横須賀サマーフェスタ2007

Blueforce2007-08-25

前日と書き出しが一緒だが、毎年夏の終わりに開催される海自横須賀基地一般開放、「横須賀サマーフェスタ」が、今年も行われた。
本年2007年は横須賀市制100周年で、協賛行事としてイレギュラーの開放が、それも海自と米海軍で行われたので、4月1日の米軍基地側の桜まつり以来何度もあり、なんか毎月のように基地に入っているような気がする。昨日横田エンドで外来を待ちながらくっちゃべっている時、どら猫さんも同じことを言っていたので、皆の実感としてそうなんだろう。
すでに分遣隊創設以来3年近くになり、年中行事は3サイクルを数えると、特段の珍しい出来事がないと同じ内容、はなはだしきは同じアングルの写真をアップする羽目になり、大して面白みもない。人類の歴史で「ネット日記」の文化はまだ始まったばかりだが、もし人類がこれからも繁栄を続けるなら、例えば数千年後頃にはどれだけのチラシの裏がデータとしてサーバに残るのだろうか。千年前の文化風俗を記した貴重な古文書として、当日記も後の歴史家にとって一級の資料と珍重されれば本望であるが・・・短期的に見れば、毎年同じこと書いても意味ね〜な〜

というわけで、去年の狂乱(しかも毎年目に見えてひどくなりつつある)を経ての当然の帰結か、体験航海が事前応募制になり、ものぐさの常で葉書を出さなかったおかげで沖にも出られず、毎度のボヤキだが上甲板しか見られないのに朝一番で並んでワーワー騒ぐのには興味ないので、家を出たのは1000前、しかもこんな写真まで寄り道して撮っちゃって、横須賀にはいつ着くのだろうか・・・しかし、ここから見る「ひゅうが」は、2日前より遠い場所にあるのに、何かさらに巨大に見えるのだが。あれが自衛艦・・・本当に、不思議な感慨を覚えるのである。皆さんもぜひ一度体験してみてください。

いつもの場所に車を停めて、炎天下の中をてくてくと歩き出す。ゲートを通り、いつにも増してアバウトな手荷物検査を終え総監部前のへリポートまで来ると、あら珍しい、最新鋭のSH-60Kが地上展示されている。

抵抗減少のために翼端が複雑な形状カットされたメインローターや、全体的に拡大されて微妙にJ形と異なるラインを持つ機体など、この写真からわっかるかな〜? 現在最新の納入分となるこの8416号機は館山の121航空隊所属、「ひゅうが」の進水記念絵はがきの就役後を描いた想像図にも一緒に描き込まれている機体。

さて、重役出勤でボチボチ始めましょうか・・・とその前に、この昨年の観艦式で初めて一般国民の前にお目見えした極秘建造の護衛艦、「ちびしま」DDG1.74のディテールをお目にかけよう。観艦式の時は乗艦時間ギリギリでとても撮っている時間がなかったので、今回は腰を据えてじっくりと・・・なになに、当分遣隊らしくないって?いやいや、食わず嫌いなく何でもやるのがポリシーっすよ・・・

昨年の資料がないので正確なアップグレードポイントは不明なのだが、揚錨機や錨鎖、ホースパイプなど艦首周りは一新されたらしい。VLSは16セルだが、この隙間ではミサイルが撃ち出せないのではwwww さらに、居合わせた方に教えてもらった驚愕のメカニズム・・・

Mk45に比べ対空射撃性能に優れているというのも採用理由であったOTOブレダ54口径5インチ砲だけに、ここまで仰角をかけることができるのだ! 仰角は最大83度なので、もう少し上げられるのかもしれないが、ここで壊してしまったら私はいろんなブログや掲示板で祭り上げられる有名人になってしまうので、やめておきました・・・

あさりさ〜ん!金ダライですよ〜! タイプシップ(?)のきりしまは現在の定検で恐らくレドーム形に換装されてしまうと思われるので、近代化改装のテンポが一つずつ遅れているのかもしれない。

膨張式救命筏のカプセルは一つ一つに艦名が記入されている。艦内へのハッチも観艦式の時にはなかったらしい。

花○○朗さんでなくても、あなたもお手軽に軍艦のヘリ空撮の気分が味わえるこのアングル。オーバースケール(!?)の三連装短魚雷発射管、内火艇のディテールは出色の出来。

