HAWK FIVE TEAM最後のフライイン

Blueforce2008-05-11

空母三代。
私が最初に空母を意識して、実物を見たのはもう四半世紀も前、いわゆる「ライシャワー発言」の時に空母という存在がひとしきり話題になった頃である。
それ以前からこの趣味に足を突っ込んでいた私だが、当時本当に子供ゆえ、艦船を見るという目的で横須賀に行ったことなど当然なく、もちろん一般人が空母を目にすることなど絶対に不可能だと思いつつ、どうしても見たいと駄々をこねて母親に国鉄(古〜!)横須賀駅に連れてきてもらったのだ。しかし、予想に反して、横須賀駅のホームから見える「41」の文字に、空母が、ミッドウェイが見えた!と天地がひっくり返ったかのように喜んで跳ね回ったのを昨日のように思い出す。あの時は、確かに113系しか来ない横須賀駅のホームからミッドウェイが見えたのだ。
それから数年後、航空基地と同じように艦船基地にもオープンハウスというものがあるのを知り、停泊中ではあるがミッドウェイに乗艦を果たし、一般人の子供にも空母は身近な存在となった。以来、横須賀を「事実上の」母港とする空母は1991年にインディ、1998年にキティと変わり、ハルナンバーも41→62→63と大きくなった。空母だけではない、随伴艦の構成もすっかり変わり、何より自分が子供からいい年こいたオッサンになった。そして、日本に空母が恒久的に配備されるようになって35年、間もなくハルナンバーは「73」へとさらに大きくなり、空母のアイランドから(ついに)煙突が消える。
というわけで、煙突のある空母が今月末の退役に伴う離日の直前、最後の横須賀への帰港にあたって、搭載機が厚木に帰ってきた。今回はタイミング良く日曜日だったこともあり、その(恐らく)最後のフライインを記録することができたので、また激重になるので全機は無理だが、ここに紹介させて頂く。

例によって朝はゆっくり寝坊させて頂いたのだが、油断大敵、午前中にVAW-115のE-2CとHS-14のSH/HH-60は降りてきてしまったらしい。しかし、逆にこれでフライインは確実になったわけである。言うまでもなく、フライインやらフライオフ、以前紹介したフォトミッションなどに当たるのはすべて当たるも八卦、当たらぬも八卦のヤマかけだ。今週末、ヤマをかけて他の場所への遠出を控えていた私としては、シナリオ通りの進行である。1400過ぎ、R/W19エンド着。しかし、休日なのは有り難いが、午前中まで雨が降っており、午後からなんとか回復・・・という予報で、晴天の下のフライインは望むべくもない。
1457、まず最初に降りてきたのはVAQ-136のEA-6B、以前はNF500だったが先日機体交換でNF501となったBu.No.163524。

2機目はダブルナッツ、NF500(Bu.No.164402)。この機体は3月に本国ワシントン州NASウィドビィアイランドから機体交換でやってきた元VAQ-132所属機で、ICAP-IIブロック86仕様の通算169号機、すなわち生産総計170機であるEA-6Bの最終号機の1機前(通算169号機)という極めて新しい(?)機体。本日は基地の東エプロン―海自側で一般開放―チビヤンが催されているのだが、その入場客を意識してかオーバーヘッドの進入が滑走路の直上ではなくだいぶ東側に寄っているようだ。

1502、3機目で降りてきたのはNF502(Bu.No.162938)。

残りの2機はダイレクトのアプローチに変わった。1516、比較的詰まったセパレーションで降りてきたのは・・・

NF503(Bu.No.158811)と、

NF504(Bu.No.163404)。こちらも元VAQ-132所属の補充機で、元504であったBu.No.161115はクルーズ中にグアム近海に墜落して喪失となっている。

こちらは2006年7月に撮影した、キティホーク艦上で憩う在りし日のNF504、Bu.No.161115。南無〜

1523、いよいよホーネットが帰ってくる。1機目はVFA-27のF/A-18E(NF201/Bu.No.165861)。

続いてNF203/Bu.No.165863、1531にNF215(Bu.No.165869)、1534にNF207(Bu.No.165867)、

1538、NF204(Bu.No.165864)、1541にNF214(Bu.No.165868)、1552にNF210(Bu.No.165870)、

1608、レガシーホーネットの第1陣、VFA-192が帰還。トップを切って降りてきたのはなんと!おなじみ怒羅権親分、F/A-18C・NF300(Bu.No.164010)、

