オープンカーオーナー必携キティちゃん膝かけ

a blanket of USS Kitty Hawk

軍隊を、いつも直立不動で敬礼している人間味のかけらもない殺人マニアの集団だと思っている人は多いけれど、それは違うで。
そりゃ、どんなに実像を糊塗しても、つまるところ任務は人殺しで、命令があればためらわず人を殺すのが商売だ、近年はやたらと崇高な任務だとか崇めたてまつる向きも多いが、そういうのに与するつもりはない。本来、プロフェションたるどの職業にも然るべき敬意が払われるべきで、ことさら軍人を市民の上に置きたがるというのも、いかに軍隊(日本では軍隊とは言わないらしいが)が社会に溶け込んでいないことの裏返しだということを良く表しているのではないかな。
ま、そういうのを論ずるとまたおっかない人がいろいろ御訪問されるので、程々にしておいて、映画だとトム・クルーズや昔のバル・キルマー(あの人オッサンになったよな〜)のような顔ぶれが並ぶアメリカ海軍の戦闘機乗りだが、実際を見れば生っ白かったりアゴが割れていたりと普通の人々。ちょっとばかり特殊技能は持っているが、どこにでもいる普通の人間である。誰もが社長(海軍作戦部長―アメリカ海軍で最高位のポスト)になれるわけでなし、そろそろオレゴンで農場やってる親父に跡を継いでくれないかと言われてこの辺が潮時かと思っているかもしれないし、ボストンのアパートで1人で暮らしている母親の面倒を見なきゃならない頃かもしれないし、ロサンゼルスにいる恋人に離れ離れのこんな仕事いやだ、結婚するなら転職してくれと迫られているかもしれない。普通の人間の悩みがあり、迷いがあり・・・楽しみがある。

初めて自衛隊の体験航海や米軍の基地公開に行って、食堂の調味料入れやアイスクリームストッカー、自動販売機や本棚のマンガ、基地内のマックや映画館を見て驚く人が多いが、いったい彼らを飯も食わず便所にも行かず家族も恋人もいない機械だと思っているのかな。まあいい、そういう人達にこそオープンハウスを見て欲しい。ミサイルや銃、戦闘機などどうでもいいのだ、兵器マニア、ミリオタでない人でも、そこにあるのが人々(圧倒的に男が多いが、最近は女の人数も増えてきた)の生活の場だと知れば、得る物は必ずあるはずだ。もちろん、その上でやはり薄気味悪かった、軍隊なんかいらない、戦争反対〜!と叫ぶ選択肢もあるよ。生身の人間だという理解と、基地の重圧、騒音問題、犯罪の増加などは別の問題だからね。
おっと、また脱線し始めた、こんな堅い話はほどほどにして、本日のお題。基地や艦船の公開では、日米問わずグッズの販売が行われる。先日の日記にちょっと書いたけど、Tシャツ、キャップ、ワッペン、マグカップ・・・最近ではDVDも流行っている。刺繍のワッペン(パッチ)は部隊のエンブレムの他に、例えば艦載機部隊だと航海ごとの記念バージョンや、機種改編、作戦参加など折に触れてデザインして、これをフライトジャケットにどんどん縫いつけていくのだが、少数生産モノだったりするとオクで目ん玉飛び出るような値段で売られていることもある。これも、一般の人は軍隊などユーモアのかけらもない連中だと思っている方が多いかも知れないが、その遊び心あふれるセンスに思わず笑ってしまうようなものが結構多いので、興味のある向きは横須賀のダイヤモンド商会などでいろいろ見て回ると、結構その道にはまるかも知れない。

当然、今回小樽に寄港したキティ*1でもグッズの販売は行われた。各部隊は寄港先や他基地のオープンハウスに参加する時に備えて、いつも大量の在庫を抱えており(足りなくなったら陸上基地からの定期便―COD・Carrier Onborad Deliveryという―で補充)、例えば5月の岩国でのオープンハウス参加でもコクピットの後ろに積めるだけの商品を詰め込んでやってくる。今回は格納庫甲板・ハンガーデッキに、各部隊の空母航空団司令官機を並べて、その前にブースを出すというスタイルで出店していた。航空部隊以外にも、キティホーク自体や*2一般公開がないため随伴艦のミサイル巡洋艦カウペンス、親部隊の第5空母群などもこちらで出店させてもらっていた。