誠に毎年同じアングルの、Y1バースにメザシで並ぶ公開艦群。岸壁側からいよいよ本年で見納め、来年の公開時期には恐らくもういない砕氷艦「しらせ」AGB5002、たかなみ型ネームシップ、「たかなみ」DD110(第1護衛隊群第5護衛隊・横須賀)、珍しく連番で隣に並んだ「むらさめ」型の最終艦、「ありあけ」DD109(第2護衛隊群第6護衛隊・佐世保)・・・
そして、近年は大体いることが多い「きりしま」が、ここ数ヶ月の16DDH〜「ひゅうが」レポでずっとご覧頂いているようにIHI-MUに定検で入っているため、アメちゃんから1隻応援をよこしてもらったらしい。それが一番右側のアーレイ・バークミサイル駆逐艦、ジョン S.マッケインUSS John S. McCain DDG-56。

マッケインは先日のパキスタン艦隊出港の際に観音崎で撮影していた折、浦賀水道航路を北航してくる姿を撮影して以来2カ月ぶりとなる。私自身は乗艦するのは初めて。

今回初めて、総監部前の海面で数年前からモソモソやっている工事の説明看板がお目見えした。その概要はいちいち説明せずとも読んでいただければと思うが、使用開始が平成21年3月とは・・・もう隠しもしなくなったんですね、では私ももう黙っていなければならない理由もないのかな?wwwwwまあ、いずれにしても吉倉は慢性的に岸壁不足だから、増強するのはいいことではあるけど。全長390mというから、いざとなればニミッツ級も着岸できるぞ〜!(深さが足りないって! でも、本来の目的である「アレ」のために結構浚渫したらしいが・・・)

話は戻るが、今回のイベントとはまったく関係ないが、アメちゃん側のバース3には珍しくノースピアの常連、音響測定艦エフェクティブUSNS Effective T-AGOS21が泊まっていた。いつもはほぼ真横から見るので、前後方向から見る双胴形の船形が思いがけずきれいに撮れてラッキー!。もっともこの艦種は、当日記で何度も書いているように撮っていて若干背中が寒いのだが・・・

エフェクティブの向かい側、バース2にはアーレイ・バークミサイル駆逐艦ラッセンUSS Lassen DDG-82が泊まっている。いつもは波も静かなヴェルニー前の海面は、救難デモを行うヘリのダウンウォッシュが巻き上げる水煙で大変なことに!

救難デモは一日3回(2回?)、館山から飛来するSH-60Jによりヴェルニー前で行われるもので、本年は101航空隊の8276が展示機を務めた。水中処分母船YDT03と横須賀プリンスホテルをバックにダイバーの隊員をスリングする。

毎度のことながら、なんともシュールな絵ですよね・・・こんなイベントのことなど知らない宿泊客や街を行く人は、何事かと驚くことだろう。ちなみに、横須賀の総監部前ヘリポート伊豆七島などの離島からの急患輸送で時折ロクマルをはじめヘリが降りてくることがある。

デモが終わったロクマルJは、ご苦労なことにその都度東京湾を横断して館山まで帰って行く。といってもヘリでは15分ほどの距離だが・・・

毎年どっかの旅行会社がツアーで連れてくる客が年々増えてきて、近年では大変な混雑を呈するサマーフェスタだが、今年は陸海空で同一週にいろんなイベントが併催されているせいか、比較的ゆったりとしており、乗艦待ちの行列もなく(午前中はそこそこ並ばされたらしいが)、6月のあたご公開の時のような感じだった。1年に何度も開放しているのも原因の一つなのだろうか。それでもさすがにしらせ艦内へ入る行列はほとんど動かなかったが、こちらはマッケインが見られればそれでいいので、2つに分かれている順路をメザシ方向に先に急ぐ。上甲板もこのようにお人払いができた写真が撮れて、満足じゃ! それにしても、いつも日本のイージス艦を見慣れている目線で見ると、なんかSPY-1Dのマウント位置が異常に低いように見えるんですが・・・

