痛恨!カッシング離日

USS Oldendorf DD-972

横須賀を母港とするアメリカ海軍の駆逐艦カッシングUSS Cushing DD-985が退役のため本国に帰投した。
戦後のアメリカ海軍史に一時代を築いたスプルーアンス級駆逐艦について、いつもの事だが単なる日記であるこのスペースで詳細に解説をするでもない。ネームシップスプルーアンスSpruance DD-963は1975年就役、艦令はすでに30年を迎え、寿命としては標準的なものであろう。
初めて配備されたのこそ1984年8月のオルデンドーフOldendorf DD-972と遅かったものの、その後1988年8月のファイフFife、1990年8月のヒューイットHewitt DD-966、1992年10月のオブライエンO'Brien DD-975、そして1998年3月のカッシングまで、横須賀の第15駆逐隊にはのべ5隻が代わる代わる在籍し、空母もミッドウェイ、インディ、キティと3代に仕えたことになる。スタイルは色気のかけらもない、モジュールを組み合わせただけの四角四面の船体で、これ見よがしの武装もないし実際排水量の割に武器が過小と批判されて、当初は決して人気のあるクラスではなかった。
しかし、ギアリングやフォレスト・シャーマンを知らず、これで育った人間にとってはスプルーアンス級こそがアメリカの軍艦なのであって、こういうもんだと思って歴史書などひもとかなければ、だだっぴろい上甲板もついたてのような艦橋前面もこれはこれで強そうに思えて、軍艦のスタイリングの座標軸の真ん中に当級を置いている方は多いと思う。なんだかんだ言ってこれで育ったんだから・・・
離日の噂は前から聞いており、最後の姿をなんとしても収めたかったのだが、よりによって出港日の前の週をずっと風邪で休んだり早退したりで、さすがにもう言い訳も立たず・・・一昨年のトムキャットに続いて痛恨の今際の別れである。こうして、また我が青春の光がひとつ、その灯火を落として行ってしまった。
残念無念とは、まさに今日のためにある言葉。この行間から私の血を吐くような思いを読み取ってくだされ。9月にノーフォークでどれかに会えるかなあ・・・
Photoは私にとっては忘れられない第15駆逐隊のトップバッター、オルデンドーフの艦橋とマスト。横須賀配備間もない1984年10月撮影。