乗り物雑誌編集者!よ〜く聞け!

HONDA CBR900RR ”Fireblade”

おう、ワイや。航空雑誌評論家のBlueforceや。
今日は世のあまた編集者にちょっと一言言っておきたいことがある。良〜く聞け。
あれはCBR900RR、いわゆるファイアーブレードちゅう奴が出た時の事や。ワイ、最初に乗ったバイクがCBR400RRだったこともあってなー、元がレプリカ党&直4党&ホンダ党(後に党籍を離脱せずにVツイン党にも所属)や。そやけど、ホンダちゅ〜メーカーはヘソ曲がりちゅーか、まんずユーザーのドツボにはまるモデルよう出しよらへん。限定ではRC30なんて切れたのあるけどな、後は各モデルともレプリカ出すのはいつも一番後、まあエアロとか言うて小学生の粘土細工みたいなバイクばっかり出しよってからに・・・
でもな、時代の雰囲気っちゅーのは不思議なもんでな、1991年だったか、東京モーターショーに遂に本気(汁)を出したホンダがこれを出品した時は、「カッコエやないか!しかしなこのアッパーカウル、アフリカツインと共通やないんか?(笑)」と一人鼻息を荒くしたワイは例外的な方で、雑誌の扱いも小さく誰も大して気にも留めんかったんや。マーケットで、最速が一番魅力的な言葉だった(今でもそうやけど、今は当時のと違って多面的な愉しみ方があるやろ)時代に、戦闘機で言えばラファールみたいのはわかりにくかったんやろな。ラファールは今でも人気ないけどな(笑)
当時ワイが半定期的に読んどったのは、ロウアー&サブカルの代表、ミスターバイクとアッパーの権化、ライダースクラブや。ライダースは今はそのかけらもないけどな、デザイナーのセンス伺える白ベースの表紙にライティングも凝ったスタジオ撮りのバイクが並ぶという、取りようによっては鼻持ちならない連中が集う大人のサロンや。今でも笹塚の福○にでも行ってみぃ、ササッとエスプレッソが出てくるで。街中の国産扱ってるバイク屋で、背中向けたまま振り返りもせずに「何探してるの〜?」なんて接客とは天と地ほど違いや。そういう世界がバイク業界にもあるとは最初知らんかったよって。ソアラもよう売れた、クリスマスは赤プリでオープンハートのプレゼント、そんなハイソな時代に生きる、心もチンチンも大人になりかけのマセガキにはな〜、ライダースっちゅうのはそれは大人になったことを実感させてくれるステイタスやったで、今のバイク乗る若造にはわからんやろけど・・・
もちろん、伊達で買うてるわけやなくて、コンビニで売っとるような雑誌では聞いたことのない、海外のコンストラクターや、カスタムを見て鼻息荒くしたり、ネモケンさんのニューモデルインプレを読んで買えもせえへんのに、次はアレがいいとかコレが欲しいとかやっとったわけや。シーズン終わりにその年のワークスマシンを紹介する企画とかも一生懸命読んだで。レイド好きのワイとしては、毎年パリダカが終わった後のNXR750分析は、他誌で取り上げられることが少なかったから嬉しかったのう。100mm径ライトでロスマンズの89NXR、格好良かったで、トムキャットと甲乙つけがたい位な・・・
いかんいかん、脱線してもうた。それでファイアーブレードやけど、当然デビューした時もライダースの特集を買うたわけや。ワイは翌年限定解除するんやけど、それほど好きなくせになぜか最初に乗ったのはGSのパリダカやった。そやけど、このインプレだけは夢中になって何度も読んだ結果、ほとんどその全文を空で言えるようになってしもたんや。これには我ながらビックリや。いやいや、今はさすがに忘れてしもたがな。
で、数年後、ライダースもライバル誌の台頭で昔ながらの誌面では厳しくなってきたんか、カラーが変わって編集長もネモケンさんから押江さんに変わらはって、まあそれも時代の流れかな〜と思うて暖かく見守るつもりやったけども、94モデル登場の後、その変わった(安くなった?)誌面でやたらと増えてきた、「各社フラッグシップ乗り比べ」のような特集で、ホンダ代表として当然ファイアーブレードが出るわけやけど、読んでビックリ!これ、最初の特集の文章そのままやないか!
分量は3分の1ほどになってるが、それもワープロでばっさりブロック毎に切ったような無成型ぶり、思わず「いい仕事してますね〜」と口をついて出るほどや。2年以上経っとるけど、こちとら全文を暗記しとるんや、ごまかされるはずないがな。時間がなかったのか、こういう所で楽をするのが編集の常道なんかい・・・で、腹が立ったわけでもないけどな、ちょうど読プレの葉書がついてたんで、ご意見欄に「ファイアーブレードの所が前の特集の文章のママで笑えました」と書いて送ったったわ。
しかしここからがさすがライダース、印刷だが押江氏の署名と、「これからもご指導御鞭撻の程を・・・」と一言自筆入りの葉書が返って来た。さらにアッと驚いたのが、次次号だったかの読者コーナーで、「私はファイアーブレードが大好きです。しかし、先日の号のファイアーブレードの記事、前の特集と文章が同じではないですか!これはファイアーブレードを愛する私や、貴誌のクオリティに期待している読者にとって最大の侮辱です!」との投稿が掲載されていたことや。こういう投稿は闇に葬るより却って載っけちまった方が潔さを演出できるんやけど、それよりも苦笑半分で書いたワイに比べてその熱血さ!本当に思い入れがあればなんでもできる、読者様は有り難いと同時にこれ以上怖い存在はないと思い知らされたわ。
雑誌だけやない、テレビでもラジオでもそう。一文字一文字、一言一言が真剣勝負や。あんさんのその記事を心待ちにしている読者が、あんさんが思っている以上にぎょーさんおるで〜。ゆめゆめ記事の使い回しなんぞ考えんように、気ィつけ〜や〜。