海自NEXCOコラボ企画海ほたる救難訓練

Blueforce2008-08-24

各地でいろいろイベントが催される今週末であるが、そんな中当分遣隊は東京湾アクアライン海上サービスエリア、海ほたるにおいてNEXCO東日本海上自衛隊共同による救難訓練が行われるというので、TVあわゆき・ブログのはしくれとの合同企画として一路東京湾上へ!
今回の訓練は初めての試みとなるもので、NEXCO東日本と海自で艦艇・ヘリを動員して災害時の海ほたるから利用客を迅速に避難させる目的に実施する・・・とのこと。「高速道路における災害救助訓練としては初めての海上自衛隊との共同訓練となります」そうで、当たり前か!? いやいや親不知や東名の富士―清水間みたいなところもあるから一概にはいえないが、まあ基本的に接点のないはずの「道路」と「海上」の合同というのがミソ。
本日は他にも強力な裏番組のラインナップがあり、居並ぶイベントを見るとどう考えてもこちらが(ひっそりと行われる)裏番組なのだが、最近は本当に分遣隊長を留守番させるのが可哀想で、入場系のイベントにはなるべく行きたくないので、まあフネには乗れないだろうけどたまにはユル〜く楽しもうということで、0830起床。
ところが、すでに他の参加者は海ほたるに集合しつつあるとの連絡があり、オレだけ超遅参!? なんだなんだ、確かに適当に集まって流れ解散とは言ったけど、皆気合い入ってるなあ・・・

というわけで、道中分遣隊長の散歩などして、現着したのは正午になろうとする時刻だった。すでに1000より始まったヘリによる救助訓練、救助艦着岸訓練、ヘリ着陸訓練などメニューはすべて終了し、この有様・・・まあ、今日は一般公開を見に来たんだからいいか!?

まず、1階川崎側デッキヘリポートに駐機している館山第21航空群第73飛行隊のUH-60J(8962)を見に行く。普段犬連れでこんなに近くで撮れる機会は、特に911以降はなかなかないので、貴重な機会。この部分、確かに上から見るとヘリポートの表示が描かれているが(オレンジ色の線が円形の表示)、まさか本当に、しかも自衛隊のヘリが降りるとは・・・完成以来ヘリが降りた例はあったのだろうか。
場所柄収拾がつかなくなるためか、ロープが張られて機内は非公開だったが、ヘリパイの方やメディックの方も終始機体の前で訪れた人に説明したりしており、そんな中分遣隊長がおしかけてここでも大人気! 特にメディックの方に大モテだった。日頃課業中の隊員の方と触れ合う機会は・・・ああそうだ今沢海岸のLCACがあったっけwwww、でもあまりないので分遣隊長も楽しんだご様子。

ちょっと月刊ヌコ的視点で、現代に残る日本道路公団を発見。

次は、多用途支援艦「えんしゅう」AMS4305の一般公開があるので、南側の岸壁に移動。は〜海ほたるにこんな岸壁があったんだ・・・

もちろん、犬は不可に決まっているので、当初乗艦するつもりはなかったのだが、どうも乗っている人がいるようだし、聞いたところ、ラッタルが急ですので(いやそれは知ってます)自信がない方は受付で預かります、自信がある方はそのままどうぞ(!)とのことなので、有り難〜く一緒に乗艦させて頂くことに。いや、これは来て良かったな〜!

というわけで、2002年の国際観艦式の時に韓国海軍のフリゲイト、チェジュ済州とクワンゲドテワン広開土大王に乗艦して以来、6年ぶりに軍艦に乗艦することができました。戦闘艦艇ではないし、場所柄、また公開の性質上断るでもないとの判断だろうが、助かります! ちなみに、分遣隊長が乗っているのは自走水中標的灯火装置の上。

岸壁はこのようになっていた。確かに、形態上は赤灯に負けずの絶海に浮かぶ孤島であるから、何かあった時は船で脱出するしかない。完成直後だったら「踊る」あたりの舞台になりそうなところだ。なったのかな?

外から見ると、目立たないながら確かに岸壁がある。ちなみにヘリは白い建物の左端(下ではなくて基部の大きな建物の上)に駐機している。

艦尾自衛艦旗と木更津方向の橋梁部分を見る。「ひうち」型は全長65mで、このようにケツはピッタリ揃えているので、岸壁の長さとしてはおおよそ100m位であろうか。さすがにおおすみ型だと全長分の横付けは難しい。ま、喫水がどの位かもわからんし(海図によると21m)・・・

「えんしゅう」は「ひうち」型多用途支援艦の5番艦として2008年2月20日竣工・就役した、先日のステッドファストに負けず劣らずの最新鋭艦。多用途支援艦というのは、「くろべ」型の訓練支援艦に対してさらに多用途性を追求し、射撃訓練などへの支援はもちろん、救難や災害派遣、また曳船的な任務もこなす、要するに何でも屋(雑用係ともいう・・・)である。
曳船任務のため、また各種作業・物資や車両搭載スペースを確保するために船型は長船首楼型で、典型的な航洋曳船スタイルである。後部甲板は低くフラットになっている。中央に搭載されているのは当艦の装備の最大のキモ、カナダ製の自走式水上標的システム、バラクーダ。名前は大仰だが、要するに無線操縦のFRP・ゴムボートである。これで不審船の動きをシミュレートし、標的として射撃を行う。

