キティホーク室蘭に向け出港

Blueforce2007-10-21

9月21日に帰港したキティホークが、噂通り本日出港。
というわけで、恒例の「東京湾フェリーで空母を撮る会」10月例会の開催となるわけである。今回の浦賀水道航路北口入航時刻は1000、どら猫さんから参加との連絡があり、まずはコンタクトに成功しそうな便の選定に入る。
今回候補に入るのは、金谷発0950発の6便と、久里浜発1000の7便。両便の進行を海図とにらめっこしたところ、やはりケツ追いではなく前を横切る形で撮れるのは金谷0950発の便と見極めをつけ、往路の0840久里浜発の便に乗ること、と連絡した。しかし、そこからまた迷い出す・・・金谷発の便では所要時間は35分だから、北口入航時刻プラス20分の原則から考えると、空母が航路南端の中央第1灯標を通過する1020前後ではすでに入港5分前、確かに前を横切ることはできるだろうが、ちょっと早過ぎはしないか・・・考えれば考えるほど迷い出す。
と、ふと思い出して5月15日の日記を読み返してみた。この日の入航時刻は本日と同じ1000で、フェリーの久里浜出港時刻は1005。5分の差で頭を抑えられるのではないか・・・この時に書いたように、航路内で規制されている最大速力は12ノット=22.22kmであるから、5分ということはまた12で割って、1マイル=1.852kmの差が稼げるということである。1マイル・・・空母5.6隻分か。
航路を精査すれば、南航航路との交点はフェリー航路のほぼ中央、すなわち1020に地点になる。5月の時に、キティの艦首が浦賀水道航路南端の中央第1灯標にかかった時点の撮影時刻はexif情報では1022、ここで約2km後ろに下がっていれば確実にこちらが先行できるはずである。今回、我々(というか私・・・どら猫さんは一蓮托生である)はそれに賭けた。
久里浜1000であるから、朝はそれほど早起きしなくてもいい。それでも0700には起きて、分遣隊長のフードなど支度をして0730出発、天気は快晴で雲一つなく、9月の入港の時と同じ絶好の空母撮影日よりだが、あの時まだは暑かったのに、もう朝はすっかり寒くなった。三京経由で快調に飛ばし、若干早着気味なので、高速料金ももったいないし、横須賀で様子を見ることにして幸浦で降り、いつものルートで横須賀に向かう。
本港が見渡せるポイントに行くとちょっと時間のロスも大きくなるので、JRの横須賀駅の横、トンネルを出てヴェルニーが見下ろせる所でマストが見えないかと目を凝らしたのだが、運転しながらではさすがに確認できず、ヴェルニーに寄るのもなんなので、市街を素通りして先週に引き続いてのいぬかぜ公園もというみかぜ公園へ。ここからでは本港の様子は山に遮られてまったく見えない。が、空母が入出港するときはかならず上空警戒のSHが飛んでいるので、これを見れば一目瞭然・・・オオ、飛んどる飛んどる。モデックスまでは窺えないが、海自ではなく米軍のロクマルだ。しかし、このヘリはしばらく目の前、猿島辺りの上空を旋回した後、横須賀基地ヘリポートに降りてしまった。
この時点で0900、フェリー出港まであと1時間。ここからなら多分20分もあれば行けるだろう、いつも出港の時は(もちろん入港の時もだが、入港は確認する術がないので)定時出港かどうか気が気ではないのだが、これ位のマージンなら例の観察ポイントで港内の様子を確認してから久里浜に向かっても間に合いそうだぞ。もちろん、写真が撮れる位置まで出るのを待っていたらちょっと危険だが、フェリーで撮ろうって奴がわざわざこんな所で夢中になって撮るでもなかろう。動き出す様子を確認するだけで充分。
というわけで、今回は余裕を持って0920過ぎにうみかぜ公園を出発、読み通り0940前にはフェリーターミナルに到着。例によって往復周遊と伝えると、先に着いていたどら猫さんの車の後ろに誘導される。今回の「東京湾フェリーで空母を撮る会」のメンバーはどら猫さんの奥様と、9月23日エンドでお会いしたどら猫さんのお友達もいらっしゃって計4人+1匹・・・と、乗船券を買いに行く途中でふと見たことのある顔が・・・!なんと、エンド友達のS君ではないか、何やってんの!? 「いえ、空母撮りに来たんですよ」オイオイすげ〜な、今日も1人寂しく趣味活動かと思ったら、5人かい!さらに、デッキに上がってみれば、当然のことながら私の「東京湾フェリー道」の師匠、いつものおじさんの姿が(笑)というわけで同好の士6人で定時出港!
本日は出港前から、なかなか我々撮影隊を飽きさせないアトラクションが用意されていた。まず、朝霞で行われている陸自観閲式予行に向かう、館山からと思われるSH-60Jの6機フォーメーション。そして、その下海面近くには、こちらはアメちゃんのロクマルが・・・キティ来たぞ! 空母本体が大体どの辺りの位置なのかは、こちらが出港して、刑務所のある岬をクリアして東京湾の奥が見渡せるようにならないとわからない。早く・・・早く!と、マストの先端が刑務所の向こうに!

