横田基地オープンハウス外来撮り

F/A-18D of VMFA(AW)-224

毎年夏の終わりに土日の2日間の日程で開催される横田基地オープンハウスが、今年も近づいてきた。
地元自治体との取り決めでデモフライトもなく(1980年代中期にはブルーインパルスも飛んだほど規制がなかった―いや、一方的に破ったのかな?―時期もある)、日光を遮るもののない、それどころか白いコンクリートからの照り返しがすごい基地の中になど、いつからか入る気がしなくなって、昨年も結局日曜の夕方に外来機の上がりを撮りに行っただけだが、今年も暑いし、海自横須賀基地の開放(と、私にはそれよりも大事な第2術科学校オープンスクール)とバッティングしていることもあり、前日に外来のアライバルだけ撮ればいいか、と、分遣隊長の指揮の下エンドへ赴く。
厚木と違って、空軍基地の横田は勝手も違い、常駐の戦闘部隊もないため一日待って来るかどうかわからない外来機を撮るという効率の悪さに普段は寄りつかないのだが、ここ数年はU-2も来るし、普段撮る機会がない空軍機を一網打尽!と勇んで出かけたのだが・・・
本日の風向きは思いっきり北風で、滑走路の使用方向は真南北に滑走路が走る横田ではランウェイ36(方位を表す すなわち真北向きということ)になる。まず午前側・・・といってもこんな真夏で、1100過ぎに来ればほとんどトップライトなのだが、基地のフェンス越しの午前側ポイントにギリギリの木陰を見つけて陣取る。本日も最高気温は33度との予想、分遣隊長を最優先に日陰で休めるようにして、キャリーの中で寝かせる。幸い北風ということもあり、ちょっと強い風はそれなりに冷たい感触で、直射日光に当たらなければ結構爽やかではある。このポイントからはフェンスの中にちょっと小高くなっている部分があるので、エプロンすべてを見渡すことはできないのだが、すでにF-16が4機並べられているのが見える。三沢の35FW(第35戦闘航空団)と韓国烏山空軍基地の51FWの機体らしい。この他、後で聞いた噂では、前日に同じく烏山から51FW/25FSのA/OA-10Aが降りてしまったのと、韓国群山、8FWのF-16が参加キャンセルとなってしまったらしい。

(私が位置に着いてから)最初に降りてきたのは嘉手納、18WG(第18航空団)のF-15Cイーグル。2機での飛来で、1機目はシリアル82-0036。両翼下に610ガロン増槽をぶら下げるのは典型的な旅装束だが、トランスパックを行う時などはさらに中央胴体下にも1本付けて3本になる。逆に、中央胴体下の1本は通常はほぼ常時装着となっているので、わざわざ外してきたというのは、3本はさすがに荷物が多すぎると判断されたのだろう。
ここの南端のポイントは、本当に引きがなくてランウェイ(というかアプローチコース)からは20m位しか離れていない。というわけで、レンズも100-400mmでは大きすぎてはみ出してしまい(^^;)、標準ズームに付け替えなければならない(!)のだが、さらに厄介なのが目の前の金網&道路標識の処理で。一つ間違えると・・・

ウギャ〜ッ!!
このような目に遭うのです。恥をしのんで公開しますが、皆さんも横田南エンド午前側で撮る時は充分ご注意を。2機目は黒いフィンチップのシリアル83-0039。18WG(以前は18TFW―第18戦術戦闘航空団)はF-15C形を最初に受領した航空団だが、当然当初は全機最初のモデルである1978会計年度の機体となっていた。この2機のような1982・83会計年度の機体は当初バージニア州ラングレー空軍基地の1TFW(現1FW)に配備され、後年機体交換などで移動してきたグループになる。なお、1FWは当日記でもたびたび触れているように、2005年より配備が始まった最新鋭ステルス戦闘機、F-22ラプターを最初に受領し、先日嘉手納に展開した航空団である。

