噂のあの電車に乗ってきました

Blueforce2008-02-29

今、話題になっているらしい電車に乗る機会があった。
3月の運転開始に向けて、連日試運転が行われているこの電車、その合間を縫って乗せてくれるというので、もともと電車は嫌いではないので、喜んで乗せていただいた。もっとも、電車のことはよくわからないのだが・・・

これで目にするのは2度目になるが、想像図の時は正直「カッコ悪ィ〜」と思っていたのが、最初に見た時、意外に実物は格好良かったのに驚き、その好印象は全然薄れていない。デザインもいいが、「フェルメールブルー」なる色がまたいい。・・・なんて電車に見とれていたら、オ!妊娠5カ月の鉄道アイドルが目の前にいる!wwww

車内は新世代ロマンスカーシリーズの第1弾、VSEのキープコンセプトではあるのだが、相変わらずのハイレベルなデザイン、ディテール。ライナー的な使い方をする車両なので、VSEよりはカジュアル向きに振ってあるのだが、それでも他社の有料特急車に比べると数段、というか比べ物にならないゴージャスさだ。メトロ線内の車両限界の関係でVSEほどの深さはないが、この間接照明が生きる、いっさいの空調吹き出し口や灯具などが取り付けられていない天井を見よ!

そしてさらに、今までの日本の常識を覆す、地下鉄線内を行くゴージャス有料特急車の車窓を見よ! 以前だったら完全に合成としか思えない絵で、正直、かなり妙な気分になります・・・もちろん、ホームで電車を待つ乗客達も何ごとかと見つめており、自意識が過剰な人だとその衆人環視の羞恥プレイに耐えられないかもしれないwwww 窓の中ほどに見える2本のワイヤーはブラインドのガイド。

この電車、EXEと同じように6+4両の分割構成になり、中間運転台はこのようになっている。もちろん、運転台側は中間になって貫通路を構成する時は完全に仕切られる構造なのだが、工夫すればこういう写真も撮れます。助士席側は飲食店の店員が出入りする跳ね上げ式のテーブルのような仕切を倒して仕切るのだが、そこをくぐれば通路から助士席に入ることも可能。もっとも、それを見越して設計されており、乗務員室窓は開かないようにロックがかかり、側扉開閉スイッチや車掌ブザーのボタンなどはすべてカバーがかかるようになっている。黒一色でまとめられた運転台のなかで目立つ白い箱のようなものは、右前方の視界を補うカメラのモニタ画面。

列車は綾瀬で折り返し。営業運転では客扱いは北千住までだが、同駅には電留線はないので、このように綾瀬まで引き上げてくるはずである。しかし、乗客として車内から景色を見られる機会はないだろうから、貴重な光景ではあろう。もちろん、営業運転ではこんな時間に列車は設定されておらず、完全な盛りスジ(綾瀬工場回送スジ?)なので、中線に入って15分ほど時間調整となるが、その間になんと!ハチクロ貨車こと新トキ25000形を連ねた「安中貨物」、福島臨海鉄道から安中へ向かう専貨5388レが快速線を走り抜けていった。
それで、思い出したことがある。昔、常磐線に首都圏最後の客レが3往復残っていた頃、学校が終わってから良く悪友と乗りに行ったことがあるが、ドアを開け放ったデッキから半身、というか全身!?乗り出して車窓を眺めていると、綾瀬を通過する時、小田急9000形が駅から綾瀬検車区までの引込線方に引き上げて停まっているのがいつも見えた。
こちらはスハ43、それどころかニス塗りと白熱灯、板貼りの座席がおどろおどろしいオハ60まで連結されている始末で、そんなオンボロがEF80の牽引でほとんど95km/hの最高速目いっぱいで駆け抜けて行くのだが、きれいなクリーム地の小田急の新形(といってもすでにその頃は登場以来10年を経て中堅になっていたが)車両と行き会うコントラストのあまりの鮮やかさに妙な興奮を覚えたものだった。同じ鉄道車両だと言って、彼我の間にどれだけ共通点があるだろうか。時として、垂れ流しの便所から「シャ〜!」と吐き出される水しぶきを浴びながら、まるで美女と野獣?のカラミを見るようなイケナイ気持ちに胸ときめかせ、過ぎ行く綾瀬の駅をいつまでも見つめていたのである。
EF80、オハ60、スハ43はおろか、小田急9000形も今はなく、いつしか関東では会社が違っても同じような電車が走るようになって、「いろんな電車が入れ替わり立ち替わりやってくる」興奮を覚えることは各線ともめっきり少なくなったが、この一瞬の出会いはかつての綾瀬での邂逅の興奮をまさに思い出せてくれたのだ。しかも、営業に入ればこの時間に綾瀬に停まっていることはないから、期間限定の超貴重なショット。しかも、綾瀬往復ということは、例の下山総裁轢断現場を通るのだが、これもまた妙な気持ちに・・・下山総裁、こんな電車を見たら腰を抜かすだろうなあ・・・

非貫通側の先頭部は、車内の照明が透過しない特殊なガラスを使っているということで、地下鉄線内でもブラインドを降ろさず、千代田線の前面展望を存分に楽しめる。今でこそ06や小田急1000形がいるので、助士側からかぶりつくことができる千代田線だが、昔は6000系では大きな窓のない非常貫通路が邪魔をしてほとんど前が見えず、国鉄103系1000番代は言うまでもなし、前面展望は配慮してくれているはずの小田急9000もATCを仕込んでいるので両側に窓がなく、仕切り扉のブラインドを降ろされたら国鉄車両と変わらず!(だから、見る分には大好きだけど乗る列車に9000が来たら超ハズレだった)で、かぶりつくことの不可能な謎の路線だったのだ。その頃から比べると、まさに隔世の感がある。
かぶりつきで気がついたことをいくつか挙げると、千代田線は予想外に急曲線と勾配が多いんだな、と実感したのと、前照灯がスカートに取り付けるというあまりに低い位置で大丈夫か!?と思っていたのだが、さすがHID、異常な明るさでトンネル内を照らし出すのにびっくりしたこと、いいことばかりではなく、↑写真で見るように、右前方のピラーが意外に太く、前方の視界がかなり制限されること・・・など。VSEの時も、さる高名なセンセイがこの斜め前方のコーナーが前面展望の中で大きなウエイトを占めるので、太過ぎてダメダメと評論しておられたが、この形式はさらに悪くなっている。まあ、平日はあくまでビジネス通勤列車なので・・・なお、ドイツのICE3やJR九州885系などと同じように、運転席側後位の座席からはほとんど前方視界は効かない(上記2列車はどちら側からでも見えないが)。あと、これは小田急特急車の伝統とのことだが、リクライニングの角度がかなり浅く、昨今の座席に慣れてしまっていると物足りないかも。
といっても、いろいろ見物するのに忙しくてほとんど座ることがなく、平行ダイヤだから速度もずっと徐行しているようなもので、乗り心地なども検証するまでには至らなかったのだが、とにかく地下鉄線内をゴージャスな特急車で走り抜ける優越感は一度体験したら病みつきになる、まるで麻薬のような電車wwww これで小田急沿線からみんなでデーズニランドに行ったらさぞや楽しいことだろう。私も電車で箱根に行くことがあったら、わざわざ北千住まで行ってしまいそうだ(さらにwwwwwwww)