私はあまりグッズ収集には興味のない方なのだが、人によっては飛行機や兵器展示などよりこちらの方がメインイベントという御仁も多く、2万3万はあっという間に散財してしまうというのもよく聞く。興味のないはずの私も、昨年9月のオシアナエアショーでは普段縁のない大西洋艦隊*3の部隊グッズを目にして結構買ってしまった。
今回も、荷物がかさばるし、あまり余計なものは買わないぞ!大体写真撮影が忙しくて買い物などにうつつを抜かしている暇はない〜!と思っていた私だが、土産のこともあるのでついブースを冷やかしに・・・あまり詳しくないので目利きができず、レア物パッチがあるかも知れないのに航空部隊の方は素通りして、心なしか閑散としているキティのブースを覗いた時・・・

折り畳んでビニールの袋に入っている、ブランケットが。隅にワンポイント、キティのエンブレムが刺繍で入っている。エンブレムの絵柄はもちろんライトフライヤー。言わずと知れたことだが、キティホークとは1903年12月17日、オービルとウィルバーの、ライト兄弟と呼ばれる2人の男が人類初の有人機力飛行に成功したノースカロライナ州の丘のことである。今は現代大統領の名前ばかり命名するようになってしまって、生臭さ満点の空母の艦名のなかにあって、なんと愛らしくロマンにあふれる命名だろうか・・・!
うだるような暑さの中、オープンカー乗りとしては、これは膝掛けとして実用性も高い・・・しかし値札を見たところ、なんと4,500円! ドル建てだと35ドルである、ずいぶんレートが悪いなあ・・・一応ちょっと値切ってみるが、「バーゲンやんないわよ」(もちろん英語で)とつれない返事。仕方ない!定価でお買い上げとなりましたorz
重くはないけど、かさばるので荷物になるかと思ったが、どうせもう撮影も終盤、駐車場まで持って帰ればあとは車で動くのだし、ザックの容量にはまだ余裕があるので、楽々持ち帰ってきた。この炎天下では当然まだ出番はないが、撮影のために広げてふうこを乗せてみたら、思いのほか生地が厚手でフカフカ感が気持いいのか、頭や背中をこすりつけてグリグリやっている。こらこら、冬までしまっておくんだって、毛だらけになっちゃうでしょうが・・・

とりあえず、撮影用に車に乗せてみたが、現用のバーバリー(もどき)のものに比べ、面積も大きくフリース素材のため、暖かさはこちらの方が上? ワンポイントの刺繍も米軍謹製のグッズにしてみてはまことに上品で(Tシャツとかとても寝間着にしか使えないような絵柄のものが多いので・・・)、これなら同居人にも文句はあるまい。色は濃紺と、今回購入した赤があって、車とコーディネートが取れているのは濃紺の方なのだが、ここは思い切って赤にしてみた。オープンドライブの時に外からだとどう見えるかな? 秋以降、街中で見かけたらぜひ御感想を賜りたく・・・

*1:本来キティホークを略して呼ぶときは"Hawk"が正式で、「キティ」と言っても向こうの人には通じないし、ミリオタ的には初心者っぽくなるが、当分遣隊ではそれを踏まえた上でキティと略させて頂いております

*2:空母搭載の航空部隊はあくまでも航海時に乗ってくるお客さんという立場で、指揮系統や人員は艦船側固有の乗組員―Ship's companyと言う―とは全く別、お互いの交流は想像するほどはなく、空母には全く別の集団が2つ乗っていることになる

*3:艦船でも航空部隊でも大西洋艦隊隷下の部隊の所属を書くとき、atlanticから文字を抜き出して"LANT"と表記するのがアメリカ海軍流 太平洋艦隊は"PAC"と書く こう書くとかなり通っぽくなって一目置かれる・・・はず