次に飛来したのはオープンハウスとは関係なく、横田に飛来する民間チャーター機の常連、エバーグリーンインターナショナルの747、レジスターN477EV。このクラスになると本当に大迫力、翼端はすでに我々の頭上をかすめて行くのではないかと思うほどの至近距離を通過して行く。

なにせ、こんなアングルですから・・・すでに広角の域に入っている。翼端が頭上をかすめて行くのが誇張ではないのがおわかり頂けると思う。

ここで同好の厚木友、どら猫さんと合流、午後側に移動。しかし低調だな・・・天気も、着いた頃はまがりなりにも陽射しがジリジリする快晴だったのだが、だんだん雲が出てきて、エンドで待つには快適でいいけど、いかにも俺様風の空模様に・・・降りてきたのはこちらも民間チャーターではおなじみ、というか横田常駐らしいリンデン・エアカーゴのL-100(N405LC)。 L-100というのは、飛行機の格好からわかる通りC-130ハーキュリーズの民間形名称である。

次に降りてきたのは百里から飛来した空自、第204飛行隊のF-15Jイーグル(82-8999)。こちらは先に述べたように通常コンフィギュレーションの胴体下1本増槽。

滑走路の向きと逆に強引に上がって行くアメリカントランスエア(ATA)のL-1011-500(N162AT)。もう日本で民間機では乗ることはもちろん見ることも定期便ではできないトライスターだが、横田ではまだまだ健在。

お隣入間から飛来した空自第2輸送航空隊のC-1(88-1028)。

次はまた百里から、第501飛行隊のRF-4E(57-6909)。

この辺からいよいよ雲行きが怪しくなり、時折真っ黒な雲が陽射しを遮るような状態に。そんなライティングの中降りてきたのはまた百里から、航空救難団百里救難隊のU-125A(52-3001)。U-125Aの1番機である。空真っ暗なんですけど・・・

固定翼機に混じってヘリも同じアプローチコースで降りてくる。アメリカ陸軍、キャンプ座間からのUH-60Aブラックホーク(86-24496?)。

続いてもH-60ファミリー。空自恐らく百里救難隊のUH-60J(18-4553)。以前の救難機然とした白・黄の明るい塗装から、コンバットレスキューを意識した凄みのある濃いブルーグレイに移行したが、多分この仕様を見るのは初めて。これ、結構格好いいね。この後海自第61航空隊のLC-90(9305)が降りてきた。

別に何もここで撮らなくてもいいし、載せる必要もない気もする厚木から飛来の海自第51航空隊のP-3C(5029)。

そして・・・遂にやって来ました、さっさと来いや〜すっかりベタ曇りだろうがよ!の岩国MAG-12にローテーションで展開中の海兵隊VMFA(AW)-224"Bengals"のF/A-18D(WK05/Bu.No不明)。しかしこの2機、さんざん待たせた挙げ句の満を持しての登場だけに、やる気満々!

えらいショートで回り込んで、思いっきり背中バックリで降りてきた。WSOは思いっきりカメラ目線。いや〜この時は面白かった。敷地の思い思いの場所に陣取っている100名ほどのギャラリーが、予想よりもずっと手前から回り込んだのを見て、一様に表情がこわばり、前を向きながらも本能的に少しずつ後ずさり・・・そして、ある瞬間からガ〜ッと堰を切ったように後ろに向かって走り出す。あれ、客観的に見てたら面白かったろうなあ、まるで野生動物の生態を撮ったドキュメンタリー番組みたいwwwww(だが、私も堂々そのなかの1人)。銀塩組か、前進シフトでそのまま場所を動かなかった人は腹しか撮れなかったろう。