これがバラクーダを海面に降ろしたところ。2007年8月25日に開催された横須賀サマーフェスタで公開された同型2番艦「すおう」AMS4302で実施された体験搭乗の際の撮影。ま、有人操縦すれば見ての通りゴムボートである。エンジンは200SHPのボルボ製直6ターボディーゼルで、最大速力36kt、約18kmの範囲まで遠隔操縦が可能という。立てたマストが操縦電波の受信アンテナである。

無風につきダラリと垂れ下がってしまっているが、ヤードの信号旗は上からウイスキー、エコー、リマ、チャーリー、オスカー、マイク、エコー、すなわち「ウエルカム」と掲げられている。

基準排水量980tの小さいフネゆえ、あっという間に艦橋に登ってきました。
当級は建造費低減のために極力商船構造と、商船規格の機器を採用しているが、速力通信機の速力区分は自衛艦独自のもの。速力指示は最近の艦艇ではお馴染みのタッチボタン式で、その前に各装置の状態を表示する液晶モニタが。当艦の速力区分は前進微速―半速―原速―強速―1戦速―二戦速―最大戦速―一杯となる。左側はバウスラスタの操作部で、下に見えるのが向きを決める操作ダイヤル。舵機は横河電機製で、舵輪は操縦桿(ヨーク)タイプ。艦橋右舷寄り前部に設置されている電子海図と連動しての自動操舵も可能。また当艦はAISも備えており、電子海図モニタに他のAIS装備民間船舶の表示が出る。AISについては本隊の東京マーチス見学記参照のこと。

海図台に敷かれていたのは、おなじみ#1062「東京湾中部」。当艦の海図台はベースがガラスで、その下に上下左右の座標に自由に動かせるLEDのバックライトポインタを備えているライトボックスタイプになっている。現在ポインタが光っているのはもちろん現在位置、海ほたる。鉛筆で入れられている格子は民間船舶の錨地である。

第2海堡の部分に注目。シールが上貼りされているが、どこが変更されたのだろう。手持ちの、まだ第3海堡があった頃の海図と比べると灯台の要目が変更されているようだが・・・これで見ても、浦賀水道航路から横須賀港への入出港は針路90/270度であることが見て取れる。ただし、私勘違いしていました、先日のステッドファストがショートカットコースで入って来たと書いたが、ご覧頂くとわかるように後ろに第2海堡が写っている。ということは、赤灯と第2海堡を結ぶ直線のラインがこの海図を見てわかるように所定の入出港経路なのだ。ならば、先日のエセックスやケントは一度航路を出て、中央第4灯標から回り込んできたということなのかな?

これがUTCSと呼ばれる、LinuxのOSを利用したバラクーダの遠隔操作コンソール。分遣隊長来客用にデモ操作を行っているところ(?) モニタはこのマスターと隣のスレーブの2個あって、相互にバックアップできるようになっている。デスクには操作員の方の娘さんの描いた絵と、モニタの傍らには娘さんの写真が・・・変にモザイクをかけるのが嫌なので、不用意に一般人が写り込まないように注意しているのだが、この写真ばかりは・・・なぜか写真に写り込んだ写真にモザイクをかける羽目になりましたwwww

自衛艦では「しらせ」位でしか見たことのない、艦橋(といっても正確には後部の別室だが)にコーヒーやポットが備え付けられているシーン。

護衛艦だと上甲板レベルの艦橋構造物に入った場所に設置されている公衆電話だが、当艦では艦橋と後部UTCS操作室の仕切部に置かれている。

順路は艦内を艦橋レベルから3層降りて行く。

神棚には「宗教施設ではなく、ゲンを担ぐ船乗りの縁起ものとして置いています」となんともはや、そこまで言い訳しなくても・・・の解説が。当艦のお札は伊勢神宮のものとのこと。

こちらは護衛艦のものに比べれば4分の1ほどの小ぶりな操縦室。分遣隊長は3分隊長だった!? ここでも操作をwwww 「ひうち」型の主機は6気筒の新潟6MG28HX*1、2,500SHPを2基装備する。速力指示は艦橋と同じタッチボタン式だが、分遣隊長が操作している?ダイヤルでも回転数・翼角を任意に指示できる。どちらでもまったく同じ操作ができるとのことである。

1430、そろそろヘリの方が帰投する時刻なので、退艦して再び展望デッキの方に向かう。分遣隊長ともどもお世話になりました〜。マスコット任務ならいつでもお受けしますのでいつでもお申し付け下さい!

そして、1450、UH-60が離陸・帰投するとのアナウンスが。続々と見物人がデッキに集まる中、クルーが乗り込んでプリフライトチェックが進む。当然のことながら一番下の階は立入禁止のため、上から見下ろすデッキの最前列に陣取ったが、写真を撮るに当たってこれ以上近づいてもメリットはないし、見下ろすポジションの方がレアなので、却ってありがたい。しかし、ここにへりが降りるとはね・・・なかなか貴重な機会に立ち会うことができました。

1456、エンジン始動。回転が安定したところでグラウンドクルーがチョークを外し・・・

1459、離陸。

▲クリックで大きくなります
まず北側に向け、反時計回りで一周してから・・・

▲クリックで大きくなります
今度は南側を、同じく反時計回りで一周、ドアを開けてクルーが手を振りながら館山に帰っていった。

*1:2番艦すおうと3番艦あまくさはダイハツ6DKM28