下北沢「鯉のぼり」

Blueforce2007-11-12

今も昔も若者の街、活気あふれる下北沢にある貴重な犬連れ居酒屋。
実はその「活気あふれる」街も、小田急複々線・地下化計画に伴う再開発で絶対絶命の危機のただなかにあり、このエントリも数年後に読み返してみれば、「ああ、そんな時代もあったね」と寂しく思う事態になるかもしれないのだが・・・すでにその地下化がらみで駅前にあったパン屋・コーヒー屋が取り壊されてしまった南口に降り立ち、前を走る緩やかな坂道のメインストリートを降りて行く(角のマクドナルドに対して左側ではなく、右側に降りて行く道)。

カレーパンやみそパンで有名なアンゼリカを右手に見て、マクドから数えて2本目*1の左側の路地をまがってすぐ、角の雑居ビルの2階にあるのが居酒屋「鯉のぼり」(上記写真では奥の突き当たりを右へ50mほど進むと下北沢駅)。

以前からこの妙に可愛い張り紙が気になってはいたのだが、下北は他にも犬連れ飲食店には事欠かず、チェーン店のような名前とたたずまいに、あえて下北まで来て入るまでもない、と長い間前を素通りするだけだった。初めて入ったのは今年の春のことである。階段の奥を覗いたことがなかったので、てっきり地下にあると思っていたのだが、2階だった。しかも、いかにもチェーン風につき、あちこちで見たことがあるような気がしていたのだが、実はここ下北沢と神田の2店舗だけだという。マジで!? あっ、祭○やし辺りと混同しているのかな?

10坪ほどの小ぶりな店内はちょっと山小屋風のインテリアで、テーブルがL字形に5卓ほど、一番奥のものはパーティ席とでもいうべき8人位座れる半個室っぽい造り、板張りの座敷(掘ってはありません)には4卓、詰めればMAX20人座れる。店全体では45人ほどのキャパで、ペットOKとはいえ事実上中型犬以上は難しいかも・・・座敷は板張りのため衛生的にも問題ないようで、犬連れでこちらに座るのも可。
メニューは典型的な居酒屋で、串焼きから刺身、揚げ物、焼き魚まで500円前後のメニューが多数あるほか、2次会需要が多いせいか御飯メニューも充実している。アルコールは中生360円とかなり良心的な値段設定で、私はほとんどやらないので有り難みがわからないのだが、焼酎も40種類以上取り揃え。
開店は1700だが、傾向として早い時間はほとんどお客はおらず、「こんなんで商売になるんか!?」という位の閑散ぶり、事実前回も今回もお客は自分達を入れて3組、6人ほどだが、今回は日曜の晩にもかかわらず20時、21時と時間を追うごとに客が入ってきて、店を出る頃にはいかにも2次会といった13人の団体が襲来!ほとんど満席になってしまった。そういえば、ずっと前に一度来た時にも、超満員で入れなかったこともあったっけ。そうなるとなかなか犬連れでは落ち着かないし、お互い迷惑だからなるべく開店直後、早い時間での入店をお勧めする。まあ犬連れで深夜に飲み歩く人はいないだろうが・・・ちなみに閉店は0500なので、深夜に腹が減ったらヒットエンドラン戦法で車で乗り付けて飯屋代わりに使うというのもアリかと。

で、当店。はっきり言って、この店構えにあまりに不釣り合いな(失礼!)犬メニューが存在する。あれ?前に来た時は気がつかなかったな〜、今回は、自分も犬を飼っていて、分遣隊長のネックレスを見て目ざとく、「あっ、それD・O・Gさんのだ!」と気がついたお姉さんが持ってきてくれた。スタッフの方も、皆犬好きで適当にいじってくれ、大して好きでもないけど今下北で犬相手に商売すれば儲かりそう、などという了見でなさそうなのは好感。

普段は外でお店の食事など食べさせない(そんなに量が食えないので)のだが、今年は恵比寿の「狼煙」以来、ひさびさに分遣隊長にも居酒屋気分を味わせてやろうということで・・・「へ〜、あたいにも食わせてくれるんか〜、珍しいやんか。どれどれ・・・」おつまみのスナギモが320円、ささみが390円(どちらも山盛りキャベツつき)、砂肝とアスパラ、玉子焼き、キャベツ、無塩チーズ入りのわんこごはんが590円。

