2008年7月25日のひゅうが君

Blueforce2008-07-25

7月22日、ひゅうががついに初の公試に出た(らしい)。
すでに当日記有数の人気コンテンツとなった「今日のひゅうが君」で同艦の進捗状況レポについて各方面からの期待を受ける当分遣隊としては、これはぜひ撮りに行きたかったのだが、三連休の明けではさすがに休むことができず、悔しいが見送ることすらできなかった。そして迎えた週末。
ひゅうがは、どうも館山湾を根城にして今週一週間IHIに帰らずに試験を続けているらしい。で、戻ってくるのは本日とのことで、これは当分遣隊としてはぜひフェリーで洋上を往く堂々とした姿を最初にものにしたい・・・と、ゴールデン洋画劇もとい「東京湾フェリーで空母を撮る会」特別企画として、洋上決戦に持ち込むことを企んだのは当然の成り行きといえよう(んなもったいぶった言い方せんでも・・・)
フェリーで迎撃のためには巨大船情報に通航時刻が出るか、東京港や横須賀からの出港時刻が公表されていることが必須の条件となる。ひゅうがは巨大船情報への掲載は微妙なところであり、果たして出港時も本日帰港に際しても時刻の掲載はなかった。ならば・・・新たな戦法を編み出すしかない。
(フェリーの)久里浜港は皆さんご存じの?通り、浦賀水道からは一段引っ込んだ場所にあり北航・南航ともに見通しがまったく効かない。対して、金谷のターミナルは南北ともに見通しが効き、特に駐車場は南に面して広がっているため、北航してくる船舶を早くから補足することができる。ならば、いつもの往復遊覧ではなくて、金谷で降りてピケットを張ろうという算段である。もちろん、往復の割引はなく運賃は正規の片道600円×2、駐車場も(正直に申告すれば)往復とは違って一日1,000円を払うことになるが、それでもたかが知れているし、やるだけの価値は充分あるわね。というわけで0600起床。
しかし、ここですでに館山に展開しているスネーク隊から「抜錨した」!というレポがあり、おいおいまだ民間人が動かしてるのにそんな早朝から動き出すのか!と慌てる。う〜ん、今から行って間に合うもんか・・・しかし、今更家で寝ていてもしょうがないし、ざっとシャワー浴びて家を出る。とにかく、急がないと・・・今日ばかりはエコランだとか高速代節約だとか言っている場合ではない。節約分はこういう時に放出するのだ。
杉田でIHI艦影がないのを確認したら、後はとにかく久里浜に向かってアクセルを踏み続けるしかない。横須賀から丹念に海沿いを走っていけば、少なくともすれ違いになることはないが、時間のロスは避けられない。今日はフェリーに・・・チャレンジャーの血が騒ぐのだ。Uターンして杉田で待ち受けるのなら意味がない。というわけで、ほぼJR西日本アーバンネットワークの最高速度なみのアベレージで走った結果、かなりいいタイムで久里浜に到着。
一度港を通り過ぎ、火力発電所の向こう側、南側の外海が見える場所まで行ってみて、それらしき艦影がないのを確認。これは恐らく一度外に出たな、スネークからの報告でも西の方角に去っていったと言っていたし、貴重な公試日程、もちろん工場に帰ってからもやることはあるだろうが、朝イチで帰るようなスケジュールはあるまい、と判断。
東京湾フェリーは、今週から夏休み対応の平日も含めての3船ダイヤになった。当日記の「東京湾フェリーで空母を撮る会」カテゴリで何度も述べているように、確かに2船ダイヤの機織りよりは120度位相の濃密な迎撃網を敷くことができるが、そうは言っても最終的にはどの便かが正確に衝突コースに当てて行けるかなので、有利かどうかは一概に判断できない。結局は40分ヘッドなのだ。あと、120度位相なので、向かい側の港から出た便がいいタイミングで当たる場合もある。金谷に渡るのは果たして吉と出るか・・・どんなに気持ちは急いでもフェリーはすぐに出てはくれない。ゆっくりとコンビニで買い物などして、乗船したのは0920発6便、本日のお相手は珍しく「かなや丸」。