2機目はダブルナッツ、WK00(Bu.No不明)。機種にバルカン砲に代えてATARS(Advanced Tactical Airborne Reconnaissance System)と呼ばれるカメラを装備した戦術偵察形である。この後、KC-10が降りてきたのだが、諸般の事情により目の前を飛び過ぎるのを眺めながら写真を撮れず(涙)、その後に入間から航空総隊飛行隊のT-4(06-5641)が降りてきた。
なんか、そろそろ終わりムードになってきて、期待していた韓国烏山からのU-2Sはキャンセルとの噂も聞こえ、おいおい、なんか去年より品揃えショボイじゃねえか、だいたい「アレ」はどうなったんだよ・・・とどら猫さんと毒づく。「アレ」とはもちろん、先日から岩国のMAG-12ローテに派遣されている電子戦攻撃部隊、VAQ-141"Shadowhawks"のEA-6Bプラウラーである。
昨年の、第3空母航空団のテイルコード「AC」をつけたまま堂々日本に展開してきたVAQ-130に続いて、第8空母航空団のテイルコード「AJ」*1をひっさげてやって来たVAQ-141、特に派手な塗装のダブルナッツを本命に普段足を運ばない横田までやってきた私としては、これを撮らずには帰れないのである。まさか飛来しないのだろうか・・・いよいよ真っ黒な雲で北側の空が覆われ、すでに時刻は1700過ぎ、諦めかけたその時!シャドーホークスは期待を裏切らずやって来た。しかもダブルナッツ、AJ500(Bu.No.164401)だという。
だが、すんなりとハッピーエンドで終わらないのが私の撮影行、どうも北側ではすでに土砂降りだという天気のせい? ランウェイの真上を平行にオーバーヘッドをかけずに、しかも通常避ける市街地方向の東側に中途半端な角度で飛び去ってしまった。そして、しばらく音沙汰なし。おいおい、どっか行っちゃったのか?意味わかんねえ・・・そのまま東側から戻ってきて回り込まれたら、さっきのベンガルのちょうど逆パターンだ。遠いところで腹を見せて旋回されても・・・やめてくれ〜!
そして、気がつくとプラウラーは南側から、再びオーバーヘッドをかけてきた。もう一回やり直しか?いや、オーバーヘッドじゃない!脚出してるし、しかもえらく速度が遅いぞ、そのまま降りるつもりだ!しかし、まるで今離陸して上昇中といっても疑わないほどの高さだ、ここ、すぐ南に基地あったか?wwww いや笑ってる場合じゃない、これじゃ背中バックリどころかどんなに下がっても腹しか写らないぞ、また一帯の人間が下がれるところまで後退シフト!

というわけで、もう絶対ダメだと思ったのが、そこそこ下がってきて腹しか見えない写真にはならなかったが、まだかんじんのテイルコードが水平尾翼で隠れてしまう高さ・・・どうして一日ノントラブルで行かないかな〜、でもまあ、撮れるだけで恩の字だし、多分ローテーション期間中にまた撮る機会もあるだろう。ということで、雨もパラつき出したことだし、本日はこれで撤収、新青梅街道経由で帰路に就いた。ずっとキャリーの中で涼しそうに寝ていて、散歩が全然足りない分遣隊長のために、真っ暗で誰もいない(いや、よく目を凝らせばそこかしこにいるんですけどw)代々木公園を小1時間散歩して帰宅。分遣隊長は本日ZZのイーグルといい、ベンガルといいKC-10といい、いろんなヒコーキを見てますますマニア犬に磨きをかけたようです。どら猫さん、お付き合い頂きまして、また分遣隊長の子守りその他いろいろお世話になりまして、ありがとうございました。百里でまたお会いしましょう〜
これにて海空海の夏期海軍強化週間、2日目終了・・・昼間はまだ楽しいから辛くもないのだけれど、この日記を書く作業が・・・

*1:「A」で始まるテイルコードは大西洋艦隊所属航空団で、以前では日本にローテーションとはいえ長期間展開などというのはあり得ないことだった ちなみに第8空母航空団は映画「ファイナルカウントダウン」で空母ニミッツに搭載されて登場する航空団 私にとってテイルコードAJは特別の感慨のあるものなんです