が連れていた大きなシェパードの軍用犬、出店のスタッフがニコニコ見守る中でご主人様の食事タイム。彼女がホットドッグを一口頬張ると、物欲しそうな顔をするのはまるでふうこと一緒だった。彼女は半分食べて、半分は犬に。ステイはさせたものの、まだまだ人間の修行が足りないのか犬の訓練が足りないのか、ちょっとフライング気味にホットドッグにむしゃぶりついた。あんなに人間の物食ってたら長生きしないだろうなあ・・・でも、それが軍用犬として生を受けた彼(彼女)の宿命。微笑ましくも、ちょっぴり切ない人と犬の風景ではありました。

ストレスとは無縁のはずの分遣隊長、この間寝室のかけ布団をそっとめくったら縦に寝ていました。

*1:第1トンネルは板門店の東、百鶴面にあるが、あまり情報は多くない 恐らく一般には公開されていないものと思われる