救国の少女奇跡の繊維に敗れる(か?)

Jeanne d’arc R97

退役空母の本土帰還命じる=石綿除去問題−仏大統領
【パリ15日時事】インドでのアスベスト石綿)除去・解体を目指していたフランスの退役空母クレマンソーClemenceau R98 (現役時最大排水量3万2780トン)について、シラク大統領は15日、仏本土に帰還させるよう命じた。昨年12月末に南仏トゥーロン港を出発した同空母は、結局全く除去作業を行うことなく「帰国」を余儀なくされることになった。
現地インドでの反対運動の高まりに、解体工事強行を断念せざるをえなかったようである。クレマンソーはさすがに見たことがないが、フランス海軍といえば、ひと昔は晴海に毎年のようにヘリ空母(実態は練習艦ジャンヌ・ダルクJeanne d'arc R97が来航しており、おなじみの存在だった。よくまあ毎年毎年飽きもせず・・・もう見るとこないよ〜、とか言いながら、それでも仕方ないので一般公開には足を運んでいたあの頃。
1961年就役のクレマンソーでそれだけ騒ぐんだから、同64年就役のジャンヌ女史にもさぞやたっぷり使われてるんでしょうねえ。アスベストは現在でも、その毒性を考慮しなければ耐熱性、耐薬品性、絶縁性に他に代わる物のない、魔法の鉱物だという。艦船といい鉄道車両といい、その危険性が認識されはじめ使用が規制される前、1960年代までの乗り物にはおよそ広く使用されている。鉄道会社の工場や車両メーカーでも職員にアスベストによると思われる悪性中皮腫や癌の発症が報告され、保存車両や博物館の展示車両にもその使用状況の調査が行われる事態になった。
長大な蒸気配管を持つ蒸気タービン艦にはどれほど使われているものかと・・・サンディエゴで記念館となっているミッドウェイ、先日訪れたノーフォークウィスコンシン、どれも飛散防止処理は完全に行われているのだろうか。オレ結構吸ってる!? 大体、常にアメリカ海軍の最古参艦船が回されてくる横須賀の空母は、また実艦標的となったり魚礁として海中に沈められる艦船から溶出するアスベストは大丈夫なのだろうか。
艦船の引き起こす環境汚染といえば旧ソビエト原潜の放置原子炉の問題がまず思い起こされるが、この「静かな時限爆弾」も、一世代入れ替わるまでは今後看過できない大問題となりそうな予感。防塵マスク付けて乗艦しなきゃいけない事態になったりして!?