ついにアップで捉えた!マッケイン艦橋構造物の直上中央部、SPG-62の前に装備された光学射撃指揮システム、Mk46・OSS。これで見る限り、どこが「光学」なのかわからない剣山みたいな無数の棒が突き出ているフロント部分だが・・・なんか、いつも適当な方向を向いていてMk45の砲口とまったく連動していないのも気になる。もちろん、スイッチを入れれば隷属するのだろうが・・・

とにかく911以降、米軍の水上戦闘艦は置ける場所という場所にテロ対策の対小舟艇用機関銃を追加装備している。ブリッジウイングにも両側にブローニング M2・12.7mm重機関銃が連装で設置されている。

上甲板のみの公開だから、大して見るべきものもないのだが、その中で重要な取材ポイントがこれ。中央部、第1煙突と第2煙突の間の上甲板に設置されたMk38Mod0・ブッシュマスター25mm機銃。4月の桜まつりで公開されたシャイローに新たに設置された遠隔操作式のMod2と異なり、人力操作式のモデルである。ちなみにマウントはMk88と称する。

見てくださいこのショルダーパッド!普段こういった血なまぐさい銃器類は関心ないので、改めて実物を見るとその重量感に圧倒されるし、ミサイル本体が見えるわけではないランチャーなどとは違って、なんか「スババババー!」とその発射フィーリングや振動まで想像できそう・・・。兵器っつーのは、この位までが「殺す」というリアル感を持てる限界だね。ちなみに、この隣にも M2重機関銃が1門簡易三脚架台にマウントされて設置されている。このフネ本当に「ミサイル駆逐艦」なんかいな。

前甲板のシップスベルは、先代のジョン S.マッケインであるミッチャー級ミサイル駆逐艦、DDG-36のものが取り付けられている。艦名となったジョン S.マッケインは、第2次大戦で空母部隊の司令官として太平洋戦線で活躍したジョン・シドニー・マッケイン・シニアと、その息子で大平洋軍司令長官も務めたジョン・シドニー・マッケイン・ジュニアの名を取ったもの。ちなみにジュニアの息子であるジョン・シドニー・マッケインIII世は2000年の大統領選挙でジョージ・W・ブッシュと指名を争った共和党の大物上院議員で、ベトナム戦争長らく捕虜生活を送った経験のある元海軍軍人でもある。

今年は私にとって艦艇見学以上に重要で、楽しみにしていた第2術科学校には諸般の事情で行くことができなかった。吉倉の会場は今年から桟橋地区などの混雑緩和のため、以前は公開していなかったY5・Y6バースの岸壁も立ち入れるようになり、グッズの売店や掃海艇、多用途支援艦の公開などを行っていたのだが、おかげでY1〜Y4バースの付け根、厚生棟の横から出ていた第2術科学校へのシャトルバスが、ずっと先で折り返すようになってしまった。最初は行く気満々だったので、例年ではバスの車窓から眺めるしかない公園下の道から、水船油船用のHP3・4バース越しに「しらせ」以下Y1バースの各艦を見ながら歩いて行く。

すでに時間が遅いということで第2術科学校は断念したのだが、ちょうど目の前にある多用途支援艦「すおう」AMS4302が、いつも気になる存在だったので、この機会にと乗艦して見学することにした。こちらはまたPhotoの点数も多いので、機会を改めて紹介することにします、
というわけで、「すおう」の艦橋で延々写真を撮っていたら、午後の部の体験航海に出ていた艦が帰ってきた。まずは「はたかぜ」から、タグに押されてY4に接岸。

その後から、「しらゆき」が戻ってくる。後方の消磁所の錨地には今回のイベントのために沖留めにされた、Y4バースの主である海洋観測艦「ふたみ」AGS5102の姿が見える。ここでほぼ公開時間は終了。

マッケインは終了時刻早々、まだ見学客が厚生棟前に大勢残っている時点で米軍のタグが迎えに来て、舫を解いてすぐ対岸のハーバーマスターのwestに帰っていった。タグで押し引きすれば自力で動く必要もないような距離だが、一応主機を始動したようで白煙が煙突から上がっていた。後ろには追浜の日産埠頭から輸出する乗用車を載せて出港する自動車運搬船が見える。

ヘリポートのロクマルKも、見学客の目の前でエンジンを始動し、館山?に向けて帰って行った。