果たして、こんなあてどない作戦に勝機などあるのだろうか。まあ週末ということもあり、ないとは思うが明るいうちに帰ってこなかったら?どうもマイナスに考えると限りなく悪い可能性ばかりに思いを巡らしてしまう。そのマイナス思考に加担するかのように、航路も後半に入った頃に観音崎の影からアーレイ・バーク級らしき艦影が見えてきた。かすりもしねえ。カメラのモニタでは全然ハルナンバーが読み取れなかったが、ご覧のようにカーティス・ウィルバーUSS Curtis Wilbur DDG-54だった(Photoは超トリミング)。

金谷も、灼熱の中にあった。しかし、海に面した場所だけに、沖から渡ってくる風が冷たくて気持ちいい。ターミナルの建物、もろに南の海面が見渡せる場所に、屋根がついた長椅子があった。一日中炎天下にさらされることを覚悟して、分遣隊長はそれではまずいので日除け用に雨傘を用意してきたが、これならその心配も無用、というかあまりの気持ちよさに一日座っていられそうだ。館山からスネークもやってきた。はるか南の海面にチラチラと目をやりながら、業界事情鼎談などを。

ホンマに来るんかな・・・2人でくっちゃべってるので別に退屈でもないのだが、午後になると光線状態が悪くなる、おまけに午前中のような空の青さがなくなり、かなりモヤってきた。う〜ん、これは夕方?と思い始めた1330。
「おいなんか来たぞ」

南の海上キエフ級?のような艦影が・・・つっ、ついにミンスクが、30年かけて東京湾に進駐してきただよ〜!wwww いやいやあれは我が海軍が誇る新鋭護衛艦、本当に護衛艦??wwww 
慌てて次のフェリーの時刻を確認する。次は1355発の12便だ。う〜ん・・・あと30分近くある・・・いつも言っているように、フネは鈍足の代名詞のように言われるけど実はマジで速い。遠いように見えてもあっという間に近づいて来るんじゃねえのか? 果たしてその通りになった。

とりあえず、ジタバタしてもまだまだフェリーは出港しないので、初物食いということで世界一のフネヒコーキマニア犬として記念写真を1枚。
出港15分前の1340頃ですでにターミナルのほぼ真西に、フェリー航路は西北西に向いているので幾分追いの関係になるが、あと15分したらとっくに交点の先に行ってしまっているだろう。だいたい、15分経ってこちらはやっとスタートラインだ。もちろん、ここに残っていても仕方がないので、いずれにしても乗るしかないし、今度はIHIまで追撃戦なのだが、南総スネーク隊に別れを告げて出航したフェリーが浦賀水道航路の中央に達する頃、ひゅうがはすでに観音崎の変針点を越えて馬堀の沖辺りに達するところだったorz

120度位相のマトリクスの中で、多分一番接近できたのは久里浜1330発の12便だったろうが、それでも相当の距離があったのではなかろうか。当方の船から見たところ、12便らしき船は(ひゅうがに目が行っていたので)認められなかったから、そんなに接近はできなかったのだろう。40分の編み目をくぐって、ひゅうがは行ってしまったのだ。もしかして東京湾フェリーから覗いている奴が最近多いのを知って、わざとダイヤから離した時刻に通航した??wwww ↑の浦賀水道航路中央第1灯浮標通過が1348、こちらの出港の7分も前である。

さて久里浜に着いたところで、当初の予定ではイメージカットなどゆっくり撮ろうと思っていたところ、本日はゲートが開くが早いか競馬馬のように飛び出し、ルマン式スタートのようにプジョーのワークスマシン307CC(嘘)に駆け寄る。始動一発、今度も燃費無視の涙目高速走行である。燃料計の針が見る見るエンプティに近づいて行く。
・・・ところが、そうまでしても、湾岸線杉田のランプを降りる時、チラと南部市場越しの遠景を見たところ、建物と建物の隙間にひゅうがらしき艦が正面を見せているのが見えた・・・こうまでして走っても追いつけないんだ・・・諦めずにひゅうが君ポイントまで激走し、最後のJパワーコーナーを曲がったその時!目の前いっぱいに巨大な軍艦のシルエットが!

