不思議なレストラン、山忠

その後、どら猫さんとも分かれ、各方面に報告などしながら横田撮影後の散歩の定番、山口貯水池までやってきた。ここも桜の名所ゆえ、なかなかの人出で露店なども出ていたが、私が着いて歩き出した途端に雨がポツポツと・・・運が悪いのか、逆にハリアー撮るまで待ってくれて良かったのか。それでも10分程度歩かせたが、いよいよ本降りになってきて退散。
参ったなあ、しかしここで帰るのも癪だ・・・実は、十国峠へ行く当初の目的のために、着替えを持ってきたのだ。せっかくだから風呂に入って帰りたい、それも、横田まで来たのならやはりここはゆらりに行くしかなかろうw というわけで、再び中央道に乗って富士吉田へ。
もう雨も土砂降りと言っていいほどで、霧に煙る山並みを縫って西に向かえば、上り線はもうビクともしない大渋滞。今から気が変わっても帰れないぞ、深夜割引適用時間まで粘らなければ・・・そう、時刻はすでに1700を回っており、行きは通勤割引、帰りは深夜割引適用でかなりお得に往復できるのだ。そうでなければそうそうは富士吉田まで往復はできない。
まあ、風呂の前にまずメシ・・・

ここで、ちょっと変わった店を皆さんに紹介したい。国道139号、インターを出て山中湖方面にちょっと走った左側にある食堂、山忠。最近、ゆらりに行く途中で夕飯を食おうとうろついていた時に、偶然見つけた店なのだが、なんの変哲もない外観に大して期待もせず入ったところ・・・その無欲が勝利を呼び込んだのか、いやこれは勝利なのだろうか??なんとも不思議な、意味不明な店だったのである・・・当日記の読者の皆さん、この外観を忘れるな!wwww

まず意味不明なのは、店内の構造。入ったところに生け簀があるのはまあいいとして、客席はこの写真で左手前のテーブル席と、右奥の方の座敷席に遠く分けられている。1人で入るとたいがいテーブル席に通されるが、そのスペースがすでに不思議空間。10坪ほどの独立した空間に、一昔前のデパートの最上階にあった食堂のようなデザインのテーブルと椅子。座敷とはまったく隔離された空間はミョ〜な空気が漂い、なぜかいつも地元のオバチャン(をとっくに通り越した妙齢)の方々が料理を半分以上残してお喋りに夢中になっている。

なぜ半分も残っているのか? 食べられないのだ。ボリュームがあり過ぎて。かといって、決して大味なわけではない。これは店の名を冠した名物で私のお気に入り、山忠定食950円也。ビーフシチューなのだが・・・

(あーマクロレンズが欲しい)この巨大なブロックを見よ! ちょっとやそっとではなくならないそのボリューム。野菜の具も盛りだくさんだ。しかもこの店がすごいのは、御飯がおかわり自由なことで、それだけなら学生街の定食屋などでは珍しいことではないが、なんと業務用の巨大なジャーが入口近く(上の写真の生け簀の左隣のところ)にあり、店員に気兼ねなしにいくらでもお代わりできるという点。まあ、そういうスタイルの店もあることはあるが、この店の不思議なのは、それらの配置やたたずまいが、うまく口では説明できないがなんとなく妙な雰囲気を醸し出していることである。
メニューはとんかつからエビフライ(これがまた巨大!)、ハンバーグなど洋食から、じっくり焼くので少々お時間を頂きますとメニューに書いてある鰻重や白焼きなどのウナギ系、ウニ丼まである海鮮、天ぷら、すき焼きから鍋料理・・・自慢のメニューらしい甲州牛のステーキ、さらに1貫から注文できる握り、それもなぜか山梨にあって直の仕入れルートがあるのか大間のマグロが名物らしく、そこらじゅうにポスターが貼ってあるのも不思議。さらに、座敷の方に歩いていってびっくり、フロアの片隅にはカウンターがあり寿司職人もいるのだ!? ここですき焼き注文したらどうなるのだろう???まさに異次元空間である。
不思議だけなら1回行けばたくさんだが、2度3度と足を運ぶのは、もちろん料理の確かさゆえで・・・といっても、まだまだメニューのほんの一握りしか食べたことはない。いつか甲州牛のステーキ、大間のマグロの握りを食べてみたいもんです(各メニューともそんなにバカ高くないので、それもお勧めできる理由のひとつ)。河口湖辺りまで来たら、ほうとうもいいけれどココ絶対お勧め!
店が不思議の塊ならお客も不思議。いつもテーブルの一角を占めているオバチャン(をとっくに通り越した妙齢)の方々の団体(もちろん同じ人ではないですが)が、そろそろ出ましょうと店を出る時、「このドアは自動ではありません」とデカデカと書いてあるのに100%開けっ放しで帰っていくのはなぜだろう?あれが甲州のしきたりなのだろうか。

腹もいっぱいになって、ゆらりに向かえばすでに日曜の20時を過ぎ、お客もまばらであった。ゆっくり1時間半近く風呂に浸かっていると、途中から降っていた雨がどうも雪に変わったような・・・上がって建物を出てみたら、ゲッ!本当に雪だ!! こりゃ大変だ、もたもたしていたら帰れなくなってしまう。2月の東京でのみるみる積もっていった恐怖の体験が頭をよぎる。車の中を片づけるのもそこそこに走り出したが、なんとか高速に乗った辺りで雨に変わったようだ。しかし、多分今シーズン最後の雪・・・危なかった。H分遣隊、無事魔境甲州を脱出!