ハンターゲット!厚木基地ファン感謝祭

Hawker Hunter Mk.F58

年末以来の仕事も一段落し、三連休となった2月第2週、最終日の祝日・12日に厚木基地に撮影に行って来た。
すでに禁断症状が若干出始めている私としては、珍しく気合いを入れて、名古屋から夜行バスで帰ってきた同居人と入れ違いに0800出発。当然分遣隊長も同行だが、まだいつもの朝食タイムには早いのでフードは携行して現地で食べさせることにする。最近は246で行くのがかったるくなったので、三京―保土ヶ谷バイパス経由で南エンドに0930着。すでに路肩は大勢の同業者で停める場所を探すのも一苦労だ。
聞けば、長いこと音沙汰がなかったハンターが昨日(今年初めて?)飛んだらしい。昨年12月上旬、嘉手納より飛来したのはいいが長らくフライトを行わず、一部ではあまたのマニア連中の目をかいくぐって夜に飛び去ってしまったとの説も流れていたが、一度も飛ばずハンガーの中に入っていたというのだ。それなら一度本国に返せばいいのに・・・とも思うが、現役の軍用機と違い自前で飛んでトランスパックできるわけでなし、船で送り返してまた戻せば往復するだけで終わってしまう。しかも、いや、輸送はどうやらC-5に積んで空輸で行うらしいが、当然バラバラにして梱包するらしい。それも大変な話やな・・・
離陸はR/W19でまず0944、海自のP-3C(5064)が上がっていった。

お次は0950、VAW-115のE-2C(NF602/Bu.No.163698)が上がる。当機はこのほど8枚プロペラに換装した(NP)仕様となり、ギャラリーの注目を集めている機体。

さらに1001、カリフォルニア州NASポイントマグーをホームベースとするVR-55のC-130T(RU351/Bu.No.165351)が上がって行く。まだジェット機が私が来てからは1機も上がっていないが、これはなかなかの収穫。

さらに、NF602がタッチアンドゴーをする中、なんとVRC-30 Det.1のC-2A(NK30/Bu.No.162159)が上がって行く。この機体、「NK」のテイルコードでおわかりのように、先日の日記で触れたCVW-14・第14空母航空団所属の機体である。
COD*1と呼ばれる空母打撃部隊の輸送便を担当するC-2グレイハウンドは、空母固有の輸送機というわけではなく、ショアベースの艦隊兵站支援飛行隊に所属し適宜空母航空団に派遣されるという、戦術機とは異なる運用形態を持つ。サンディエゴ港に隣接するカリフォルニア州NASノースアイランドをホームベースとするVRC-30に所属する同機であるが本国から西大平洋に展開してくる時に、いちいち空母に搭載して太平洋を行ったり来たりするのは大変。というわけで、前方展開となる厚木に駐留するキティホーク搭載、厚木のCVW-5に所属する第5分遣隊、Det.5から適宜差し出されることになる。そして、テイルコードは空母航空団所属機の命、このような一時派遣でも元のCVW-5所属を表す「NF」は「NK」に塗り替えられるというわけである。テイルコードだけではない。この写真では見えないが、胴体後部上、国籍マークの上には「USS RONALD REAGAN CVW-14」の文字も入っている。これで飛んでいったまま戻って来なければ、レーガンは厚木からこのプロペラ輸送機で行ける距離にいることになる・・・が、30分ほどで降りてきてしまった。訓練かフライトチェックだったと思われる。

1042、ついに(私が来てからの)初の戦闘機、VFA-192のF/A-18C・NF306(Bu.No.164025)と311がセクションで離陸。311は先代の164008から、岩国にローテーションで初展開してきたVFA-94"シュライクス"が持ってきた164050に機体交換されている。初の記録となるのはいいのだが、いかんせん午前中では逆光・・・

1129にはVFA-27のF/A-18E・NF207(Bu.No.165867)とNF214(Bu.No.165868)がセクションで離陸。1132からはVFA-102のF/A-18Fが、113、112、写真の111(Bu.No.165891)の順で離陸。1134にはVFA-192のNF312、313、1138にはVFA-102のNF110、106、1141にはVFA-192の310と怒濤の上がり。その間を縫って306と311は降りてくる。オーバーヘッドで回る間にVAW-115の従来4枚ペラのE-2C(NF601/Bu.No.164107)が離陸。1154にはVFA-192のNF301が単機で上がる。

