潜水艦救難母艦「ちよだ」出動!

DSRV of JDS Chiyoda AS405


カムチャツカ沖で露の深海艇が浮上不能、海自艦を急派
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050805-00000255-kyodo-int

さてさて、大変なことになってしまいました。海自が露政府の要請で潜水艦救難母艦「ちよだ」AS405を緊急派遣とのこと。同艦は偶然だが先日の伊勢湾体験航海で目にしており、素材には事欠かないのだが、いや〜出番があるもんすね。しかし、艇内の酸素はおよそ24時間分とのことで、最大速力17ノットの同艦が現場海域に到着するのは3〜4日後とのこと。間にあわんやんけ!
冷戦時代なら海自になど絶対に頼まず、余裕で見殺しだったろうが、もうそういう時代でもない。しかし、相手は衰えたりとはいえ、一度は天下を取りかけた大海軍。今回の件も、協力するのはもちろん賛成だが、なんかお願いするというより、いっちょやらせてみるか、お手並み拝見、のようなニュアンスを感じるのは私だけだろうか。
しかし、事故原因が漁網がスクリューに絡まって身動きできなくなったとは、まるで映画のようなシチュエーションであるが、どうしたものかね。あちらも深海潜水艇ということで、メンディングハッチの規格は合っているのだろう。水深200mということは、DSRVを出すでもないようにも思えるが・・・潜水艦の事故というのは、耐圧殻圧壊でなければ、じわじわとなくなって行く酸素とにらめっこの、時間との闘いであるが、もちろん安全第一で作業する民間船舶と違って、7つの海に救難潜水艇が用意されているわけではない。船舶で急行といったって、日本近海で沈んだ潜水艦の救難にサンディエゴから出かけていってもどうにもならないので、DSRVは空輸が基本になり、アメリカ海軍最後の世代の潜水艦救難艦ピジョンPigeon ASR-21、オートランOrtolan ASR-22の2隻も現役を離れて久しい。今回米海軍は無人潜水艇を空輸することになったらしいが、あそこは有人DSRVもやめたのか?ミスティックとアバロンはどうしたの?
空輸したところで、搭載できるのはC-5やAn-124のような超大形機に限られるので、長い滑走路を持った最寄りの飛行場から港まで陸送しなればならない。そこから準備作業をやったりしていたら・・・最終的には空中投下可能なDSRVを作るしかないのだろうが、そんな荒唐無稽な代物ができるわけもない。
水がなくても、あり過ぎても生きて行けない人間の、いやサブマリナーの、大気と潮との狭間で踊る悲しいダンスよ。
Photoは2週間前に見た、今回派遣された「ちよだ」搭載のDSRV(Deep Submergence Rescue Vehicle)。