皆が親善大使!外国艦船来航の理由

Hwooko & JDS Kirishima DDG174

今、「インド海軍」などのワードでブログ検索をかけると、まあ出てくること出てくること、秋葉原のことばかり・・・
IT立国ならではのことなのか、今回もインド海軍有志はバスを仕立てて大挙秋葉原に押し寄せた。「今回も」というのは、2年半前の晴海来航の際にも同じようなことがあって、当時は今回のようにブログがまだ広くに普及する一歩手前のこととて、あちこちの日記で目にするようなこともなかったが、こういうようなことがあって、実は私もトラバをしていたのであった。スパムトラバ防止のため、言及がないと拒否する設定になっているというので、2年半ぶりに同じことをするにあたって、ここでちゃんと触れさせていただきますアキバBlogさん
今回の一般公開に、一緒に行かないかとお声をかけていただいた307CCオーナー仲間のごつさんと、艦船見学&日印交流を楽しんで蛍の光に送られながら基地を後にすると、ヴェルニーには大勢のインド海軍の若けぇ衆が屯していた。皆お互いに写真を撮り合ったり、ビデオカメラを回したり楽しそうに騒いでいる。
同居人と分遣隊長を2時間以上ヴェルニーに待たせていたので、いい加減おかんむりだろうと連絡を取り、合流してから写真など撮っていると、若けぇ衆がこちらをチラチラ見ている。遠くからカメラを構える者も。皆分遣隊長が気になるのだ。しょうがないなあ・・・

分遣隊長には国際交流のために一肌脱いでもらおう。スムチー界随一の武闘派もといブリッコのふうこ姐さん、もちろん注目されて嬉しくないわけがない。皆の中に放り込んだら奪い合いの大騒ぎだ。代わる代わる抱っこして写真を撮って撮られて・・・そんなわけで、モザイクかけないで出しちゃったけど、自分の男前っぷりに免じて(?)許せ若いのよ。イスラエル軍じゃないんだからいいだろ?
その後、アドレスを教えてあげて、バスの時間になったらしく皆は駅前広場脇の道路沿いに移動していったが、若いインド人達の目に秋葉原はどう映ったろうか。多分、今回の極東ツアーで若いパワーの塊が一番楽しみにしていた寄港地ではないかと思う。ウラジオストクや青島が世界のアキバよりエキサイティングだとは思えないからね。パソコン?ゲーム?メイド?それともエ○ゲー?「ののかタン萌え〜」とか言ってんじゃないだろうな!ちゃんと気ィ抜かないで母港まで帰れよ!w
知らなければ、日本ではかなり異様に映る軍服の大集団を見て、○○海軍が来てるらしいとひとしきり騒ぎになって、外国の海軍が来日するということが前代未聞の事態のように思っているが、数日後には皆そんなことがあったこともすっかり忘れている。だが、外国の艦船が来日することは決して珍しいことではない。おおよそ春から秋にかけて、例年各地に4・5カ国はやってくる。遠くはヨーロッパ、有名な帆船「エスメラルダ」*1のようにチリからはるばるやって来ることもある。

▲1992年2月、晴海に寄港したフランス海軍の練習艦ヘリ空母ジャンヌ・ダルクJeanne d'Arc R97と、その前に停まる搭載車のシトロエンXM
普通に暮らしていれば、一生軍艦、自衛艦ですら見ることもない一般の人々が、戦艦がなぜ日本にやってくるのかと不思議に、訝しく思うこともあろう。それは士官候補生の卒業旅行たる遠洋航海のこともあるし、年度計画で企画した極東ツアーのこともあるし、王族の結婚式や元首の葬儀などの儀礼のこともある。自衛艦も、毎年春には幹部学校を卒業した新任士官による遠洋航海で半年間の世界一周航海を行っている*2
軍人は、人を殺すのが仕事だというけれど。平時における海軍の役割は、フネを沈める訓練をしているだけではない。他国を訪問し、親善を深めることによって、自らの国を理解してもらい、互いの信頼を深める、外交官の役割も担っている。それは、今回のように直接市民の視線にさらされることでわかるように、本職の外交官よりも身近な存在に成りうる。

▲2002年10月、国際観艦式に参列した韓国海軍のフリゲイト、チェジュ ROKS Jeju FF-958の一般公開時 艦橋にて
決して、不気味な目を光らせて人を殺すことばかり考えているような人々ではない*3。海軍を一生の仕事と選び、青春を賭けるに値する挑戦と信じ、母国に残した家族や恋人を思いながら、この極東までやってきたのだ。皆気のいい若者だよ、誰もが寄港した港みなとで夢中になって写真を撮って、楽しい思い出をつくろうと、期待に胸膨らませやって来るのだ*4。ならば、我ら善良なる市民は、彼らを暖かく迎えてあげようではないか。
来航艦船の一般公開は、今回のように艦上での飲食物の振る舞いや特産品・グッズの販売、物産展、ブラスバンドの演奏、会話講座など、スケジュールによっては一般の人でも楽しめる催しが結構ある。軍艦なんかには興味はないとか、まあ軍隊アレルギーの人は仕方がないけれど、港までの交通費で行ける外国と思えば、きっと楽しいことが待っているし、今まで気にかけてもいなかった国に急に興味が芽生えることもある。友達だって作れてしまうかもしれない。相手は親善の任務も帯びているのだ。どんどん話しかけて、写真を撮ったって、決して迷惑なことではない、それどころか、向こうもそれを求めているのだから。
もちろん、国際関係というのは子供のおままごと、仲良しごっこではない。握手を差し伸べるその裏には、容赦ない暴力の裏付けがあってこその軍艦なのだ。しかし、それを行使しないために相手ははるばるやって来たのだし、一般市民がもし戦わばと想像を巡らせる必要はまったくないと思う。固い握手を交わせばこそ戦いは起こらず、行ったこともない国、会ったこともない人々を相手に戦う妄想を毎日繰り広げることほど、不健康かつ悪趣味なことはないと思えるからだ。
軍艦なんて興味がなくたって、兵器の知識なんてなくったって、充分楽しめる日帰り海外旅行。外貨への両替も必要ありません!ぜひ一度足を運ばれることをお勧めする。
あ、それから、もし一般公開に行かれる際は、最低限当該国の挨拶、「こんにちわ」と「ありがとう」位は予習していった方がいいでしょう。今回、私はヒンディー語の予習まで手が回らずに行ってしまったのだが、ヘリ甲板で写真を撮らせてもらった陸軍の方に教えてもらった。というわけで、まだクタールとジョッティ編が残っているが、インド海軍の皆さん、ダンニャワッ!*5

*1:同船はチリ海軍の練習艦籍にある

*2:一般の学校の修学旅行のようにコースや寄港地は毎年変わり、大平洋一周の時もある

*3:日本人は、左右の別なく大体ここを勘違いしてるんだよな〜

*4:もちろん、大人の社会ですから綺麗事ばかりではなく、某超大国の軍隊のように誰もが気のいい若者・国際親善の最前線を担う外交官ばかりではない場合もあります。時と場合によってはお付き合いには充分ご注意のほどを

*5:正確には「ダンニャワード」らしいが、実際の会話では「ード」はほとんどサイレントのようで聞き取れなかった