午後となり、0014には本日初、VAQ-136のEA-6B(NF502/Bu.No.162938)が単機で離陸。0022にはこちらも本日初となるVFA-195のNF405と407が離陸。
そして、ついに・・・ハンターが来たらしい。聞いた話によると、やはり機体サイズが小さく、ホーネットでちょうどいい焦点距離ではかなり小さめの写りになるらしいこと、また昨今の推力重量比が1を超えるような機体と違い、単発でパワーがないので上がりがかなり遅く、ホーネットのつもりで構えていると予期せず電線などに引っかかってしまうらしいこと、皆が位置はそのままで良いのかどうか迷っている。しかし、今更大きく動けるわけもなく・・・来た!

0025、まず1番機、N322AXが離陸。う〜ん、確かに滑走路の半分も行っていない所からぐんぐん上がり始めるホーネットと違い、エンドまで来てほとんど水平飛行だ。見上げるような写真にならないのは良いのだが・・・電線かかるな、かかるな〜! なんとかクリアしてこういう具合になりました。

セクションではなかったが、間髪を置かず2番機、N321AXが離陸。こちらはレジスターが剥げてしまっている。
ホーカー・ハンターはイギリス空軍黎明期の実用ジェット戦闘機として、ホーカー社が1951年に初飛行させた亜音速機。ジェット時代の初期を飾る名戦闘機として、本家イギリス空軍では比較的早くに退役してしまったが、その使いやすさで世界各国の中小国空軍で長く愛用された。FMk.58はスイス空軍向けモデルで、資料によるとN321AX・N322AXはそれぞれ1959年製の41H-697443・41H-697454とのこと。そういえば、ヨーロッパ機にはまったく縁のない私だが、ハンターだけは昔欧州乗り撤旅行をしていた時に、スイスで上空を飛んでいるのを見たことがある。インターラーケンに基地があって、ユングフラウへの登り口、ベルナー・オーバーラント鉄道に乗ってインターラーケン・オスト駅を出ると巧妙にカムフラージュされた林の向こうに滑走路が見えるのは有名な話だが(観光立国スイスには珍しく、撮影禁止の看板がある)、ここから離陸して行ったのだ。世界各国で活躍した故か、ハンターはなぜか私にとって縁の深いヨーロッパ機である。
こんな珍品を厚木に持ち込んだのは、航空関連の分析や調査を請け負うATACという会社。航空大国アメリカには、自前で中古の戦闘機を保有し、米軍の訓練や調査研究を請け負う民間会社がいくつもある。かつて嘉手納でターゲットバナーの曳航などをやっていたフライトシステムズ社のF-86などが日本では有名だが、このATAC社も最近米軍相手に手広く商売を営んでいるようで、昨年秋にはずっと嘉手納でミッションを行っていた。業務はバナーの曳航などではなく、ECMポッドらしきものを搭載しているのでジャミングによる侵攻シミュレートだと思われ、対空アグレッサーと思いきや、なんと同社はクフィル(!)を保有しており対空任務にはこちらを充てているという。となると任務は対艦?ということで、米軍の艦船相手の模擬攻撃役と雑誌でも解説されているようだが、今回厚木ベースのミッションは海自絡みの仕事だという説もある。ただ、11・12日の肩慣らしのテスト飛行と思われるフライトの後は、ホーネットと編隊を組んで帰投してくることも結構あるようで、CVW-5所属機も海自護衛艦の模擬攻撃に組んでいるのか、単に帰りの時間が偶然同じなのか(そんなことはないと思うが・・・)は一介のファンには見当つかず。
FAAの登録は2005年3月、オーナーはATACではなく、デラウェア州のHunter Aviation International Incという会社だそうである。航フ誌2002年6月号の石川潤一氏の記事によれば、デラウェア州は州法で会社の設立が簡単にでき、税金も安いためベンチャー企業の本社が多いという。

