さよなら銀河!ブルトレ挽歌


艦艇よりひと足先、2005年2月に廃止された寝台特急「あさかぜ」。これで、12日をもって陸海にその名を知られた「あさかぜ」は、ひとまず姿を消した。そして・・・

すでに全廃に向けたシナリオ通り、既定の路線を突き進んでいる日本の寝台列車だが、本日をもって急行「銀河」が廃止となった。まあ、今更当列車については特段感慨もなく、お好きなようにという気分だが、今回の改正であまりの露骨な施策に憤りを覚えずにはいられないことがある。
「銀河」以外にも今回、京都発着の九州ブルトレである「あかつき」「なは」も廃止、日本海縦貫線の「日本海」も2往復のうち1往復が廃止、そして「北斗星」も同じく2往復のうち1往復が廃止されるが、問題はその「北斗星」。現行(改正前)の運転形態は上野・札幌発の時間が早い(ために勤め人には利用しにくいというデメリットも)1・2号がJR北海道持ち、3・4号がJR東日本持ちの編成(所要は東・北海道で各2本ずつ)なのだが、これを1往復に削減するにあたり、JR化後こつこつと爪に灯をともすようにして1両1両個室化改造を行ってきた北海道編成をまるごと残して東・北海道各1本とすると、どちらか片方の編成の定員が少なくなり過ぎ、需要に対応できなくなるおそれがあるということになった。
1本削減の表向きの理由(もちろん、それも重要な要素ではあるのだが)は、北海道新幹線工事にあたって青函トンネル内での工事用の間合い確保ということなので、一応泣く泣く1往復落としました、ということらしい。それで両者で協議・検討の結果、導き出された結論は・・・
個室志向の高い旅客向けに、一定の個室化率は確保しつつ、輸送力も確保するということで、定員充足のために1人用・2人用ハネを残存、しかしこれは個室化率が高かった北海道編成に組み込まれていたために、上下列車でアンバランスを生じないように2編成に公平に分け、さらに編成で2社の車両の保有率を均等にするためには・・・1列車を2分割することとした。そうすると、どうなるかというと・・・
個室ハネの方を北海道の車両で構成するということは、「北斗星」の大きな魅力、2人用ロネ「ツインデラックス」、1人用ロネ「ロイヤル」の側を東が持つということだ。先に個室化改造を終えたものが多い東の車両は、全般的に北海道の車両に比べると設備が古く劣るのは当然。しかし、この分け方で区切ってしまったので、新しく設備も洗練されている北海道の車両は一律に廃車!という事態にorz
いやいや、面白おかしく書いている場合ではない。北海道のロネには、電気を消すと天井に富良野の夜景が浮かび上がるステラリウムを描いたオロハネ25 556〜558や、上下入れ子構造を採用した唯一の2人用ロネ車、オロネ25 551など魅力的な車両が在籍するのだ。これが、バッサリと機械的に廃車。で、改造年次の古い東の個室寝台車群が生き残る・・・という、あまりに不条理な事態だ。
意図してこの事態に追い込んだなどというトンデモ陰謀史観(?)を持ち出すつもりは毛頭ないし、上記の経緯はまったく文句のつけようのない必然の成り行きなのだが、あまりにも出来過ぎた話・・・車両のJR会社間転籍という手もあるのだが、この期に及んでそれは難しいのは(急に物わかりが良くなった!?)わかっているし・・・う〜んそれが分割民営化の弊害!?
逆に、ロビーカーは北海道持ちになったので、全室構造で広々としている東持ちのオハ25 501〜は1両を残し廃車。完全に悪いトコ取りの編成になってしまった。
どうせ新幹線新函館開業までの命、大きい方の会社には利用率が落ちようが知ったこっちゃないし、むしろ漸減してくれないと困る、それにこういううるさい奴はいくらもいない、普通のお客が乗る分にはそんなこと気がつきゃしない・・・しかし、年間何百両も(プレハブ造りの)電車を造れる会社が、年によっては数両しか新車を造れない会社が一生懸命改造した客車を、「お宅のは捨てて下さい、あ、嫌なら別にいいんですよ」と言わんばかりにいいように操るというのが、北海道のスタッフの心中をおもんばかるにつけ・・・義憤にかられるっちゅーか、この世に正義はあるのかと・・・
以上、年度末に想う、乗り物の人生いろいろ曼陀羅でした。

さよなら、あさかぜ。持って冥すべし。