やった!計算通り結構手前だ、これなら頭抑えられるぞ!
上空警戒のNF611が舞う下を、フェリーに向かって刻一刻と近づいてくる空母。快晴の土曜の朝、金谷に向かう便は乗船客で賑わっている。その中で大騒ぎしている我々を見るまでもなく、目の前に現れた空母を見つけて、皆何事かとデッキの左舷側に寄ってきた。よし・・・よし・・・そのままの位置関係で、どんどん進め、どんどん進め・・・!と撮り始めたのだが・・・

ある時、ガクン!とフェリーが取り舵で頭を回し始めた。マジで!?ここまで先行しているのに?みすみす後ろに回り込むのかい! しかし、無情にもフェリーはどんどん左に頭を振って、まるでキティに特攻をかけるように向かって行く。ああ、また駄目だ・・・ギリギリまで撮ったところで、痛恨の右舷側に移動。位置といい、距離といい、5月の時とほぼ同じだ。5分のアドバンテージは何だったんだ・・・

1013、金谷発0950発の6便、しらはま丸とすれ違う。やはりタイミングとしては若干早過ぎだが、長い玉があれば確実に前がち・海バックの順光写真をものにできたことだろう。どっちが良かったのやら・・・どら猫さん、一応ゴメン!と謝っておきますけど、デジ+400mmでも遠すぎたかもね〜。

一般客も、5月の時にも増して大騒ぎだったが、こちらも撮影に夢中だったので正確には覚えていないが、今回はアナウンスはなかったように思う。

JBDは第1から第4まですべて上がっており、また、前部デッキではデッキクルーの朝礼?のようなものが行われている。

ま、写実主義に徹する私らしくない作風ですけど、なかなかいい構図で決まったでしょ?前日にCMOSの掃除もしてきたので、ゴミの写り込みもないし・・・しかし、Exif情報では、この時点でなんと1022。まだ右舷側の真横だった5月15日の時と比べ、なんとまあ違うアングルだこと・・・5分のアドバンテージを、ケツを回り込む(左へ左へと進む)ことだけにすべて注ぎ込んだ結果がこれである。
完全にケツを回り込んで、後は早く横がちに移行してくれ!と撮影を続けていると、なんと無情なことにキティは明らかに面舵を切ってきた。そうすると、フェリーからはいつまで経っても横が見えてこない。嫌がらせかよ!と悪態をつくも、これはキティもフェリーを避けるために元々の針路から左に振っていたのを、戻したことを表している。つまり、2隻で時計回りの巴戦になっているのだ。

やっと左舷側が見えてきて、順光になってきた。後方には伊豆大島が大きく見えている。

上空警戒のSHは、相変わらず跳び続けている。5月の時は比較的目の前で降りてしまったのに、今回は降りる気配はなく、しかも3機がトレールのフォーメーションで飛んでいる。さらに、三浦海岸の上空辺りには2機が。5機が飛び回る上空警戒ってどうよ!? 随伴艦のHSL-51の機体も混じっているのかな?

お約束の分遣隊長とのツーショットタイムです。
金谷に到着、例によって折り返しタイム、急に静かになったデッキで、暫し待つと金谷からも結構客が乗ってきた。空母が前を横切ったことなどご存知もない方々を乗せて、金谷発8便は1105出港。ここまで、随伴艦が見えないのが気になっていたのだが・・・2時間も3時間も先行することはあまり考えられないので、タイミング的に先程のうみかぜ公園で見えていなければおかしいのだ。どこに行ったのかな・・・と思ったら、なんと王将を先に行かせて後からご出発。

まだ飛んでるよ・・・
フィッツジェラルドUSS Fitzgerald DDG-62は26日に予定されているキティの室蘭寄港に同行して、一緒に寄港する予定である。浦賀水道航路を抜けると、かなりのスピードで先行するキティを追いかけ、2隻とも目の前に立ちはだかる大島に向かって一直線。いつも思うけど、大島沖での艦載機リカバリーとか、ホーネットのR-116訓練空域での空戦とか、城ヶ島や野島崎から見えないのかなあ?