もちろん、犬の大きさによって量は加減してくれるし、残したらお持ち帰りにもしてくれるとのことだが、いくらなんでも分遣隊長にわんこごはんは・・・ということで、スナギモを。もちろん、どちらも未調理、味付けはいっさいなしです。

キャベツは低カロリーだし、一時期大量に食べさせていたので、分遣隊長も大好物。マテもそこそこに、猛ダッシュ! しかし、それでも彼女には大食いチャレンジだったようで、後半は息切れして、キャベツは数枚残ってしまった。後は膝の上に乗せながら、時々つまんで差し出してやるとモグモグと食べている。最後の3枚ほどはお持ち帰り・・・といっても包んでもらう程でもないので、キャリーのポケットに入れました。

こちらは人間様のメニュー。秋を迎えて新メニューになり、鍋料理が充実ということで、鶏と野菜の鍋980円を注文(2人前から)。
本当、座敷で分遣隊長を侍らせながら飲み食いなんて、夢のような体験だ。もちろん、先に述べたように、下北にはカフェだけでなく、飲み屋にも犬連れOKの店は何軒もあり、入ったことのある店も結構ある、しかし、その多くはオープンスペースで、春秋は気持ちいいけれど、夏は暑いし、冬は透明ビニールで仕切られるからそれほど寒くはないけれど、やはり本当に暖かそうな店内を見るにつけ、何か疎外されているような気がして(いや、犬連れなんてわがままなこと言ってるんだから身の程知らずなのはもちろん承知のうえですけれど)・・・もちろん、出先で昼にやむをえず飯をかっこむ、というような事態でなければ、犬連れで入れないのなら家に帰ってしまう方を選ぶが、そういった気分的なやるせなさを味わうことなく、本当の意味で暖かい店内で、壁にもたれて足を投げ出し、ゆっくり鍋などつつきながら犬と共に食事が楽しめるこのお店、かなり貴重! 「ドッグカフェ」では味わえないまさに異次元の感覚が、まさに癖になる。

煮えて来ました〜
今回は私が酒を飲んでいないので、その分安く上がりそうなものだが、結構な量を食ったので、2人で8,600円と少々お高め。普通に飲み食いする分には、多分1人3,000円ちょっとで済むと思われ、事実親を連れてきた時は3人で9,000円ほどだったはず。料理も串焼きや、今回頼んだ新作メニュー、牛スジ煮込みなどなかなかうまかった。
居酒屋であるから、基本車で行く人はいないと思われるし、飲んで運転してどうにかなってしまっても私は一切責任取れませんが、運転係として飲む人を連れて行くような場合のために一応駐車場情報。一帯にはここ数年、空き地を利用した、数台のみ停められるような駐車場には事欠かなくなってきたが、週末の夜ともなれば中心に近い場所はほとんど満車。そこでお勧めするのが、若干茶沢通りを三軒茶屋の方に行った辺りで、中心部の相場が1時間600円なのに対して400円程度と不便な分ちょっと割安になる。犬連れで行くのであるから、数百メートル歩くのも苦にならないはず。
これはあまり皆さんには教えたくないのだが、当店に限らず下北に来る時は、私はいつも本多劇場の地下駐車場に入れてます。収容台数も20台程度だし、あまり1台あたりのスペースも広くなく、なにより出入りに下北の超雑踏の中をソロリソロリと進むのが慣れない人にはかなりデンジャラスだが、意外に満車になることは少なく、時間400円と割安、地下なので雨の日でも乗降が苦にならず、近くのスーパーオオゼキの買い物で買い物をすると割引サービスもあり。ただし、この駐車場は0時までの営業時間なので注意しましょう。もちろん、前述の通り営業時間は朝までなので、車が出せなかったら朝まで粘るのもいいでしょ。ただし、運転手は酒はダメよ。

*1:ちなみに、1本目を曲がると空モノのモデラーの方には有名なプラモデル店、あの後藤仁氏が店番をしていたこともあるという「サニー」があります