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ちょうど、目の前で出船係船とすべくタグがうんこらせうんこらせと回頭中。艦尾は私から50mを切っているのではないかと思うほどの至近で、大迫力だ。

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艦尾を見るのは昨年7月23日の進水式以来になるかな。そうだね、ちょうど進水1年で公試開始になったんだね、なんか就役を早めるとか突貫とかいろいろ噂は聞くけど・・・

ファランクスもやっとはっきりと見ることができた。当然だが、ご覧のように水上目標補足機能を備えたブロック1Bとなる。カバーがかかっているとはいえ、銃身がまさに私に向いているのが・・・しかし、この部分だけ切り取ってみると、アメリカの空母と言っても誰もわからないかも知れんねwwww

電測兵操装類もすでにほとんどが搭載を終わり、ちょっと前までの建造中といった雰囲気はすでに窺えない。しかし、このアイランドの構造と前後部艦橋の窓・・・なんかマ○ン○ーZみたい・・・わかりにくいが、メインマストには第2代表旗+国際信号旗「P」が掲げられているが、これが磯子IHI-MUを示す行き先信号なのだろう。

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一見巨大なように見えるアイランドだが、見ての通り中ほどのスペースのほとんどは煙突の煙路が占めていると思われ、特に後部は前後方向の寸法としては使えるのは窓4つ分!?

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回頭終了〜

艦首に装備されるソナー、OQQ-21*1のドームとの干渉を避けるためにホーズ・ホールを延長、前に突き出すように装備された艦首錨。艦首のファランクスはやはり右舷寄りにオフセットされて設置されているようだ。

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結局前後の大きいレドームって、なんていう規格のアンテナなんだろう・・・教えてエロイ人! あと、ちょっと気になったのが、キャットウオーク部の処理で、機能上切り欠きで壁面にすることができない部分に、パネル状のものが貼り付けられている部分がある(前部艦橋直下の部分)。これも面一にして、ステルス性に配慮などの理由があるのだろうか。

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マストもほとんど完成域に見える。「あたご」型に類似したモノコック構造なのは当日記で何度も解説しているが、「あたご」ほど後退角?がついてない?
装備品はトップからORN-6C・TACAN、NOLQ-2B電子戦システムESMアンテナ、その下の皿状のIFFが問題で、今までの縦に筋が入っている硬貨のような断面から変わって、一つ一つのプレートにイボイボがついているものになっている。形式名も変わっているのだろうか。
IFFの下の両脇にある物体も、「あたご」以来の謎で、これもNOLQ-2Bのシステムの一部を構成するアンテナなんだろうか。その前方下の大きなレドームはORQ-1Bヘリデータリンク用アンテナ。その下はマウント形状が従来と異なっているが、恐らくOPS-28E水上レーダー。その下はスーパーバード衛星通信アンテナ(従来のものより裾が若干長くなっているような気がするが・・・) 一番下、艦橋構造物上部にはNOLQ-2BのECMアンテナとなる。当艦の目玉装備、FCS-3の機器本体は試験艦「あすか」ASE6102から移植されたものと伝えられている。
旗甲板には当たり前だが従来通り速力マークが備わる。

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いつも見るアングルになって、艤装岸壁に向け遠ざかってゆくひゅうが君。上に掲げた、もうちょっと真横に近いアングルのスリークさに比べ、妙に重量感(とアイランドの存在感?)が増して、いよいよキエフ級?のように見える(オレだけか?wwww)
こうして、ひゅうが君初の外海へのお出かけとなる3泊4日の館山旅行は無事(なのかね〜?)終わった。当初の企画であるフェリー追撃戦はグダグダの結果に終わり、残ったのは接岸間近のタグがいっぱい取り付いている写真ばかりになったが、こちとらチャレンジャー、ネットで仕入れた定番ポイントで仲良く並んでなんてヌル〜ことはやりたくねえ。結果は出せなかったがその判断には後悔はしていない。今後も公試期間中は同様のスケジュールで動きそうな感じなので、なんとしてでも洋上を往く姿を(公式よりも先に!?)ゲットしてやる!

そして・・・第三次寄船洋上決戦じゃ〜!(あたいは司令部詰めで不参加よ〜ん)

*1:以前はOQS-XXと呼ばれていた