0029にはVFA-195のNF404(Bu.No.164954)、410、403、406が離陸。ここで一段落、今度はハンターの着陸を撮るべくR/W19着陸側、すなわち北エンドに移動する。
予想はしていたし、南エンドでも「向こう側すごいことになってる、今から移動しても車止める場所がないから動かない方がいい」という声があったが、確かにすごいことになっていた・・・! 繰り出した同業者は200〜300人ほどにもなろうか、私は行ったことがないが、お召しが走る時ってこんな感じなのかな? ハンターはまさしく2007年厚木のお召し、スーパースターだ!
なんて言っている場合ではない。すでに車はびっしり、停める所などどこにもない。北側の公園駐車場に行ってみるが、ここも望み薄・・・ああ、そんな事やっていたらそろそろ降りてくる機体が出てくるぞ! 一番奥まで・・・ダメか〜!と思ったら一番奥に1台分空いていた〜!!

と、ここで私のいつものポイントに下がる暇もなく、1132に上がった一連のフライトが帰ってきた。NF113を辛うじて直下で撮る。

次に、昨今テイルコードを描かないため所属がわからなくなってしまったC-9Bがアプローチ。この機体1回ゴーアラウンド(タッチアンドゴー?)したため、最初のアプローチで正面からの姿を、2度目で真横の姿と各アングルをゲェ〜ット!

C-9Bが回る間、NF112も降りてきた。やっぱりホーネットはこの位の追いのアングルが格好いいね。
1308からはNF312、310、313、1313には110、106、1316には301、この301はタッチアンドゴーを行い最終的に1325に着陸。

1328には214、1342には404、410、1346には502、1348には403、406、1351には405、407とパラパラと降りてくる。そして、ついに帰ってきたヨ〜ン

1355、きっかり1時間半のフライトを終えハンター2機がオーバーヘッドアプローチ。4本増槽フル装備のせいか、結構滞空時間が長い。う〜ん、21世紀の日本でこんなヒコーキが飛んでいるのを見ることができるとは・・・なんとも不思議な気分だ。

帰りもまずN322AXが先に降りてくる。高度や回り込むパターンはホーネットとそれほど違わないが、アプローチスピードは若干高い感じ。そのまま降りると思いきや・・・なんとゴーアラウンド!やった、やった!上がれ上がれ!

続いてN321AXがアプローチ。右翼中のパイロンに携行しているECMポッドの色が、322は黄色、当機は青と異なるのに注意。
1400に2機とも着陸したのを見届けて、本日はもう一度上がるとの噂があるので再び南エンドに移動。一日を通して南からの微風のため、ランチェンの心配がなく、見極めは楽だ。この人出を除けば・・・

そして、南エンドに戻ってはみたものの、車が停められる場所がすでにまったくなく、ちょっと離れた場所に停めてやれやれと戻ってきたら・・・1444、用意する間もなくいきなり上がったのはこの日飛んだ唯一の色つき、VFA-102のNF102(Bu.No.165882)。朝、私が到着する前に一度上がったらしく、本日2度目のフライトなのだが、後のダブルナッツ連中はいったいどこへ行きやがった? 合わせて103も離陸。
1452には310、113、112、105、

1456には311、306、312が、1458には301、313と上がり、1537には朝上がって行ったC-130T・RU351が降りて来た。1552には再び502が上がって行く。14時台に上がって行った機体が降りてくる中、1631に405、407と上がり・・・
1636、噂通り本日2度目のフライトでハンターが離陸。すでに陽は傾いてすっかり黄色くなり、アングルも昼と変化がつかないので省略するが、今度はN321AXが1番で、N322AXを従えて離陸、また帰りは1時間半後だとすれば1800過ぎ、写真にはなるまいし、満足過ぎるほど撮らせて頂いたので、本日はこれにて撤収。エンド友達のS君を乗せてやって、行きと同じく三京経由で帰った。このS君、社会人なのに頑張って重い機材を背負って歩きで通っており、もちろんエンド間を動く時も自分の足でダッシュ!今日は新記録、30分で走り切ったそうである・・・オラも昔、工房の頃はそんなことをやった記憶もあるけれど、今やる元気はありません・・・
色つきが102を除いて1機も飛ばなかったのはチト納得いかないが、それもハンターで帳消し。久しぶりのヒコーキ趣味を堪能した休日でありました。

*1:Carrier Onboard derivery