平成18年度自衛隊観艦式事前訓練

in JDS Kurama DDH144

平成18年度自衛隊観艦式、22日事前訓練に行って来ました。
本日乗艦したのは本番で内閣総理大臣防衛庁長官観閲艦となる「くらま」DDH144(第2護衛隊群直轄・佐世保)。過去5回(延べ回数6回)参加で未経験の本港吉倉出発である。今回は1発目で、天気があまり良くなかったこともあり、観閲・展示訓練の模様をダイジェストでお伝えする。
自衛艦隊司令官座乗のためマストに3つ桜の海将旗を掲げた 「くらま」はY3バースの岸壁側に、「ひえい」DDH142(第4護衛隊群直轄・呉)とメザシで停泊していた。出港は参加各艦のなかでもっとも遅い0930、本日はもちろん事前訓練のため内閣総理大臣防衛庁長官の座乗はないが、代役を立ててすべて本番と同じ進行で式次第は進められる。詳細は省くが某ロス級などが並ぶ某※国の基地を右舷側に望み、浦賀水道航路No.5ブイとN0.6ブイの間を回り込んで湾外への航路を進む。あ、某※国なんて書いてるけど、これだけは貼らせて下さい惜別F-14トムキャットカテゴリ番外編(笑)

港外には沖泊めの「ときわ」AOE423(第1海上補給隊・横須賀)が停泊している。おい、お前も出演組だろう、こんな所でのんびりしてていいのか!? その向こうには横浜出港組の試験艦「あすか」ASE6102(開発隊群・横須賀)、そして遠く本牧方からベイブリッジをバックに「あめ」型の2隻、「さみだれ」DD106(第4護衛隊群第4護衛隊・呉)、「あけぼの」DD108(同)の2隻が近づいてきた。先に出港したイージスDDG「ちょうかい」DDG174(第4護衛隊群第64護衛隊・佐世保)の後について浦賀水道航路を南航、東京湾外に出る。今回某掲示板などで話題となっている東京湾フェリーとの航路の直交だが、行きは我が「くらま」前後とはいい案配で交差する便はなかったようだ。

今までの参加歴は観閲付属部隊オンリーで、ましてや観閲艦乗艦は初めての経験となる私、なかなか勝手のわからないことばかり。DDHの艦橋はもっと広いのかと思っていたが、印象としてはふた回り以上小さい「はつゆき」型とあまり変わらない。「たちかぜ」型DDGはもっと広かった印象があるが・・・近年はほとんど観閲艦が指定席となっていた1護群旗艦の「しらね」が定期修理に入っているため、今回観閲艦の栄誉に浴した「くらま」だが、やはり失敗が許されない重任に、観艦式のノウハウを持つ「しらね」からの応援が多数入っているようで、初日となるこの日も艦橋には「しらね」艦長が直々に立ち、繰艦を見守っていた。

「しらね」型DDHは当然ボイラー艦である。ガスタービンならお手の物、今なら操縦だって自信がある私だが、カマ焚き船は何度見てもチンプンカンプン・・・「高圧一段落ち」とか言われても全然わからん。軍艦にとって蒸気タービン推進は未来のないテクノロジーなのは確かだが、それだけに今勉強しておかないともうすぐ海自からなくなっちゃう! これ、ちゃんと勉強できる所どこかにありませんかね〜。

観閲部隊本隊は今回先導艦を務める「いかづち」DD107(第1護衛隊群第1護衛隊・横須賀)、「くらま」に続いて、「ちょうかい」、「ひえい」、「さわぎり」DD157(第2護衛隊群第2護衛隊・佐世保)、「うみぎり」DD158(第4護衛隊群第8護衛隊・呉)、「あけぼの」の7隻で構成。「くらま」の艦尾から見るとこんな感じに見える。特に「ちょうかい」がすぐ後ろに位置していると、このでかい艦橋構造物の圧迫感がすごいこと・・・

受閲艦艇第6群は構成艦が昨日お世話になった輸送艦「しもきた」LST4002(第1輸送隊・呉)1隻のみ。観艦式では異例の陸自隊員による登舷礼を行う。同艦を見るのは5月6日の呉、5月23日の沼津に続いて今年3回目。

あっ、第6群が構成艦1隻というのは正確には間違いで、「しもきた」の後に続くLCAC2103・2104号艇も、現在では第1エアクッション艇隊のもと独立した艦籍を取得しているので、3隻となる。こちらも昨日は「しもきた」ウエルドックの中に静かに格納されていたのとは違う、ダイナミックな姿を見せる。

