中華人民共和国海軍初来日
本日、中華人民共和国海軍の駆逐艦、深セン(「セン」は土へんに川・・・しょうがないんすよ、これしか表記の方法がないんだから 以下同様に表記)が東京港晴海埠頭に入港した。
同国の海軍艦艇は、建国以来初となる。本来は1998年に相互交流の一環として合意されていたものなのだが、前首相のアレなアレなどがあって両国関係が冷え込んだこともあって、しばらく棚上げになっていた企画なのである。今年に入って、春先辺りから噂は聞いていたのだが、それも本来は9〜10月位との話だったのだが、どんどんずれ込んで艦艇訪日としては割と異例の冬になってしまった。それでも、なんとかギリギリ11月で踏み止まった感じ。
さて、とにかく政治的になかなか問題の多い国の艦艇来航だけに、事前にはいろいろ噂が飛び交った。もとより一般公開などは期待していないが、晴海一帯はおろか、室井警視正によると(笑)レインボーブリッジまで封鎖!(さらに笑)するという厳戒警備体制の計画が聞こえてきたりして、どこで撮れるのだろうか、とフネ屋の方々も右往左往。東京湾フェリーで撮るのも魅力的なプランだが、巨大船情報に引っかからない空母の半分以下の大きさの駆逐艦、ちょっとでも外したら目も当てられない結果になる。初来日の艦艇を撮るにはあまりにギャンブルで却下。
というわけで、伝家の宝刀、秘密のポイントを出すぞテメエ!といきり立ったのだが、久しぶりに巡回してみたらなんとフェンスができて立ち入り不可能!という事態、仕方なく先日のロケハン通りの城南島ということになった。
朝、浜松町駅前で某女史と待ち合わせて、車に同乗して城南島へ向かう。最近晴れが続いていた私の撮影行だが、本日は久しぶりのドン曇りで、朝にはちょっと雨もぱらついていたらしい。しかし、こと城南島で午前入出港艦艇を撮るには晴れよりは曇りの方が好都合なのだ。複数の埠頭・岸壁から成る東京港の最奥部、晴海に至る東京港第1航路はほぼ南北に伸びているので、西側の城南島から撮れば午前中は基本的に逆光になってしまうのだ。とはいえ、曇りも程度問題で、こんなに泣き出す寸前のドン曇りにならなくても・・・こりゃ、以前のいかにも私がフネ撮る時の天気だなや〜wwww
というわけで、0900過ぎ、深センと先航する今回のホストシップ、おなじみの護衛艦いかづち君(第1護衛隊群第5護衛隊・横須賀)が羽田沖に姿を現した。しかし、この曇り具合見ろやコラ! しかも、すでに左舷側(すなわち手前側)にタグが併走し始めている。ここまで最悪のコンディションがあるだろうか・・・
そして、いかづちから500ヤードほどのセパレーションを取って第一航路に入ってきた、初見参の深セン。日本で最初に同艦を見た、数少ない中の1人となれたのだ。
しかし、なんと言うか・・・まあ、例の石○山遊園地を見るまでもなく今をときめく中国のパ○リスピリット、鉄道だって車だってその既視感満載の微笑ましいインダストリアルデザインには免疫ができているつもりだが・・・少しづ〜つ、どこかの何かに似ていて、そこはかとなく垢抜けなさを感じさせるのはさすが。もっとも、それを言っちゃ日本だってあまり大きなことは言えないが・・・相対的に中国を貶めたい気持ちもわかるが、そういう人はちょっと車のデザインとかにも興味を持とうねwwwwww
2機収容可能な?船体幅いっぱいのヘリ格納庫上構は近年の流行だが、それを除くと前から思っていたのだが、どことなくオランダのカレル・ドールマン級に似ている?
艦首からのアップで見ると、いくらかは21世紀(就役は1999年だが・・・)の水上艦という印象が強まるか。しかしそれだけに、このハルナンバーの書体はキツイ。この辺から立ち上ってくる「匂い」のようなものが、日本のド真ん中にいながらにして、何か見てはいけないようなものを見てしまったような気にさせる。シアのラインの角度が変化するところが、ちょっとロシアのウダロイ級を思い起こさせるライン。兵装は前から56口径79A式100mm連装砲、フランスのクロタル艦対空ミサイルの国産版といわれるHQ-7の8連装発射機。現代の艦砲には珍しい連装砲である79A式はステルスシールドとなった最新型、また一段高くなった部分に設置されたHQ-7発射機の辺りのデザイン処理は、かつてのソ連海軍のカーラ型・クレスタ型ミサイル巡洋艦を思い起こさせる。
船体中央部には水上打撃力の要、J-83(鷹撃83) 対艦ミサイルの4連装キャニスターを合計4基、計16発搭載する。考え方としてはハープーンのMk141キャニスターと同じだが、飾りっ気のないコンテナのような四角四面の箱形デザインが何か異様な感じがする。煙突は前後に2基。同艦の主機はCODOG、蒸気タービンと2説があるが、煙突からではその真実は窺えない・・・
艦尾ヘリ甲板には、搭載機であるAS365Nドーファン2の国産版であるZ-9C?が出されていた。格納庫の上に載っているのは、ロシアのAK-630にちょっと似ている76A型37mm連装機銃。スターンはオーバーハングしているが、TASSなどの繰り出し口は見あたらない(ひょっとして中央部の丸がそう?)
もやに霞む第1航路を、虹の橋、晴海埠頭へと向かう深セン。こうして、記念すべき初来日となる中国海軍艦艇のお出迎えは終わった。もちろん、この後に晴海に向かえば、入港してくるところには間に合わないだろうが接岸しての各部の撮影などは可能だが、とにかく厳戒態勢との噂だし、本日は時間の制約もありこれで引き上げなければならない。幸い、出港は土曜日なので、もう一度チャンスもある。というわけで、十数分で現地撤収。
最後に1枚、先日と同じように城南島で撮った、離陸してゆくANAのB747を。