続いてNF305(Bu.No.163996)、1615にNF304(Bu.No.164045)、

1616にNF306(Bu.No.164025)、1623にNF310(Bu.No.164067)、1624には再びVFA-27のF/A-18E(NF212/Bu.No.165872)、

1626、またVFA-192のNF302/Bu.No.163990に戻って・・・

1635、VFA-102が登場。こちらもトップを飾るのはD-back親分、NF100/Bu.No.165894。

1636にNF104/Bu.No.165880、

アプローチしてくる"ライノ"の正面形。アプローチ・インデクサーの赤い光がカッコいい!まるで懐かしの名写真集、"THE CUTTING EDGE"の世界だ。これでもうちょっと光線がドラマティックならさらに良しなのだが・・・でも、これはこれで陰鬱な北海の空の下を航行するアイクに着艦する"ヴィクトリー"フライト、みたいに見えるかな(爆)
結局、最初のアイクロの3機以外は全機がストレートインで、遠く―そう恐らく鵠沼辺りでフィートドライになる位から脚を降ろしてノロノロと降りてくるのだが、雲高が低い悪天候と、休日にフライトを行う際のなるべく基地上空での騒音を低減するためという2つの配慮でこうなるようである。といっても、直線のアプローチコース直下の人はどうやっても騒音は変わらないのだが・・・飛行機は5分おき位に、ポツポツと南の空に2機ずつ姿を見せる。通常フライインは4機位のフォーメーションを組んで帰ってくることが多いが、当然それはおおよそ1分ほどのカタパルトの射出間隔で先に離艦した機体が、上空で足並みを揃えるために速度を調節したりして待っているわけである。今回のフライインは、まるで各自勝手に帰投せよとばかりに、カタパルトで打ち出した間隔そのままでパラパラ帰ってくるような、妙にリアルな「間」を感じるものだった。
もちろん、タイトなフォーメーションを組んで上空でブレークするオーバーヘッドもいいものだけれど、それだとこういった複数機が正面形を見せて降りてくることはない。しかし、これはこれで、なかなかスパルタンでカッコイイ。特に、何度も述べているが基本的にホーネット嫌いの私だが、主役メカにふさわしい風格と重量感を備えたスパホは、悔しいがこういう場面では前任者にまったく引けをとっていないと感じる。

その正面形から引き続き、1644に降りてきたのはNF105/Bu.No.165887、NF103/Bu.No.165884、続いて1656にNF102/Bu.No.165882、

1657にNF111/Bu.No.165891、NF113/Bu.No.165893、1706に真下から撮ったのでモデックス不明のNF1XX、

同じく1706にNF110/Bu.No.165876、

1710にNF112/Bu.No.165892、

1712、ここまで1機も姿を見せなかったVFA-195がやっとアプローチ。こちらも1機目はおなじみ"Chippy Ho!"、NF400/Bu.No.164905。

続いてNF410/Bu.No.164899、

1717にNF402/Bu.No.164908、この後に降りてきたNF407/Bu.No.164865はなぜか1回タッチアンドゴーを行った。何がしたかったんだろう・・・

1729にNF412/Bu.No.164906、NF406/Bu.No.164960、

1733、NF403/Bu.No.164976。まだ降りてきそうな感触であったが、本日下北に分遣隊長のフードを買いに行ったりしなければならないため、当分遣隊としてはここでラスト。まあ、日が長くなった季節だからいいけど、彼岸前だったら半分以上真っ黒ですよ。
今月下旬予定とされているキティホークの離日前に、あと何度厚木に通えるかはわからない。ことによると、機体に「USS KITTY HAWK」と書かれた飛行機を目にする機会はこれが最後だったかもしれない。いつの日か、また大統領シリーズをやめて、「USS SARATOGA」とか「USS RANGER」とか、それこそ「USS KITTY HAWK」と書かれた機体を見ることができる日は訪れるのだろうか。その頃には飛行機は味気ない無人機になっているか、それとも飛行機も空母もこの世からなくなってしまっているのだろうか・・・