イージス護衛艦「あしがら」誕生

Odakyu Ramance-car EMU type7000

8月は結局ずっとパソコンが使えなかったので、バタバタしてしまって書きそびれたのだが・・・
私の誕生日であった8月30日、三菱長崎でいわゆる「15DDG」、「あたご」型護衛艦の2番艦となるイージスDDGが進水し、命名式が執り行われた。
事前に各方面でいろいろ憶測が飛び交っていた注目の艦名だが、なんと大方の予想を裏切って「あしがら」に決定。軍艦というのは基本的に伝統の艦名を踏襲し命名されるケースが多く、それでも近年新たな人名をどんどん採用するアメリカ海軍などと違い、海自ではほとんど新規の命名はなく*1、旧海軍の艦名の2代目、なかには3代目の襲名をする例もある。奥羽本線経由の青森行き寝台特急として今も健在の「あけぼの」は、明治時代帝国海軍最初の駆逐艦となる雷型3番艦、昭和初期のいわゆる特III型駆逐艦である暁型3番艦に続いて、現在のDD108「あけぼの」で3代目。

▲EF65PF牽引で山形経由だった頃の寝台特急「あけぼの」
「あしがら」は旧海軍のいわゆる条約形重巡妙高巡洋艦の3番艦「足柄」に続いて、2代目の命名ネームシップの「妙高」が先に「こんごう」型の3番艦で採用されているので、遅れを取ってしまったが、おかげでヘリ甲板を備えた最新鋭イージス艦に生まれ変わることができた。
旧海軍と異なり、漢字を使用せずすべて平仮名書きの艦名としてしまった海自では、表記は「あしがら」となるが、この字面で思い出すのは当然小田急ロマンスカー。実は旧海軍―海自の艦艇名と列車名というのは共通しているものが多く、両方好きだとこれをオカズに結構楽しめてしまうのだが、なかでも小田急の特急列車は軍艦の名前の宝庫。「あしがら」を筆頭に「あさぎり」、「さがみ」と3種を擁する。

▲1992年観艦式にて 護衛艦「あさぎり」DD151

JR東海371系を使用した特急「あさぎり」
もちろん、普通の人に軍艦の名前でなにを一番に思い出しますかと聞けば、圧倒的に「大和」だと思う。これを素人臭いというつもりはなく、もちろん日本軍艦を一番象徴しているの名前は「大和」に違いないだろうが、列車名としては「大和」は存在することはしたのだが、極めてマイナー。だいたい、地域ナショナリズムというか、東日本の人間としては「ちょうかい」とか「みょうこう」とか「あぶくま」に萌えるもんなんである。旧海軍の命名基準で、戦艦につけられることになっていた国名 *2は、現在では何かと問題が多いので望むべくもなく*3、「むさし」や「しなの」は無理そうだし、もう伝統の踏襲としてはあまり残っていないような気もするのだが(海幕はまだまだネタには困らないと言っているらしいが)、それだけに今回の「あしがら」は残された数少ないと思われる選択肢からは順当とも思える採用ではあるが、うれしい命名であった。
小田急ロマンスカーとしては、町田・相模大野停車でエース格の「はこね」に準じる2番手のような位置づけであったが、さらに停車駅も多く、小田原止まりも多い準特急的な「さがみ」とは一線を画し、箱根特急として「はこね」に並ぶ風格を持っていたように思う。ライナー系列車の台頭により列車名が整理され、1999年7月には廃止されてしまったが(一緒に廃止された「さがみ」は2004年にちゃっかり復活)、それだけに護衛艦「あしがら」には末長くの活躍を願うものだが・・・できたら、ご当地もので横須賀の1護群配備にして欲しいものですけどネ*4

*1:極めて特異な例として、金丸某が防衛庁長官だった当時に進水したためオラが選挙区の山岳名を命名された「しらね」がある 同名艦は帝国海軍籍では存在しない

*2:草創期にはこの基準は定まっていなかったため例外もある

*3:「さがみ」は国名ではなく、自衛艦命名分類で補給艦に適用される湖沼の名前―すなわち相模湖のことである

*4:無理です