さらに、湾の奥の方を見ていたどら猫さんから、もう1隻!との声が。今度はマスティンUSS Mustin DDG-89だ。この間ハーバーマスターのwestに停泊していた2隻がまとめて出てきた、しかもマスティンは位置関係からして、かなり期待できる。これは衝突コースだぞ!

案の定、マスティンは完全にコースが交錯しており、フェリーは再びケツ追いポジションにつくべく面舵を取り始めた。駆逐艦相手でも頭取れないのかい!まあいいや、ここまで近づいたし、結構バランスのいいポジションになってるから・・・フライトIIAをこんな青空の下の順光で、きれいに撮れたのは思わぬ収穫。キティよりも儲けもんかも・・・なお、マスティンはキティとフィッツジェラルドが室蘭に寄港するのに対して、函館への寄港が予定されている。

マスティンに続いて南航して行くのは、ギリシャ船籍の貨物船・AΓAΘONHΣOΣ 。間もなくパイロット(水先人)が下船するために、舷側にラッタルが降ろされ、タグボートが併走している。今回は空母も駆逐艦もアナウンスがなかったのに、なぜかこの船だけ船内アナウンスで船名や総トン数など紹介され、乗船客から「大きいね〜!」と歓声が上がる。もっとデカイもんがさっき見られたんですけどねえ・・・ちなみに、この船のデータを書こうと思ったら、どうやっても船名が読めません(^^;)

久里浜港外には、先程はいなかった?海保の測量船、拓洋HL02が碇泊していた。こんな所で何やってんの? さらに湾奥から1隻の巡視船!大型だぞ、明らかにPLHだが・・・しきしまだ〜!どうなってんの今日!?何隻目だよ・・・

東京湾観音をバックに南航して行くしきしま。この位置で恐らく浦賀水道航路南端の中央第1灯標からおおよそ1.5マイルほど北と推定される。

もう、本当にお腹いっぱいになって久里浜に帰ってきたが、入港直前に再び、朝霞から帰ってきた海自のロクマルJ6機編隊が。艦船もすごいが、今日 我々はいったいH-60系ヘリを延べ何機見たのだろう?
この時点でまだ昼である。皆でどこかで昼飯を食おうということで、ヴェルニーのコルセールを目指して走り出すが、S君が長浦に泊まっているたちかぜを撮りに行くというので、まずそちらに向かい、撮った後に戻ってくることにする。しかし、本日は横須賀市内は秋祭りが開催されており、国道16号から横須賀中央に向かうメインストリートは御輿が何基も出て通行止め、16号の下り車線は大渋滞だ。とても市街に戻って来れる状況ではない。ということで、昼飯はさらに先、横浜辺りでということにさせて頂いて、まずは長浦のたちかぜを。

先般退役した元護衛艦隊旗艦、「たちかぜ」型ミサイル護衛艦ネームシップであるDDG168たちかぜは、すでに装備品をあらかた外された状態で、海洋観測艦すまAGS5103(海洋業務群・横須賀)とメザシで係留されている。スターンの艦名表記は消され・・・

舷側には無数の縦縞の白線が描かれている。同艦はこの後ミサイル実弾発射実験の実艦標的として供用される運命にあるとのことで、まもなく外洋に曳航される。この白線は撃沈される時に、どのような姿勢で沈んで行くのかを正確に解析するための基準線なのである。これが、軍艦として生を受けた者の運命。観艦式でも幾度となく目にしたこともあり、体験航海で乗ったこともある同艦の、恐らくこれが最後に目にする機会となる。
ちなみに、処分にあたって、レーダーなどのめぼしい装備はあらかた外されてしまっているが、艦尾のスタンダード艦対空ミサイル単装発射機、Mk13は当然というかそのまま残っている。その前にある大きな箱状の構造物が、護衛艦隊旗艦就任にあたって増設された艦隊幕僚の収容スペースとなる。

内部はこんな感じ。司令部閣僚の部屋なんていうと、亡○のイ○ジスに出てくるCICみたいなのを想像されるかもしれないが、なんの変哲もない休憩室である。テレビではテロップに石ちゃんの「相変わらずわたしもでぶでございますから」という文字が・・・艦隊旗艦の貫禄も緊張感も微塵も見られない。しかし今は照明もなく、もう真っ暗であろうこの部屋にも、あと少しすると怒濤のように海水が押し寄せてきて、永遠の眠りにつくことになるのだ。

なあふうこ号よ、乗り物なんて、はかない運命よのう・・・まあお前はミサイル撃ち込まれて深海に没することはないと思うが、先代は今頃どこで生きているかなあ・・・

当然、こちらでも分遣隊長と一緒にお別れの記念写真を。本当に長い間お疲れさまです。