観閲が終わって一斉回頭を終えたところ。朝のうちは晴れ間も覗くほどの好天だったのだが、浦賀水道を抜けた辺りで見る見るうちに曇ってきて、観閲が終わる頃にはポツポツと降り出してきてしまった。昼間は持つと思って雨具一切持ってきてないのに・・・やはり、私が参加するイベントだけに鉛色の空と雨粒は避けられないのだろうか、22日事前訓練の参加者の皆さん、正直スマソ。

前回参加の「ゆうぐも」がついに落ちて「くも」型はついに全滅、残るはいよいよ「いしかり」、「ゆうばり」、「ゆうべつ」の3隻のみとなってしまったボフォース対潜ロケット装備艦。どうも引退の足音がヒタヒタ迫っているような気もするが、今回も元気にピュッピュッと飛ばしていた。写真は唯1隻のみの異端艦、「いしかり」DD226(大湊地方隊直轄・大湊)。しかし、前回2003年と見比べてみると、この天気の差は何・・・!? 本番はこの位晴れてくれね〜かな〜

イルカ運動は受閲艦艇第4群を構成する4隻の潜水艦中、構造上実施が不可能な「おやしお」型の先導艦「やえしお」以外の3隻が行った。写真は恐らく最後尾の練習潜水艦「ゆきしお」SS3605(潜水艦隊第1練習潜水隊・呉)。1発目だけあって、まだタイミングはビシッ!とは合っていない感じ。あと2回でちゃんと合わせていかないと・・・とエラソーな事を言う私のタイミングも全然合っていないが・・・

航空観閲は、ちょっとでも天気が悪いと特に空自の機体はキャンセルされてしまうことが多いのだが、F-2F-15、C-130と予定されていた機種すべてが飛来した。トップを切るのは指揮官機、厚木・第51航空隊のUP-3C(9151)。続いて第1群・SH-60J×3機(8233、8239、8295)、写真の第2群、岩国・第111航空隊の掃海ヘリ、MH-53E×3機(8627、8628、8631)、第3群、木更津の陸自第1ヘリコプター隊第1飛行隊のCH-47J×3機(52932のみ確認)、第4群の徳島・教育航空群第202教育航空隊のTC-90×4機(残念・・・全機未確認 しかもなぜか第3群のチヌークの前に飛んできた)、第5群の岩国・第31航空群第71航空隊のUS-1A×3機(9085、9090ともう1機は不明)、第6群のP-3C×3機(5011、5040、5041 所属部隊は不明)、第7群、 小牧の空自401飛行隊のC-130H(45-1074)、第8群、三沢の空自第3飛行隊(推定)のF-2×3機(すべてA形 さすがロービジだけあってシリアルは判別不能)、第9群、百里の空自305飛行隊のF-15J/DJ×3機(12-8074、62-8876、32-8823)がフライパス。事前訓練で全部を見られるのは実は結構珍しいかも?

US-1Aによる離着水デモは、フライパスを行ったうちの2機が実施。艦橋の位置が高いDDHからだと、水面ギリギリを飛ぶ飛行艇は見下ろすような形になる。今まで見たことのなかった視点からの写真を撮ることができた。写真の9090はUS-1A最終号機。しかしこの離着水デモ、なぜか離水が遅れて後続のフレアを放出するP-3Cが進入してきてしまい、フレア放出デモは中止に・・・なかなか呼吸が合いません。まあ1発目ですから・・・

「やまゆき」DD129(呉地方隊第22護衛隊・呉)による甲板散水とフレア発射デモ。同艦は受閲部隊には入らず、展示のみ行う。すでに後続に「きり」、「あめ」、「なみ」と3クラスが続き、護衛艦隊には1隻も在籍艦がなくなった「はつゆき」型。比較的最近まで同級が並んだ観閲付属部隊にも「まつゆき」DD130(呉地方隊第22護衛隊・呉)1隻しか入っていない。

決して好天とはいえない天候の中で、全種目を中止することなく消化した後、全艦艇のほぼトップを切って1600に横須賀港に帰ってきた。通常吉倉は入船でつけるのが所定なのだが、なぜかこの日は朝も入港も出船で接岸したため、入港時は180度回頭が必要となる。「くらま」の後には「いかづち」が入ってきた。
こうして、観艦式ウィーク2日目、最初の事前訓練は終了した。慣れないDDHで艦内通路もどこをどう行ったらどこに出るのかわからず、VIP艦だけにウイングやヘリ甲板も随時立入禁止になったりして右往左往することも多かったのだが、なかなか貴重な体験をさせていただきました。